「ダウト ～あるカトリック学校で～」

ダウト ~あるカトリック学校で~ [DVD]

• 出版社/メーカー: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
• メディア: DVD

トランプのゲームでもある「ダウト」これは「疑う」と言う意味なのか？台詞の「ダウト」は、映画の中で何度も出てきます。
ケネディが暗殺された翌年の1964年、NYのブロンクス地区にあるカトリック系の付属学校がこの映画の舞台です。
厳格な信仰と信念をもって学校を運営する、校長のシスター・アロイシス＝メリル・ストリープ。
対する開かれた教会を目指す進歩的なフリン神父＝フィリップ・シーモア・ホフマン。彼が校内でただ一人の黒人少年を誘惑したとして・・・・校長は、二人が特別の関係にあるのではとの疑いを持つ。
証拠もないに関わらず、確信を持って執拗なまでに神父を追いつめていく校長。
エイミー・アダムス演じる若い教師の気持ちが、その間で揺れ動くのも納得です。

監督は、ジョン・パトリック・シャンリー。
過去に撮った、シェールとニコラス・ケイジのラブロマンスを描いた「月の輝く夜に」は見たことがありました。
この映画により、シェールはオスカーを受賞。その時着た衣装が話題となって、大いに顰蹙を買ってしまったことだけは覚えております。

事情を聞く為に校長に呼びつけられた少年の母・ミラー夫人。
そのシーンの二人の会話から、ミラー夫人が人並み以上の理性と言葉を持っている事が示されました。
今から40年以上も前のアメリカ社会では、黒人と言うだけ、女性と言うだけで、不等と思える生活環境で生きざるを得ない。社会でも家庭内でも自分の思惑を外れた生き方を強いられている事が伺いしれたように思いました。
何があったかよりも、ただ我子の幸せと将来を願う母。
登場時間の短さに関わらず、存在感たっぷりであったのは母親役のヴィオラ・デイヴィスです。
校内ただ一人の黒人、その環境で少年が抱える孤独と将来への不安。メリルと向き合い、押さえた演技でそれらを表現しました。

フリン神父と、シスター・アロイシスとの間にある激しい確執。
大女優メリル・ストリープと、こちらもオスカー俳優・フィリップ・シーモア・ホフマンが対決する迫力あるクライマックスシーンは見ものです。
映画の始まりの頃の神父の最初の説教・・・・
そこで印象的だった台詞は「疑い・ダウト」であった。
「疑いは確信と同じくらい強い絆になり得る」と神父は言う。その説教が、この後に皮肉として効いてきます。

フリン神父とシスター・アロイシス、この二人は全てが違いすぎたのだ。
ここまでではないものの･･･過去に出会った方の中に彼女に近い方がいたことを思い出してしまいました。
本人は正論が全て。それを間違いないとする自信を持っているのだから、周囲には余計に面倒なことこの上ない。
本作でのメリル・ストリープの演技には納得されられました。
｢プラダを着た悪魔」よりも怖いメリルを見たかったら、是非ご覧下さいね。
そんな｢プラダを着た悪魔｣は、過去ﾍﾟｰｼﾞへhttp://hana2009-5.blog.so-net.ne.jp/2010-01-23
背景となる学校をとりまく雨、風、雪。それぞれのシーンが、全体の暗いトーンの中で活きていた。。。
シスター・アロイシスの告解で終わるラストは、作品に含みを持たせたものと思いました。

タグ：ダウト ～あるカトリック学校で～ メリル・ストリープ フィリップ・シーモア・ホフマン エイミー・アダムス ジョン・パトリック・シャンリー ヴィオラ・デイヴィス プラダを着た悪魔 月の輝く夜に

コメント 21

社会は変わりつつありますが
「今日は女子が休んでお茶もいれられません」
男性がお茶汲みよう臨時職員をかも知れませんが
こんな言葉を使いますね。
専門職で働いていました。事務員の男性がお客様にはお茶をだしていました。
もちろん事務職員の男性のためのお客さんが見えたら私お茶を出しましたが。
by にこにこ (2010-09-30 17:03) 

＞何があったかよりも、ただ我子の幸せと将来を願う母
もちろん、誰もがそうであるとは思いますが、
ミラー夫人は、我が子が置かれた状況を考えると、
より強い気持ちで願っていたのではないでしょうか。
私は、自分の考えに自信などまったくありません。
でも、だからこそ、とっても楽に生きていられるような気がしています。
(mhirochiki)
by hirochiki (2010-09-30 17:41) 

Meryl Streepは怖い役の方が似合う(｡･ｗ･｡ ) ﾌﾟﾌﾟｯ
Kramer vs. Kramerの頃から苦手な女優さんです

グラフに関してですが、Excelで作ってます♪
by nano (2010-09-30 17:57) 

にこにこさんへ

生きていく事って、ﾎﾝﾄ矛盾だらけの事だと私も思います。
by hana2009 (2010-09-30 19:15) 

mhirochikiさんへ

見たこともない、興味もない映画に付き合わせてしまって････どうか、お許しを！

メリル･ストリープの映画は、過去にご覧になっているものと思います。
上の｢プラダを着た悪魔｣は、NYの風景、ファッションも楽しめるから、お勧めです。

生きてくのってただ正しいからだけではダメなんだって、ある年齢になってくると解ってくるものですけれど・・・
清濁あわせもつというか、よく言えばしなやかに軽やかに、一生を生きていかれたら良いですね♪
by hana2009 (2010-09-30 19:25) 

nanoさんへ

｢プラダを着た悪魔｣のメリルを見た時には、あのイヤ~~な役柄があまりにも似合っていたから、これぞ新境地！って思いました。
少なくとも、踊って歌っての｢マンマ･ミーア」よりはずっと良い。

