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冬の九州へ・・・⑰飯塚の新名所で終わり [2015・1月福岡・佐賀・長崎]

私は朝ドラの熱心なファンではありません。ましてや嘉納伝助こと吉田鋼太郎がタイプとかではないのだけれど。。
福岡空港まで戻る途中に通りがかった・・・また時間も少し残っていたものだから・・・
最後に立ち寄りしたところは、こちらでした。
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筑豊の五大炭鉱主のひとりである、伊藤伝右衛門(ドラマ「花子とアン」では、嘉納伝助として登場しました)と、歌人・柳原白蓮が過ごした旧邸宅です。
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なーんて言いつつ、ミーハーでスイマセン[あせあせ(飛び散る汗)]
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白蓮の輿入れの際に伝右衛門は、大規模な自宅の増改築を行いました。
明治30年代に建てられたこの屋敷は、伝右衛門の人生の変遷そのものが反映されていると言われています。

伊藤伝衛門4.jpg
貧しさの中を生きた子供時代、経済的繁栄を手に入れた後、身分を超えて白蓮を迎え入れた…。
そうした伝右衛門の人生とともに、増改築を繰り返し、立派な庭園を持つ大邸宅へと変化していった屋敷です。
長い塀の中に広がる・・・2300坪の敷地。そこに建てられている・・・部屋数25室という広大な家屋。

貧しさから身を立て、筑豊の「石炭王」にまで上り詰めた伊藤伝右衛門。
最初の妻を失った彼は明治44年、柳原前光伯爵の娘・燁子=白蓮を妻として迎え入れる事となる。
伝右衛門50歳にして、若く美しい花嫁を迎えたのであった。
日本建築の粋を集めて改築したのが、この「旧伊藤伝右衛門邸」です。

伊藤伝衛門5.jpg
全体が数寄屋造りの和風建築ながら、玄関を入って左の応接間は本格的な洋風の造りで。。暖炉=マントルピースには、アール・ヌーヴォー調の英国タイルが使われています。


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見上げたら、中央部分が張り出した・・・船底型に見える天井の造り。
板の張り方が目の錯覚を呼ぶ、実際には平面である天井なのでした。

伊藤伝衛門8.jpg
内部はどこも京都からわざわざ宮大工を呼んで技を尽くさせたという、細やかな美の技法に満ちて・・・。
巧妙な竹細工が編まれている床の間の天井など、目に見えない隅々にまで「粋」が凝らされた屋内。伝右衛門が白蓮を迎え入れる決意のようなものが、そこかしこから伝わってくるように思えました。

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時代が明治に入って・・・近代国家を目指した日本。そんな中、我国の近代化に果たした石炭の役割は計り知れないものがあっただろう。
国内にも、人馬以外の動力が必要とされる時代が到来した。導入された蒸気機関車や製鉄のための高炉には当然、燃料として石炭が必要となったのだ。
「富国強兵」を目指す明治政府が産業の基礎としたのは、外貨を稼ぐための「絹産業」、造船のための「製鉄業」、そしてエネルギーの供給は「石炭業」であったと言います。

その後の日露戦争がもたらした「富」が、形になって残った・・・旧伊藤伝右衛門邸。

伊藤伝衛門10.jpg
見るものを圧巻させるもののひとつに、この華麗な…日本庭園があります。

彼の死後この屋敷は一度売却されて、とり壊しなどの方針も検討されておりました。
しかし、文化遺産として存続を求める飯塚市民の署名運動によって市に譲渡が決まり、現在は一般に公開中なり。
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「花子とアン」コーナーを楽しむ・・・アヤシイ来館者。これは見せてはいけなかったかも?
だって誰でもアンに変身出来ちゃう・・・バスケットと帽子が置いてあるのですもの。何でも楽しまなくてはね[るんるん]・・・と言いつつ、悪のりだったかなぁ?

