読書の秋だから・・・続き。 [本]
先日の続き、ブックレビュー後半です。
「2005年のロケットボーイズ」五十嵐貴久
読もう、読もうと思いながら久しく手にもせず・・・気がつけばベッド脇のツンドク本に紛れていた・・・。しかし難しい事は一切考えないで楽しめる、単純に面白かった一冊です。
不運続きの落ちこぼれ高校生、梶屋信介があるきっかけから人工衛星の製作をすることになる・・・
本のタイトルは「ロケットボーイズ」ながら、実際に製作するのは「キューブサット」。
キューブサットとは、小型人工衛星。設計したキューブサットは地球周回軌道の上に打ち上げるという…全く可能性のない無謀とも言える計画を、最初は仕方なくやり始めたのだった・・・。
助けてくれる仲間たちとの計画にのって、徐々に楽しさを見出していく主人公。
仲間となるのは誰もが相当変わっている、個性的なキャラ達・・・と、青春ものの王道をゆくストーリィが展開される。
登場人物に共感してしまうところがあったり、彼らの懸命さ、若さが懐かしく思えたりして・・・
中高生に読んで欲しい一冊ながら、大人でもじゅうぶんに楽しめるものであった。
久しぶりに理系っぽい作品を読んで、・・の割りには、内容&文章共に難しい事は一切なく。その対局に・・・文章表現は多分に素人っぽさが感じられた。
それでも夢のある内容、本の結末には感動を覚えてしまいました。
作者の「パパとムスメの7日間」は、舘ひろし、新垣結衣主演でドラマ化されましたね。
「夜のピクニック」恩田陸
秋に修学旅行がない代わり、朝の8 時から翌朝の8時までの24時間を食事と休憩時間をのぞいて、ひたすら 歩き続ける「歩行祭」という学校行事があります。
私・貴子は自分の心の中で、歩行祭の間にクラスの男の子・融に話し掛けて返事をもらう・・・という賭けをした。
・・と書くと、恋愛めいた青春ドラマを想像されるかと思うが・・・甲田貴子と西脇融の間には、ある深い秘密があったのです。
一緒に歩くクラスメイトの顔さえ見えない、深夜の時間帯には・・・。
歩きながら声と気配だけを頼りに、日常の生活ではしないような話をし続ける。
ただひたすら歩くだけの小説なのに・・・、
普段の学校生活では経験しえない時を共有していくのは、普段見ることができない・・・意外な人の意外な素顔をかいま見る時でもあった。
決して外に出さないであろう感情が浮かび上がってきたりもする。
顔も見えない暗闇の中を、共に歩き続けた者同士だけが共有出来る感情。
それはわかり易く言ったら、夢中になってやる部活の訓練だったり、クラス全体で作り上げる劇の練習であったり・・・が、後になって大切な思い出になっていくのと同じなのかもしれないと思いました。
歩き続けるのは辛いけれども、終って欲しくないと言う登場人物達。本を読み進める私達との間で感情の共有してしまえるのが、本書の魅力です。
自分自身の高校生時代なんてもうウン十数年も前の事、しかしその頃の自分を思い起こす力が秘められていると感じました。
「夜のピクニック」は第2回本屋大賞、第26回吉川英治文学新人賞を受賞した。良質な青春小説に思いました。
「100年前の女の子」船曳由美
本の主人公、寺崎テイは平成21年には101歳になった。女の子は結婚をして、5人の子供を立派に育て上げた今、家族の愛情に包まれて静かに暮しています。。
カミナリの落ちた日。栃木県足利郡筑波村大字高松に生まれた女の子テイは、実母の顔もを知らずに育ったのだ。新しいお母さんが来た後は、養女に出されます・・・
苦労を重ねながらも、村の暮らしの中で成長していくテイ。健気に、生き生きとしてはいるものの・・・心の奥底に常にあるのは、生涯一度も会う事の叶わなかった母への思い。本書は「母恋い」の物語でもあるのだ。
明治~大正の時代を背景に、ひとりの少女の成長の日々が、娘である筆者の手で鮮やかに描かれている。
それは常に自然に寄り添いつつ、貧しくも命高らかに生きた、私達の何代か上の祖先の生き方であった。
村のお正月に節分、
雛の節句には哀しい思い出もある。
柿若葉の頃からは、急に村は忙しくなる。
十五夜には月に拍手を打ち。秋が深まればコウシン様の夜もくる。やがてくる冬は街道からやってきて・・・。
日々の最も身近な風景である田畑は、実りをもたらし・・・
木々のざわめき、水の流れる音が、暮らしの中で息づく・・・命あるもの達の、命の尊さが率直に綴られています。
四季のある日本、自然と共に生きてきた私達の祖先たちは神を畏れ、仏を敬う。大地に根付いた暮らしは、親から子へと続いて伝えられました。。
かつては日本のどこにでもあった村の暮らしと、家族の記憶が呼び覚まされる本作。
タイトルからして何とも地味ながら、内容的にはこちらもお勧めの一冊なのです。
