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映画「ブレードランナー」 [映画・DVD]


ブレードランナー 最終版 [DVD]

ブレードランナー 最終版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD


今頃になって、今更と言われてしまうだろう・・・映画、名作と名高い映画「ブレードランナー」を先日テレビで見ました。
その後のSF映画に、大いなる影響を与えた作品だそうです。
原作となったのは、フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 」、タイトルからしてなんじゃこれ!?と言いたくなってしまうのだ。
同作家の同じく近未来を舞台としたアーノルド・シュワルツェネッガー主演の「トータル・リコール」は、公開時に子供と一緒に見たものの・・・理解するまで至らず。
脳の機能の不思議、記憶の曖昧さだけが強い印象として残っているのですけれど。。。

1982年に公開された映画だけに、今見ると主役のブレードランナー役=ハリソン・フォードをはじめとしてだれもかれもとにかく若いです。
「レプリカント」と呼ばれる人造人間達。それは若き日のショーン・ヤングや、ダリル・ハンナ。
脱走グループのリーダーであるバッティ=若きのルトガー・ハウアーの端正な佇まい、冷たく光るブルーの瞳は魅力的だ。
最近では「バットマン ビギンズ」にも彼は出演していました。
本作においては人の持つ狂気と悲しみを、人以上に表現していて・・・そこが切ない。主役のハリソン・フォードは完全に食われてしまっていように見えた。
ここに描かれているのは・・・人間の存在ってなに? 人間にそっくりでありながら人間ではないものって?

この映画の魅力はなんと言っても、描かれた近未来社会の描写。
夜の闇、そぼ降る雨、全体的に怪しいムード満タンのキャメラワーク。
オープニングから続く、可笑しな日本語の看板や漢字のオンパレード、30年前からすでにアジアの時代がやってくる事を予見していたかのようである。

それにしても・・・SFって映画にしても小説にしてもなぜかに退屈!?それはあくまでも、私個人についてなのだけれど。。。
スタンリー・キューブリック監督の代表作品とも言われる「2001年宇宙の旅」。
シュトラウスの名曲「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れる中、お猿さんが骨を投げるあのシーン。
あの退屈なシーンの長さでもって、眠くなってしまうのだもの・・・
「スター・ウォーズ」シリーズの面白さもよくわからない。
あ、でも「ギャラクシークエスト」とか「マーズアタック」って言う隠れた傑作もあるのだよ。

監督リドリー・スコットは「エイリアン」に続いて、同様のSF作品としてこの作品を撮りました。
他には松田優作の遺作となった「ブラック・レイン」、これも息子と一緒に見たっけ。
ラッセル・クロウが全編おやじの魅力を見せた「グラディエーター」、こちらも好きな映画でした。


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「東京島」 [映画・DVD]


東京島 [DVD]

東京島 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD



先に桐野夏生の原作は読んでしまっていた「東京島」、映画化されたものをレンタルで観ました。
意図的にか原作をさらに明るいトーンにして、テンポよくコメディータッチに仕上げた映画となっていました。しかしハッキリ言ってこれは駄作だと思う。
原作を読んだ感想については、こちらも不出来なものだけど・・・
http://hana2009-5.blog.so-net.ne.jp/2009-09-03
原作を読まずに無人島を舞台にしたのサバイバルものを期待して観ると、これまた裏切られる事になる。ここでは無人島内における人々の密室劇が描かれているのだから・・・

結婚20周年のクルーズの途中、ある無人島に夫と共に流された清子=木村多江。
そこに仕事がきつくてバイト先を逃げ出してきたフリーター達がやってきて・・・島の中でたったひとりの女性として人生を謳歌し生き生きと過ごす事になる。筈なのであるが・・・
映画の中の清子は男達にそれほどモテモテとなる訳でもなく、必死になって生き抜こう、どうにかして島から脱け出そうと悪戦苦闘をする様子の方が印象に残るのである。

ここ最近出演した幾つかの作品中で、現在不幸な女をやらせたらこの人しかいないと思わせる女優の木村多江。
女優として演じにくいのでは?と思える、嫌な中年過ぎの役柄を本作品でも上手く演じている。
またシチュエーションから全シーンをノーメイクで。
彼女の演技からは、普通の主婦がこの様な状況におかれたら生き残るために必死になるであろうと想像もされる。

清子の天敵、フリーターの中においても嫌われている変わりものの渡辺役を演じる窪塚洋介は、はまり役だった。
都合よく女性である事を武器にして生きる清子、そこをハッキリと指摘しバカにする二人の関係はチョッと笑えるし、微妙な感じがする。
清子の痛いところをつく目つきや台詞、亀の甲羅を背負っている渡辺の日常の妙な動きが可笑しい。
かつては、ヒットドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の主役。
映画「GO」にて史上最年少で日本アカデミー賞の最優秀男優賞を受賞したりしたり・・・も今は昔と言う感じでいましたけど、ここでは適役です。