私の来館中も、ツアーバスが次々とやってきたりして・・・恐るべし!「花子とアン」効果。
そこに便乗してしまった私達でした。
「伝助さんは今、どこにいらっしゃるの?」とお聞きしたら、「ただ今は、東京へ出張中です」ですって。
堂に入った説明ぶり、ノリの良いスタッフさん達。飯塚市の観光協会の方々のお話はもっと伺いたかったのですけど・・・。
どこから来たのか尋ねられたので、「栃木から来ました」と答えたら、「え、え~~~!?」だって。
そこまで驚かなくても良いのに[あせあせ(飛び散る汗)]
http://www.kankou-iizuka.jp/denemon/

テレビって内容がどうであれ(花子とアンは毎朝、面白く見ていました。比べても現在放送中の〇ッ〇ンのつまらない事)・・・それらに関わらず、スゴイ集客力だなぁ~って思ったのが、正直な感想です。
これまでも新潟県内にある豪農の館、歴史ある老舗旅館の建物。日光には旧御用邸の建物、比べてはいけませんがありますしね。
早め早めの行動をしないと気がすまない夫、空港へと急ぐことにします。

空港前でレンタカーの返却を済ませて。。
しかし大きな福岡空港の中を、端から端まで歩いてチェックインを。その後は、博多名物の「博多通りもん」や梅が枝餅、母へは「かるかん」等買っていたら、迫っていた搭乗時刻。
椅子に腰かける間もなく、機内へ・・・って、ああ、忙しい[ダッシュ(走り出すさま)]

でも今回も楽しかった[るんるん]

訪ねた土地、土地はどこも温かで・・・すでに黄色い菜の花が咲いていた。

連日眺めていた・・・見あきる事のない、玄界灘や大村湾沿いの海辺の景色。

初めての九州は、ただ行くだけ。行けば良いくらいに・・・ノープランで行ってしまった。
機内で考え、夜のホテルで翌日の日程を決めようくらいの気持ちで遊んだ、福岡~長崎への旅でしたけれど。。
しかしこれで終わりって訳じゃない。
終わりは、始まりってよく言われる事。今はまたひとつ、「新たな・・・目標」が出来たと思っているのです。
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コメント 17

てんてん

あ!いっちば~ん
昨日の記事の、門司港側のフグのトンネル ボイジャーくんで通りましたよ~(* ̄v ̄)ムフフフ・・・
「新たな・・・目標」気になるにゃ^^;
あ゛!お祝いコメありがとです~♪
by てんてん (2015-02-17 22:11) 

ゲンさんおかさん

hanaさまへ

朝ドラでは、吉田鋼太郎の怪演もあって、
ヒョロヒョロの学生より、
石炭王の方がいいな~、と思ったワタクシ。
なんでも好きな事をさせて貰えそう・・・。

そういえば、学生役の俳優さんは
国木田独歩の孫なんですってね。

帽子とバスケットで、
アンに変身中のhanaさま、
お顔は見えなくても、
可愛さが伝わってきますよ!

by ゲンさんおかさん (2015-02-17 22:45) 

song4u

すごいよね、この行動力は。
最後の最後まで徘徊しまくりなんだもん。(口が悪くてゴメン^^;)
だけど、こんなに骨までしゃぶったら、しゃぶられたほうも満足。
よくぞここまでしゃぶってくれました・・・って感じだ♪

終わりは始まり? まさにそうですよね。
part17までもの渾身の記事、本当にありがとうございます!
楽しむ人には、楽しいことが降って来る・・・
hanaさんの記事を拝見してると、そんな気がしました。
是非とも、またのお越しを!!

by song4u (2015-02-17 23:14) 

hana2015

てんてんさんへ
早速に、ありがとうございます。
それで、てんてんさんはお幾つになったのかしら?私よりなんこか下ですよね。
「新たな・・・目標」って、そんなの遊びに行く事に決まってるじゃありませんか!

ゲンさんおかさん様へ
ありがとうございます。こちらは別の意味ですので。。
三つ編みの鬘付きの帽子は、夫が是非とも被って!と言うものだから・・・なんてね♪
素顔の吉田鋼太郎はカッコイイおじさんだと私も思います。
舞台で活躍されるだけあって、声も良いのです。
歩くんは、国木田独歩からとった名前だそうながら・・・私ったら生意気に、こちらの彼には話し方に知性が感じられないって思ってしまいました。


by hana2015 (2015-02-17 23:18) 