読んだ本はまだあるのだけれど・・・今回は、このくらいで終わりにします。
「2005年のロケットボーイズ」五十嵐貴久
読もう、読もうと思いながら久しく手にもせず・・・気がつけばベッド脇のツンドク本に紛れていた・・・。しかし難しい事は一切考えないで楽しめる、単純に面白かった一冊です。
不運続きの落ちこぼれ高校生、梶屋信介があるきっかけから人工衛星の製作をすることになる・・・
本のタイトルは「ロケットボーイズ」ながら、実際に製作するのは「キューブサット」。
キューブサットとは、小型人工衛星。設計したキューブサットは地球周回軌道の上に打ち上げるという…全く可能性のない無謀とも言える計画を、最初は仕方なくやり始めたのだった・・・。
助けてくれる仲間たちとの計画にのって、徐々に楽しさを見出していく主人公。
仲間となるのは誰もが相当変わっている、個性的なキャラ達・・・と、青春ものの王道をゆくストーリィが展開される。
登場人物に共感してしまうところがあったり、彼らの懸命さ、若さが懐かしく思えたりして・・・
中高生に読んで欲しい一冊ながら、大人でもじゅうぶんに楽しめるものであった。
久しぶりに理系っぽい作品を読んで、・・の割りには、内容&文章共に難しい事は一切なく。その対局に・・・文章表現は多分に素人っぽさが感じられた。
それでも夢のある内容、本の結末には感動を覚えてしまいました。
作者の「パパとムスメの7日間」は、舘ひろし、新垣結衣主演でドラマ化されましたね。
「夜のピクニック」恩田陸
秋に修学旅行がない代わり、朝の8 時から翌朝の8時までの24時間を食事と休憩時間をのぞいて、ひたすら 歩き続ける「歩行祭」という学校行事があります。
私・貴子は自分の心の中で、歩行祭の間にクラスの男の子・融に話し掛けて返事をもらう・・・という賭けをした。
・・と書くと、恋愛めいた青春ドラマを想像されるかと思うが・・・甲田貴子と西脇融の間には、ある深い秘密があったのです。
一緒に歩くクラスメイトの顔さえ見えない、深夜の時間帯には・・・。
歩きながら声と気配だけを頼りに、日常の生活ではしないような話をし続ける。
ただひたすら歩くだけの小説なのに・・・、
普段の学校生活では経験しえない時を共有していくのは、普段見ることができない・・・意外な人の意外な素顔をかいま見る時でもあった。
決して外に出さないであろう感情が浮かび上がってきたりもする。
顔も見えない暗闇の中を、共に歩き続けた者同士だけが共有出来る感情。
それはわかり易く言ったら、夢中になってやる部活の訓練だったり、クラス全体で作り上げる劇の練習であったり・・・が、後になって大切な思い出になっていくのと同じなのかもしれないと思いました。
歩き続けるのは辛いけれども、終って欲しくないと言う登場人物達。本を読み進める私達との間で感情の共有してしまえるのが、本書の魅力です。
自分自身の高校生時代なんてもうウン十数年も前の事、しかしその頃の自分を思い起こす力が秘められていると感じました。
「夜のピクニック」は第2回本屋大賞、第26回吉川英治文学新人賞を受賞した。良質な青春小説に思いました。
「100年前の女の子」船曳由美
本の主人公、寺崎テイは平成21年には101歳になった。女の子は結婚をして、5人の子供を立派に育て上げた今、家族の愛情に包まれて静かに暮しています。。
カミナリの落ちた日。栃木県足利郡筑波村大字高松に生まれた女の子テイは、実母の顔もを知らずに育ったのだ。新しいお母さんが来た後は、養女に出されます・・・
苦労を重ねながらも、村の暮らしの中で成長していくテイ。健気に、生き生きとしてはいるものの・・・心の奥底に常にあるのは、生涯一度も会う事の叶わなかった母への思い。本書は「母恋い」の物語でもあるのだ。
明治~大正の時代を背景に、ひとりの少女の成長の日々が、娘である筆者の手で鮮やかに描かれている。
それは常に自然に寄り添いつつ、貧しくも命高らかに生きた、私達の何代か上の祖先の生き方であった。
村のお正月に節分、
雛の節句には哀しい思い出もある。
柿若葉の頃からは、急に村は忙しくなる。
十五夜には月に拍手を打ち。秋が深まればコウシン様の夜もくる。やがてくる冬は街道からやってきて・・・。
日々の最も身近な風景である田畑は、実りをもたらし・・・
木々のざわめき、水の流れる音が、暮らしの中で息づく・・・命あるもの達の、命の尊さが率直に綴られています。
四季のある日本、自然と共に生きてきた私達の祖先たちは神を畏れ、仏を敬う。大地に根付いた暮らしは、親から子へと続いて伝えられました。。
かつては日本のどこにでもあった村の暮らしと、家族の記憶が呼び覚まされる本作。
タイトルからして何とも地味ながら、内容的にはこちらもお勧めの一冊なのです。
読んだ本はまだあるのだけれど・・・今回は、このくらいで終わりにします。