中盤になって島に上陸する中国人達、生命力の違いから日本人の若者達が脅威を感じるところ。
そこがタイムリーにも現在の大震災後の日本と重なって見えるというのは、私だけの考えすぎだろうか。

観終わってみて結局、心に残るのはエルメスのスカーフの派手な色合いと柄。
エルメスのスカーフのドレスをまとって清子が砂浜を歩くシーンなどは美しく見えたし、私も一枚だけ持っているからあの丈夫さは十分に理解できるものですもの。


先日紹介済みの映画「悪人」。
もうすでに先週の事だけど・・・どうしても欲しくなってしまって、「悪人」と「悪人ドキュメントDVD 妻夫木聡が悪人だったあの二ヶ月」の二本を買ってしまいました。
             dvd.jpg

買っただけで満足。まだ観ていない。
おバカだなぁって、笑ってもいいわよ!!

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映画「悪人」 [映画・DVD]


悪人 スタンダード・エディション [DVD]

悪人 スタンダード・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD



公開時からずっと気になっていた映画「悪人」を、レンタルして週末に観ました。
結果として評判どおりに良かった、とても良い映画でした。
原作者の吉田修一が脚本まで参加したとあって、優れた脚本と役柄に合ったキャストが揃ったなら低予算でも優れた映画は作られるものと思いました。
映画「フラガール」の、李相日監督作品です。

まず最初に印象的なのは、田舎に暮らしている等身大の若者の姿を描くのが上手であると言う事。
海辺の田舎の家で祖父母と三人暮らし、車を乗り回すことくらいしか楽しみをもたない男・清水祐一=妻夫木聡。
ここではほぼ全篇を通して、地方のもつ閉塞感や気だるさの混じる空気が漂っている。
子供の頃から可愛いらしい容姿ゆえに、ずっと異性に媚び続けてきたと思われる佳乃=満島ひかり。
山中の橋の下から、彼女の遺体が発見される。
祐一と出会ったもう一人の女、紳士服量販店で働く馬込光代=深津絵里はアパートで妹と暮らしている。変わりばえのしない単調な日々の寂しさから、彼女もまた祐一にメールを送る。
まず捜査線上に浮かぶのは、知人の大学生=岡田将生であった。
しかし本当の犯人は別にいた、佳乃を殺してしまったのは祐一であったのだから。
なぜ、事件は起きたのか?
加害者と被害者、それぞれの家族達。皆が皆、失ったものの大きさに呆然とする。
愛する一人娘を失って悲嘆にくれる佳乃の両親。
「どうして光代ともっと早くに、出会わなかったのだろう」と嘆く祐一。

光代の心境にどうしても寄り添いがちになってしまうのは、同性だからだろうか?
妹が彼と出かけてしまった後、ひとりコタツに入ってケーキをやけ食いをする孤独なその姿。
明らかに彼より年上で、地味な外観の彼女が待ち合わせの場所で気後れして隠れてしまうところ。
ただのデートのつもりがお金まで渡され帰りの自転車置き場で悔し泣きするところなど、印象的なシーンは数多い。
それでさえも・・・互いに惹かれあい、それまでの全てから逃げざるをえない祐一と光代のもつ孤独。

事件のきっかけを作る大学生。
祖母を騙して漢方薬を売りつける悪徳業者、祐一不在の中、祖母を追いかけまわすマスコミの人間。
子供を祖母の元に預けっぱなしでいた無責任な母親等、他にも普通に暮らしている悪人は登場してくる。
観客に対して絶えず「悪人」とは?と、問いかけ続けるのである。

逃避行の果て。
疲れきり薄汚れていく男に対して、彼女の方は地味な外見のそれまでとはうって変わって美しく輝きだしてくるのだ。
ここでの妻夫木は、明るく健康的なこれまでの役柄からのイメージチェンジに成功していると思う。
深津絵里は確かにその実年齢の割りには可愛らしい。ただそれだけでなく、ここでは悲哀と覚悟、空気感も体現している。
これまでのテレビドラマではどうして良い役ばかりするのか不思議であったが、映画の中の彼女は特にいいと思えた。
この映画で第34回モントリオール世界映画祭最優秀女優賞を受賞、その後日本アカデミー賞最優秀主演女優賞も受賞しました。

小川洋子原作による映画「博士の愛した数式」。
こちらは原作も読んで、その後に映画も観ましたが、この中の深津絵里もその存在感はさりげなく大きい。
交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか続かなくなってしまった元数学者の「博士」=寺尾聰。
博士の家の家政婦である「私」=深津絵里と、息子「ルート」の心のふれあいを描いた佳作です。