hana2015

song4uさんへ
ここは素直に、褒めて頂いているととることにします。
そうなんです。
5日間の日程に関わらず、17まで書いてしまうとは・・・まさに海外旅行並みと言えましょう!
来て下さっていた皆さんも、きっと呆れていると思いつつ・・・書かずにはいられなくて(笑)
初の九州であった今回。旅している最中は当然ながら、帰って来てからも思い出して、こうして長々と楽しんでしまいました。
そこにはsongさんをはじめとして皆様の応援があったればこそなのでした。
ついでに、白状してしまいますれば・・・ブログ上で、「福岡への旅のレポを発信したら、1万円を進呈!」のブロガーとして採用が決定済みであり。。
また茨城空港利用のポイントが夫婦で集計して、10ポイント!という事から・・・こちらも、別口で1万円頂けちゃう♪
ただでは起きない私なのです。
それにしても、今回の温かなコメントの数々には本当に勇気づけられた思いがあるのは事実。
また絶対に行きますので、その時はジモティらしいアドバイスをまたお願い致します。

by hana2015 (2015-02-17 23:33) 

下総弾正くま

飯塚の炭鉱遺構も歩いてみたい…(・囚・;)
by 下総弾正くま (2015-02-17 23:39) 

orange

不思議な天井の羽目板ですね。木材の色も素敵な色になっています。
なるほど。貧しさから富を。努力をすれば...気力があれば..

by orange (2015-02-18 01:18) 

hana2015

下総弾正くまさんへ
飯塚の町を通過中、飯塚と言えばボタ山・・・と言う事で目を凝らしていたものの、見つからず。。
平野にポツンとあった「標高の低い緑色のがそうじゃないのかなぁ」と夫。確かに。。
くまさんと言えば、遺構ですもの!飯塚の炭鉱遺構、是非行って来て下さいな♪

orangeさんへ
一見、地味な部分に凝る。日本人ならでは…と思わされます。
>貧しさから富を。努力をすれば...気力があれば..
明治から大正の、時代を背景とした部分が大きかったと思わされまする。
ムリクリ時代を現代に移してみれば、IT長者と言われる一部の方達かもしれませんね。

by hana2015 (2015-02-18 09:53) 

まつき

敷地2300坪に部屋が25室、50歳で若い花嫁?
なんとも許せん・・・いやいや羨ましいですねぇ(^◇^;)
実際には平面である天井、面白いです!
ノープランでも素晴らしい行動力で、充実した日程を送る!
流石、旅の達人hanaさんご夫妻ですね(*^^)v 
確実に実行されるであろう新たな目標、楽しみです!(^^)!
by まつき (2015-02-18 11:10) 

ritton2

早速のコメントありがとうございました。
福岡は地元ですが名所らしい所はほとんど行っておりません^^;

by ritton2 (2015-02-18 11:46) 

がり

良い旅になったようですね。
生きるためにがむしゃらにがんばってた人の多い時代。
当時に比べると私を含め、がむしゃらにがんばってる人間の数は
減ってますね。^^;

by がり (2015-02-18 11:56) 

hana2015

まつきさんへ
ご本人のお写真を拝見した限りではすでに老年に達していたせいもあり、そう下品で強欲なイメージはありませんでしたけど。。
次はとりあえず、四国辺りかも!?
なーんて、その前に沖縄旅行を思い出しつつ、来週からは沖縄編の力作をアップしませんと。。お気楽すぎて、ゴメンネ、ゴメンネ~~
こんなブログなのに、毎回のコメントをありがとうございます。

ritton2 さんへ
九州であるのは文面から理解しておりましたが・・・。
何時でも行けるって、誰でもそうなるものですね。

がりさんへ
改めて思えば、何にもないところから現在の日本を作り上げたのは、働いて、働いて・・・の私達の親世代以上の人達です。
それに対して、世の中が変わったからとはいえ、歪んだ思考や行動をする若者たちを育ててしまったのは私達。
一見カッコ悪く見える、一生懸命って実は決して悪い事ではないと思ってます。

by hana2015 (2015-02-18 14:01) 

Aちゃん

朝ドラ見てないから分かんない(^^;
てゆーか国営放送はニュースしか見ないしw
by Aちゃん (2015-02-18 16:08) 

