「さよなら渓谷」「悪人」吉田修一著 [本]
- 作者: 吉田 修一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/06
- メディア: 単行本
先日映画で見た吉田修一による、原作「悪人」が読み終わりました。次の作品である「さよなら渓谷」の方を先に読んでしまったから・・・順番としては逆になってしまった訳ですけれど。。。
数年前実際に秋田で起きた、殺害事件を思い起こさせる･･･「さよなら渓谷」は、幼児の殺人事件から始まります。
自ら手で子供を殺してしまう母親の事件。しかしここではそれはさほど重要ではない。
事件をきっかけにして始まる、隣家に暮らす三十代の夫婦の間に生じる亀裂。
取材する記者が探り当てたのは、 15年前に起きたひとつの事件。読み進めるうちに、私達にも、一見普通に見える夫婦の意外な過去が明らかになってくる。
二人はそれぞれに過去と決別をし、それでも消しきれない過去を抱えたまま、人目を避けてひっそりと暮らす。
それなりに安定した日常生活をおくるが、隣家の事件が起こることで微妙な揺れが生まれてしまうのであった。
長い歳月を経て後、15年前の加害者と被害者の二人を結びつけたものは何だったのだろう。
この夫婦の互いの心の中に潜むものに、作者は深く迫る。
逃避行を続けてでも結びつこうとする前作「悪人」とは、まるで正反対のような二人なのだが・・・読み進むつれて私にも、これもまた一つのひたむきな愛の形であると思えた。
自分の犯した罪と向き合い続けた男にとって、それは人生そのものであったように思う。
- 作者: 吉田 修一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/04/06
- メディア: 単行本
「悪人」は、福岡市郊外のある峠で起きた殺人事件。
先に映画を見て、その感想を書いていますのでhttp://hana2009-5.blog.so-net.ne.jp/2011-04-04
事件を発端にして交錯する人間関係。この辺りについてはさすがに詳細でわかりやすい。
その夜、祐一が佳乃の発した言葉に対し過剰なまでに反応をし殺意まで抱いてしまったのか。
加害者の男と、彼を愛してしまった孤独な女。
祐一と光代のもつ、それぞれの日常の閉塞感。現実からの逃避行。二人の行方。
それぞれの立場によって悪人の対象は異なり、誰もが悪人に成りえるのだと思いつつ読み進めました。
どちらも共通するのは、現代社会の希薄な人間関係と、主役の男女のもつ孤独。
事件に関わる人々の心中の葛藤、残されたものの切ないまでの寂寥が丁寧につづられている。
両作品とも暗い内容ではあったものの、ラストにﾎﾝの少しだけ救いを感じることが出来た事は幸いであった。
hanaさん すばらし解説ありがとう〜〜！
目の疲れが酷くなってから・・・・本を読むのやめてしまい・・・・・
最近ではさっぱりです。年に１００冊以上読んでたのにね〜＾＾；
今はWOWOWで映画を楽しんでるけどね〜
もうすぐ「告白」が放映されます。
「悪人」も、多分・・・・・やると思うから、待ってよう〜〜！
hana さんのおかげで、かなり詳しく下準備がでして・・・・楽しみが増します！
この手の話しが大好きんですよ〜
まあ、基本・・・何でも観るし、何でも読むけどね〜（笑）
また、面白そうなのあったら、教えてね〜♪
by hatumi30331 (2011-06-06 06:14)
さよなら渓谷・・読み入ってしまいそうな、ストーリーなんですね。
吉田修一さんにも、興味が湧いてきました。
by はなちゃん１０４M (2011-06-06 07:15)
両方とも興味深いですね〜
by pandan (2011-06-06 07:25)
おはようございます＾＾
悪人は気になっていましたが、映画はみていません＾＾；
今度本屋さんに行ったら、吉田修一さんの作品のぞいてこようかな♪
特に『さよなら渓谷』、読みたくなってきました＾＾
by 月夜空 (2011-06-06 09:21)
おはようございます。
それにしてもhana様の読書スピードの速さがすごいです。
私なんて、何冊も中途半端ですからね・・・どうにかして読破しますｗｗ
「さよなら渓谷」も「悪人」もテーマは愛なのですね。
でも切り口が違うって感じでしょうか。読み比べも楽しそうです。。。
現代社会の希薄な人間関係・・・
かくいう私もしっかりと当てはまっているように思います。近所に住んでいる人でさえ
知らない人がたくさんいる始末ですから・・・＾＾;
by perseus (2011-06-06 11:34)
重いテーマでも少し救われる部分があったほうが好みになってきました。
めでたしめでたしで終わる時代劇チックなストリーを好むようになりそうな予感です。
by サンダーソニア (2011-06-06 11:41)
お久さし～(^^♪
ブログ再開しました
by sumairu (2011-06-06 12:11)
面白そうですねーー♪
図書館で借りて来ようかな♪♪
by まつき (2011-06-06 12:56)
hatumi30331さんへ
あら？どうしてわかったのかしら。
今読み始めたのが、｢告白」なんです。
昨夜すぐに眠くなってしまったので、まだ面白い・・・までいっていないのですけどね。