彼女が注目されたのは、あの映画のダスティン･ホフマンの奥さん役でしたね。でも私、あまり覚えていないのです。
同年代で言ったら、私はグレン･クローズやシガニー・ウィバーの方がずっと好きでした。

メリルには、この方向でいってほしいものですね♪
by hana2009 (2010-09-30 19:30) 

wowowで観ました。
なかなかよかったよね。
メリル・・も、いい感じに年齢を重ねてきて・・いい女優になったよね。
ちょっと偉そうに言ってますが・・・（笑）
まだまだこれから活躍して欲しいですね。
by hatumi30331 (2010-09-30 22:26) 

hatumi30331さんへ

これ、ご覧になられましたか!!

タイトルのダウトは、結局ラストまであいまいなまま。でもそれが、こちらの見る側に委ねられたと言うか・・・

若い頃のメリルは、いつも鼻の頭を赤くして涙を流している演技が多く感じましたけれど、それに別に美人でもないし。･･･と、私まで上から目線で。　ﾌﾟﾌﾟｯ
これから先のおばあちゃん役なんかの方が、かえって楽しみな気がしてしまいます。


by hana2009 (2010-09-30 22:39) 

ダウトってトランプのゲームがありますよね。
あれ、こちらの方では「座布団」って言います。
誰かが聞き違えたのが広がって訛っちゃったみたいなんです。

ぜんぜん映画とは関係ない話だったんですけど、ふと思い出したのでww
by わた (2010-10-01 01:20) 

こんばんは。
ドンパチ系ではなく、しっかりと見れるような映画なのですね。
じっくりと考察しつつ見れる映画が好きですので、この映画は
要チェックですね。今度TSUTAYAまで行ってみます！
by perseus (2010-10-01 01:33) 

わたさんへ

この映画は公開時にも、あまり話題にもならないものでした。内容的にも、一部の映画好き向けのものですし。

タイトルのダウトで・・・トランプのダウトってどうやったけ~~と思いました。
地方によっては、呼び方が変わるものですね。
by hana2009 (2010-10-01 11:54) 

perseusさん、こんにちは。

この作品は、私のようなネクラな人・・・これはﾎﾝﾄ。向けの内容ですね。だからと言って、見終わった後も特に考えた事もないのですけど。

好きな人は好き。それぞれの台詞、表情など見逃せないところは多いのです。
はまれない人には、なんだこれ？という映画だと思います。
by hana2009 (2010-10-01 12:00) 

みてみたいでし～☆
それも、、栗拾いもしたぁ～～い♪
栗ご飯いいでしね～＾＾ｖｖ
スーパーで買ったら高いのに、、、タダなんて、、魅力的でし！！！
そうだ。。。山にいこう！！！！　ｖｖ
by ぷりん＆りく (2010-10-01 12:07) 

秋の夜長・・・
夜にゆっくり映画鑑賞もいいですね♪
しっかり社会派の映画ってあまりみたことがないですが
これは興味がわきました！
by ぱんの日 (2010-10-01 14:39) 

メリル・ストリープが出る映画は
大体話題になりますよね！
「ダウト」見たことないので
機会があれば見てみます＾＾

by ラン (2010-10-01 17:58) 

追記です。
私の娘の小学校時代のお友達に黒人の女の子がいました。
けっこう親しくしていただいていた時期があり、
お母様ともお話させていただいたことがあります。
この記事を拝見して、
そのお母様のことをふと思い出しました。
(mhirochiki)

by hirochiki (2010-10-02 06:44) 

ぷりん＆りくさんへ

そうだ、山へ行こう~~です！でも、だんなしゃんと一緒に行ってくださいね~
一人で行くと、蜂さんやﾆｮﾛﾆｮﾛさんに出会ってしまいますから･･･
タダも甘くはないのだ。なーんてね。

美味しい栗ご飯を作って食べてくださいませ。そして、食後はまったりと映画がベストかと思います♪
by hana2009 (2010-10-02 08:11) 

ぱんの日さんへ

この映画、ジャンルわけをしたら社会派という事なのでしょうか。別にいちゃもんをつけている訳ではないのです。

私はとてもそこまでは考えていませんでした。
そして宗教とか教会へ行く事などが生活の中に根ざしていない毎日を送っていますので・・・
カトリックと、プロテスタントの違いだって解っていないのですから。そう思うと私、全く見当違いな事を書いていたのかもしれません。
by hana2009 (2010-10-02 08:19) 

ランさんへ

アメリカ国内だけにはとどまらない大女優ですからね。
実は私はあまり好きではありませんけれど・・・と言いつつ、その出演作は数多く見てきてしまっております。

この映画のほぼ全編怖い顔をし続けているメリルって、どうなのかなって思いで見てしまいました。

by hana2009 (2010-10-02 08:25) 

mhirochikiさんへ

再度、ありがとうございます。

名古屋は都会ですから、様々な出会いがあるのですね。
見た目が明らかに違うから、きっとそのお子さんもお母さんも、心の中で思うことはいっぱいあったのではないでしょうか。
もうすでにその頃から、いじめとかもあったでしょうし・・・

アメリカでも黒人の大統領、奴隷を先祖にもつ黒人のファーストレディがまさか誕生するとは･･･誰も予想できなかった事と思います。
by hana2009 (2010-10-02 08:31) 

nice!を下さった皆様へ

何時も、ありがとうございます。
by hana2009 (2010-10-02 08:32)