「ひそやかな花園」角田光代著・「追悼者」折原一著 [本]
このところスッカリサボってはいたものの・・・一応、本だけは読んでおりました。
今日は、その中の二冊。
「八日目の蝉」に次ぐ、角田光代の新作の「ひそやかな花園」。
毎年、夏休みになると決まってある別荘に集まる七組の親子。そこは一組の家族の持ち物である大きなログハウス。
一定の期間このサマーキャンプを過ごしてきた7人の子ども達。輝くような夏の思い出は、一人一人にとって大切な思い出、記憶だったのだが・・・
きらめく夏の日々、その裏には親達により隠された秘密があった。
以下は、ネタばれになります。
それは・・・同じクリニックで知り合い交流が始まった、夫以外の精子で人工授精をして子供を授かった家族の集まりだったのだ。
成長した子供達が懸命に連絡を取り合い、調べた結果判明した事実であったのだが・・・
期待を持って読み進めていただけに、「なんて!思わせぶりなぁ~!」と拍子抜けをしてしまいました。
しかしその選択に至る夫婦間の葛藤は、想像にあまりある。
適わない場合、どのような手を使ってでも子供は欲しいものなのか!?
子供を生むと言う事、子供側からしたら今目の前にいる親が生物学上の親か、育ての親か・・・が作品のテーマとなっている。
その辺り「八日目の蝉」と似通っていると感じられます。
小説のラスト。
父親がだれであれこれが自分の人生、この先も一生懸命に生きていこうとする・・・それぞれの子供達が前向きな姿勢になり・・・ラストを迎えます。
重いテーマを扱った本作において、救いとなっていると思いました。
子供がいてもいなくても一人でも二人でも、 それぞれの状況で人は幸せを感じることが出来るはずと思う。それは私の勝手な思い込みなのかもしれませんけれど。。。
下町・浅草の古びたアパートで発見された絞殺死体。被害者は大手旅行代理店のOLだが、夜になると街で男を誘っていたという。
ここまで読んで・・・過去に起きた東電OL殺人事件をモチーフとした小説と思われる方は多いものと思う。
あの事件から、ノンフィクション作家の佐野眞一は「東電OL殺人事件」を書き上げ、桐野夏生は同性の視点から力作「グロテスク」を書いたのでした。
しかし本作は実話ではないミステリーであるから、事件現場も被害者の勤務先も変えています。
事件に興味を抱いたノンフィクション作家が、彼女の生い立ちを取材する。
すると、彼女の周辺では奇妙な事件が相次いで起きていたことがわかってくる。
彼女を殺した犯人は?その動機は?
本書では、ライター笹尾の視点から書かれたものと、関係者の証言が交互に続く。
そこへ誰の視点からなのかわからない独白が挿入されているので…読者は混乱させられるのだ。
殺害されたOL奈美の過去が明らかになるにつれて謎は広がっていき、疑わしく感じる人物も変わっていきます。
私は最後の最後まで犯人がわからなかった、意外でした。
事件をモチーフにはしていますが、これがこの作者の手法なのでしょうか。
相当に想像を膨らませて読み進めていかないと、混乱させられます。ラストはチョッとした衝撃でした。
作者・折原一のものを読むのは、「誘拐者」に次いで二冊目となるのだが・・・面白いとか、好みかと言われたら???
人間のもつ心理状態ほど怖いものはないと思わせる・・・後味は最悪に近い。夏の夜のホラーなみなのであった。
どちらも実家に置いてあったものをもらってきて読んだものです。
自分で選んで読んでおいて…どちらもとんでもなく暗~いなぁ!と感じた作品でした。
同じように暗いなら暗いで、そこに更に毒を盛り込んだ桐野作品の方が爽快だって思ってしまった私です。
2011-08-02 00:00
thanks(69)
コメント(14)
もう少し早く教えてもらっていれば・・・・
今日、これから一日お留守番の所に行くのよ〜
暇を持て余します。
毎年、本を4冊読むんやけど・・・今年は・・・忘れたよ〜!
さて・・・何して過ごそう〜〜^^;
ひそやかな花園・・・気になる!
追悼者も面白そう〜 折原一
久しぶりに読みたくなりました〜(笑)
by hatumi30331 (2011-08-02 06:20)
夏は花屋はひまなので、休みの日にじっくりと本でも読みたいなと思ってます。
参考にさせていただきますね(^_^)
by ameya (2011-08-02 07:16)
読書って大事です
私もっと読まねば
by ミッチー (2011-08-02 07:34)
カラッと晴れた日にこういう本は向いていますね。
気分が暗くなっても 外を見れば気分が変わります。
by サンダーソニア (2011-08-02 07:49)
おはようございます。
折原一さんの小説は、『天井裏の散歩者』は読んだことがあります。
文章に結構特徴がありました。良く噛まないと味が分からないというか・・・
この追悼者、気になりますね。筆者の独特な世界観がちょうどこの暑い
時期にはマッチしているのかな?なんて勝手に思ったりもしています^^
お盆休みに読んでみようかな。
by perseus (2011-08-02 11:19)
最近本読んでないです。
個人的なブームで、水滸伝や岳飛伝を読むのが好きです
by くまら (2011-08-02 11:47)
hatumi30331さんへ
その4冊って一年間に読む本の数ですか!?