こう見えても、本と映画についてはうるさいのよ！それに食べる事もかな。
しかし映画を見る前に、出来たらこんな下準備はいりませんよね。余計なお世話までは、言わんといてね~~
はなちゃん１０４Mさんへ
一人の作家に興味を持つと、その人のものを続けて読んでしまう私です。
どちらも暗い寂しい男女を描いたもの。自分がネクラだから、こういうのが好きなのかしらね。
pandanさんへ
ありがとうございます。
月夜星さん、こんにちは。
書店の平台に並べられているものも、一度は手に取ってはみるものの･･･中々冒険の出来ない私。
だから月夜星さんのレビューはとても参考になります。
「さよなら渓谷｣は、女性にはつらい内容でした。
perseusさん、こんにちは。
この他に軽めのエッセイを数冊、それに映画化された「ちょんまげプリン」なんかも読みました。
でも元がネクラだからか(笑)、このように暗い内容のものに惹かれます。
何しろ普段全く頭を使わない私です。お仕事をされているperseusさんは仕方がありませんわよ。
サンダーソニア さんへ
サニーさんのｺﾒﾝﾄで思い出しましたのですけれど。
ドラマ｢仁」の今後の展開はどうなるのでしょうね！？
sumairuさんへ
本当にお久しぶりです。
三月の震災以降、大変な毎日をおくられていたのですね。
まつきさんへ
ネクラな内容にお付き合い頂いてしまって、ごめんなさい。
ただネクラなだけではないつもりでいるのですけど、自己満足全開でいるのは間違いありませんわね。
by hana2011 (2011-06-06 14:08)
悪人、今度DVDで見る予定＾＾
by くまら (2011-06-06 15:28)
こんばんは。
いつも訪問 niceありがとうございます。
「悪人」去年 スクリーンで見た作品です。
ものすごく 見てる側が考えさせられる
心に残る 映画でした。
hanaさんの解説で 原作も読んでみようと思いました。
by aatyan (2011-06-06 22:03)
おはようございます。
いつも訪問ありがとうございます。
by pandan (2011-06-07 07:26)
くまらさんへ
映画の｢悪人｣はお勧めです。私も相当に、良かったです~
aatyanさん、おはようございます。
こちらこそご訪問&ｺﾒﾝﾄをありがとうございます。
映画をちゃんとスクリーンでご覧になったのですね！
そう、登場人物たちの心境にそって、色々と考えさせられる映画でしたね。
たいていの場合、原作を先に読んでしまって映画を見るとガッカリさせられる事が多いものですけれど･･･
今回に限り映画の出来が良かったものですから、原作も読んでみました。
pandanさん、おはようございます。
またもｺﾒﾝﾄを、ありがとうございます。
nice!を下さった、皆様へ
何時もありがとうございます。
by hana2011 (2011-06-07 10:45)
「Jin」は楽しみにしています。
by サンダーソニア (2011-06-07 12:54)
「悪人」はついこないだ読んだ所です。去年入院中に友人が退屈しのぎに読んだらと､持ってきてくれました（これと「告白」）。
両方とも重たそうで入院中は読む気にならず､放ってあったんですが､最近になってやっと読んでみました。「告白」は負の連鎖でどうしょうもないなって感じで､まるで救いがない。好きになれませんね､あの手のものは。
「悪人」はまだ､若い世代で有り得る話かなとも思うし､なんとか再生･やり直しがきく部分があるのではと感じさせてくれました。
いずれにせよ重たい内容はシンドイと感じるのは歳のせいでしょうか・・・
by Allora (2011-06-07 22:41)
現代社会の希薄な人間関係と、主役の男女のもつ孤独＞・・・
その通りだと思います。携帯がある時代と無い時代の違いとも言えるような気がします。
by KEI (2011-06-08 00:41)
サンダーソニアさんへ
日曜日の、仁先生！
大沢さん熱演のあまり、大暴れ状態で！
あんなに押されたら堪らないって、変なところで笑ってしまいました。
Alloraさんへ
私も｢告白｣はまだ、途中なのですけど･･･読んでいて、「どいつもこいつも･･･」なんて言いたくなってしまいました。
またブログネタとして書くと思いますけど、私も読んでいてこういうのは好きじゃないと思ってます。
Alloraさんと違って暗い私は、暗いお話は嫌いではないのですけれど。
KEIさんへ
他の方へのｺﾒﾚｽに書いた、今読んでいる最中の本｢告白」。
その内容は中学生が主役、そして｢悪人｣は私の子供と同年齢の若者が主役です。
どちらも現代社会の生きづらさ、それぞれの孤独が描かれています。
読むだけで、もう一度人生をやり直す事が出来るにしても、大変そうだって思ってしまいました。
by hana2011 (2011-06-08 15:17)
ミステリーって今、人気があるジャンルですけれど
私は、あんまり読まないんです。
どうしてかなぁ？と考えてみると、必ずと言っていいほど起こる殺人事件
それが嫌なのかなぁと思い至りました。
それでも、興味がわくと読んでみることもあるのですけれど・・・。
ただ、希望や救いが無いと、つらいですね。
読み終えても引きずってしまって・・・。
by じゅりあん (2011-06-14 21:31)