薔薇少女

コメントずぅ~っと書けませんでしたが、本当に色々な処に
行かれたんですね。
>、「福岡への旅のレポを発信したら、1万円を進呈!」のブロガーとして採用が決定済みであり。。
さすがhanaさん☆⌒d(*^ー゚)b グッ!!
旅の記事も食事の記事も、とても素人とは思えない、文章力に長けた
興味をそそられる記事ですもの(*゚▽゚ノノ゙☆
>旧伊藤伝右衛門邸
どの番組だったか忘れましたが、この屋敷を紹介していました!
>伝右衛門が白蓮を迎え入れる決意のようなものが、そこかしこから伝わってくるように思えました。
ココまで伝右衛門に愛されていても、愛する事が出来なかったのは
白蓮が強い意志を持った特別な女性だったからなのでしょうか?!
この当時の平凡な女性だったら、劇的な物語は生まれなかったかな・・・
白蓮と伝右衛門の物語を誰かドラマにして欲しいと思っちゃいました!
>夫が是非とも被って!
そんな事を言って貰えるなんて羨ましいです(*^-^)ニコ
ウチの主人は死んでも言わないです・・・
hanaさん、マジ可愛いぃ~d(゚-^*) ナイス♪
by 薔薇少女 (2015-02-18 17:39) 

yuzuhane

あの天井、ほんと船底のように出っ張って見えますが平らなんですね。驚きました。近代国家を目指した過程で大きな役割を持った石炭業その勢いが結実した素晴らしい屋敷なんですね。hana2015さんの語り口が大好きで、説明も楽しく拝見しています。
by yuzuhane (2015-02-18 19:26) 

DEBDYLAN

こんばんは。

行き当たりバッタリの旅行ってある意味贅沢かも。
行ってみなければ知ることのできない名所もありますしね^^。

清張の本は『日本の黒い霧』でした^^;

by DEBDYLAN (2015-02-18 22:02) 

hana2015

Aちゃんさんへ
この局は公共放送と名乗ってはいますが、一般的に見るなら国営放送なのでしょう。
・・・と言いつつ公平性もなく、K国ドラマブームを作り上げたのもNHKなのですけれど。。

薔薇少女さんへ
その番組は、私も見ています。
安住アナと吉田鋼太郎さんがこの場所を訪問したものでしたね。
あの時は、自分がここへ来るとは全く予想もしていませんでしたけれど。。
福岡レポ発信で1万円のお小遣いを。
もう一度ふたりで飛行機に乗ったらまた1万円ゲット!・・・と言う理由から、次の沖縄行きも決めてしまったという訳なんです。
白蓮と伝右衛門の物語ではないのですが、白蓮と宮崎龍介との道ならぬ恋、逃避行を題材にして作家・林真理子が書いた作品が「白蓮れんれん」です。
実際には「是非、被って」と言葉にしてはいないのです。ただニヤニヤして帽子とバスケットを私に手渡した。
そして「そこに座って」くらいは言ったかと思いますが。。可愛いのは私ではなくて、そうして遊んだ夫の方でしたね♪
発症した病気と大腿骨の頸部骨折と、一生治らない大きなものを背負ってしまった私。失ったものは自由、えたのは不自由な身体と・・・失くしたものを思えば寂しくなるばかり。
私の夢見ていた「花の五十代」はどこへ行ったの?・・・の思いは強いものの。
一度しかない自分の人生ですもの、出来ない事よりもまだ残っているもの方を大切にして、これからもシブトク生きてやる!と思っているのです。でもそれは長生きをすると言うのではなく、後悔のない人生と言う意味ですので。。。

yuzuhaneさんへ
ありがとうございます。
薔薇少女さんへのコメレスでも書いた通り・・・一見してはわからないでしょうけれど、病気で不自由をえてしまった私です。
だから今は、海外へも行けないので~す。
当時としては最高の腕をもった大工や職人たちの腕と心意気が感じられる…各ヵ所に凝らしてある、繊細でいて遊びのある細工の数々。出来たらもっとユックリが良いですね♪

DEBDYLANさんへ
こんばんは。
DEBさんのお家の様に、ペットちゃんがいたら無理ながら。。
しかし我が家は、暇と時間だけはタップリあるのです。
下山事件、三鷹事件、松川事件・・・等の、まさに戦後の混乱期に起きた怪事件の数々。GHQ占領下の日本の暗部が描かれた貴重なノンフィクション作品ですね。・・・と言いつつ、私は未読でございまする。

by hana2015 (2015-02-18 22:54) 

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