それぞれに事情があり、余計なお世話ですけれど・・・私はそれはとても耐えらません。
読みたい本はいくらでもあるものの、寝つく前に読むものだから、それ程読めずにおります。
ameyaさんへ
花がいたみやすい夏って、お花屋さんは大変なのですね。
私の読んだものなど、本当に参考になるのでしょうか!?
ミッチーさんへ
それ程大そうなものではありません。ただ読むのが楽しいからなのです~
サンダーソニアさんへ
こんなのは可愛いものですね。
現実に起きている事で、気持ちが落ち込む事、腹立たしく思うことはいくらでもありますからね。
perseusさん、こんにちは。
上に書きましたように・・・著者の本は、まだ二冊しか読んでおりません。
前作の「誘拐者」、内容の詳細はもう覚えていませんが、何か恐ろしい気持ちになった記憶があるのです。
フジテレビの笠井アナは自身のプロフィールで公言する程の折原ファンだそうですね。
折原ワールドにはまってしまったら、チョッと怖い気がしてしまいます。
くまらさんへ
個人的なブームって…本の世界に限らず、大切にしたいものですね。
by hana2011 (2011-08-02 12:15)
読みだすと次々に読みたくなるんですが、最近は
ちっとも読んでませんーー(>_<)
母に借りた「八日目の蝉」も、かれこれ数カ月
枕元に置いたまんまだったりします(^◇^;)
早く読もう~って気になりました~~!
by まつき (2011-08-02 14:28)
「ひそやかな花園」を読んでみようと思いました^^/
早速、図書館に予約をしてみます^^
by choko (2011-08-02 18:51)
こんばんわ^^
hanaさんの『子供がいてもいなくても一人でも二人でも、 それぞれの状況で人は幸せを感じることが出来るはずと思う』という同じ意見のおかげで、私は救われたことがあります。いま、明るく生活できているのも、この一言でした。思い出して、涙がでました。
by 月夜空 (2011-08-02 22:11)
最近はあまり本を読んでいないなぁ。
お盆休み、久しぶりに読んでみようと思います。
by hayama55 (2011-08-03 05:26)
まつきさんへ
「八日目の蝉」は本と、壇れい主演のテレビドラマと見ました。
母は映画まで見ていて、でも原作が一番良かったわぁ~とのことでした。
本当は恐ろしい事なのに・・・単純な私は、すっかりきわこになりきってしまい…逃げて、逃げてと・・・一気に読んでしまったのでした。
枕元に本を置いては、同じ状況です。
chokoさんへ
コメントを、ありがとうございます。
角野作品はどれも、心に響くものばかりですね。
月夜星さん、おはようございます。
家も子供が一人だけなので、「一人だけなの~?」って気の毒そうに言われた事が何度もあるのです。
そんなの大きなお世話です。
世の中には子供は二人が当然、それが幸せと考えている方が大勢いるのですね。人はそれぞれなのに・・・想像力不足と言うか、何だかなぁ~って思ってしまいます。
hayama55さんへ
そう言えば…家の夫さんも、本読んでいるかしら!?
普段は暇がありませんものね。
nice!を下さった皆様へ
何時もありがとうございます。
by hana2011 (2011-08-03 08:12)
>子供がいてもいなくても一人でも二人でも、 それぞれの状況
>で人は幸せを感じることが出来るはずと思う。
このhanaさんの意見に賛成です。
もしつけ加えるなら「結婚していても、していなくても・・・」でしょうか?
どのような状況でもそれぞれ幸せな人も、そうは思えない人も
いるのだということを忘れている人も、世間には
結構いらっしゃるんですよね。
それぞれの幸せは、きっとそれぞれにあると
思うんですけどねぇ。
by じゅりあん (2011-08-05 22:37)
じゅりあんさんへ
結婚していても、していなくても・・・は、勿論のこと。
人の幸せって何なのでしょう。それは平均値ではなく、それぞれのものであるはずなのに・・・
そう思わない方って、結構いらっしゃいますね。
今の私の状況を見たら・・・不幸のどん底にいるって思われてしまうことでしょう。
by hana2011 (2011-08-06 10:09)