ここでは脇役達もみんなそれぞれに良い。
柄本明、樹木希林は特に強烈だ!普段はふたりとも役作りをし過ぎるかのように思えるのだが、本作の中ではどちらもその存在が際立って見える。

ラストシーン、光代が「そうなんですよね。あの人は悪人なんですよね」とつぶやく。
その後、祐一が目かくしてをした彼女に夕日を見せる静寂のシーンへと続いて・・・・
灯台からふたりが眺める、東シナ海へ沈んでいく夕焼けの眺めは雄大そのもの。一筋の光が見えてくるかのようにも思えるのだが。。。
逃避行の地である大瀬崎断崖は、九州本土で最も最後に夕日が沈むところだとのこと。
人は誰もが自分を認めてくれる相手を求めていると思う。
登場人物たちそれぞれの心情に思いを寄せざるを得ない結末となっていた。見応えのある映画でした。
「悪人」のオフィシャルサイトはhttp://www.akunin.jp/index.html

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「REDレッド」 [映画・DVD]

            1008610_01.jpg
ご存知ブルース・ウィリスにモーガン・ フリーマン、ジョン・マルコヴィッチら大物俳優たちが出演するスパイ・アクション映画の「REDレッド」を観てきました。
今は静かな、静か過ぎてわびしささえ覚える引退生活を送る元CIAのエージェント・フランク=ブルース・ウィリス。
彼の唯一の楽しみは、用事を装って年金課の女性サラ=メアリー=ルイーズ・パーカーに電話をかけることだ。
ある夜突然に何者かに襲われた事から、彼はサラを連れてかつての上司ジョーの元を訪ねます。
自分を襲ったのは自らが身を置いたかつての組織CIAだと知ったのち、昔の仲間たちとチームを再結成し反撃に出るのだった。

そのコードネームが、映画のタイトルである「RED(現役を引退した超危険人物)」
組織を使って彼らの命を狙うその理由は?操っている黒幕の正体は?
その辺りは別に謎解きでもなんでもなく見ているとわかってくるのだから、ここにサスペンス的な要素は全くありません。
ハリウッド映画お得意のカーアクションも含めた、アクションに次ぐアクション。
派手な撃ち合いシーンの連続で、難しいことは考えないで、大いに楽しめます。

元イギリスのスパイ・ビクトリア=ヘレン・ミレンは「殺し」の名手。エリザベス女王役でオスカー女優となった事を忘れさせてくれる程、素敵に派手に撃ってくれます。
真っ白なエレガントなロングドレス姿で、ヒールをさりげなく履き替えるシーンが笑えました。
人気TV映画「第一容疑者」の時から、私は彼女のファンです。

マーヴィン役のジョン・マルコヴィッチも昔から大好きだ~~ 声が良いのね。
そう言うと・・・必ず変わってるって言われたものだけど。そんな彼も年とったなぁ~
デビュー作「プレイス・イン・ザ・ハート」について書いた日記は、こちら[次項有]http://hana2009-5.blog.so-net.ne.jp/2010-09-02
「マルコヴィッチの穴」なんて言う、変な映画も作られています。
キョロキョロと落ち着きのない目つきに口角を上げた独特な口元、そのなりきりぶりはクレージーそのもの!この役柄にはピッタリなのです!

かつてネルソン・マンデラ大統領にも扮したモーガン・フリーマン。
出演場面は少なめながら・・・何時もの飄々とした、でも親しみのある微笑みは健在です。
今回は役どころからして仕方がないのでしょう。
出演作「最高の人生の見つけ方」については[次項有]
http://plaza.rakuten.co.jp/hana7899/diary/200810310000/
サラ役のメアリー=ルイーズ・パーカーは、好きな映画「フライド・グリーン・トマト」にも出ていたのですね。
豪商役ではリチャード・ドレイファスが、珍しくも悪役で登場します。
私世代には「北国の帝王」「ポセイドン・アドベンチャー」等の名優、アーネスト・ボーグナインの出演シーンもあるのでお楽しみに!
レッドの面々が身体を張って繰り広げるアクションシーンと共に以上のお楽しみも、映画好きには応えられないもの。私ったらずっと、ニヤケっぱなしでございました。

と言う感じで・・・この映画、とにかくキャストが豪華、豪華です。
もう誰もが、主役をはれる人ばかり!!
レッドを追い詰めるCIA役=カール・アーバンは、「リード・オブ・リング」シリーズにも出演していたらしいけれど今回がほとんどお初でした。
フランクの台詞の中でも「キュート!」と言われるカッコイイ役どころながら、名優達の存在感の前で相当割をくっている感が強い。
それでも共演シーンの連続は、役者冥利に尽きるものだろううと想像ができました。

先週テレビ放送された「日本アカデミー賞」の放送を見て、主演男優賞・女優賞・助演男優賞・助演女優賞を総なめにした映画「悪人」。
最初はそちらを観に行こうかと思いました。同館でリバイバル上映がされていたのです。
しかし、この映画は少し待ったらテレビ放映されそうだし・・・
またC・イーストウッド監督の新作にも興味シンシン!
それでも、こちらの映画の方を観て良かったように思いました。
「RED」オフィシャルサイトは[次項有]http://www.movies.co.jp/red/
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映画「ミルク」 [映画・DVD]


ミルク [DVD]

ミルク [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


タイトルになったミルクは、1970年代のアメリカに実在した人物。
これはゲイであることカミングアウトして政治家となったハーヴェイ・ミルクの生涯を描いた映画です。
年若い恋人と二人新しい人生を求めてサンフランシスコに移り住んだミルク、彼は同性愛者達の支持を得て政治的な活動を始める。
恋人との別れと、市議会議員への3度の落選。
しかしついにミルクは当選を果たして、自分達ゲイの為、マイノリティの為の活動を始めるのであった……。

市議として仕事を始めて間もなく、同僚議員のダン・ホワイトの手により市庁舎内で市長と共に射殺されてしまう。。。
ミルクの死に対し哀悼の気持ちを込めたキャンドルの灯り。
数千人もの参加者がカストロ通りを埋め尽くしすシーン、そこに被るミルクの残したメッセージは感動的だ。

ドラマシーンをはさんだドキュメンタリーの様に作られた映画でした。
この映画はまさにハーヴィー・ミルク=ショーン・ペンを見る為のものと言って良いかと思います。
本物のゲイでは?と思えるほど役になりきっています。
エンドロールの前に本物のハーヴィー・ミルクの映像が流れますが、仕草も話し方もとても似ています。
これまでの役柄とは違っているから、見たことがないほど軽やかで愛嬌があって可愛らしい。
年下の恋人スコット・スミス役のジェームズ・フランコはスパイダーマンシリーズの悪役・ゴブリン役が印象に残っていますが、ここではヘアスタイルでまるで別人のようです。
ジョージ・モスコーニ市長には、映画では脇役を演じることが多いヴィクター・ガーバー。
この人、映画「タイタニック」では船の設計主任役を演じていました。

監督したのはガス・ヴァン・サントだったのですね。これまでは、B級映画ばかり撮る監督と思っていましたけれど・・・
この主人公に対する、マイノリティを見つめる視線が感じられる仕上がりとなっています。
A・ヒッチコックの名作「サイコ」をリメイクした「サイコ」。演じる配役こそ違うものの、意図的に全く同じになるように制作された新作はどこに意味があったのでしょうか。
結構好きなのは、まるでお人形のような金髪美女・ニコール・キッドマンを主役にした「誘う女」。
ニコール・キッドマン=スーザンは、地元TV局の天気番組のキャスター。
「テレビに出て有名になる」事が全ての彼女は、邪魔になった夫を高校生=ホアキン・フェニックスを誘惑して殺害させる。
あのどうしようもないキャラ、しかし次々と着替えるパステルカラーの彼女のファッションは楽しめます。違う意味で面白い映画でした。

俳優のティム・ロビンスが監督、パートナーのスーザン・サランドンが修道女役を演じた映画は「デッドマン・ウォーキング」。
ショーン・ペンの死刑執行される死刑囚役は、まさにつぼ。
そのティム・ロビンスと競演した、クリント・イーストウッド監督作の「ミスティック・リバー」も。
本作での演技により、ショーン・ペンはアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
先日紹介した映画「レスラー」で熱演した、ミッキー・ロークは惜しくも受賞を逃したのです。
またショーンの、自身で監督した「Into the Wild」もとても良い映画だったのです。「Into the Wild」については、こちらへ[次項有]http://hana2009-5.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27

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「沈まぬ太陽」 [映画・DVD]


沈まぬ太陽 スタンダード・エディション(2枚組) [DVD]

沈まぬ太陽 スタンダード・エディション(2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


この作品は、作家・山崎豊子による長編小説を元に映画化をしたものです。
舞台となるのは、日本のフラッグシップである航空会社の国民航空。これだけで、とある航空会社の名がが思い浮かんできますね。
社内で労働組合委員長として経営陣と対立した恩地元=渡辺謙は、その報復としての左遷人事により10年間にも及んでカラチ、テヘラン、ナイロビと海外僻地へ追いやられる。
それは今から30年以上も前の事であり・・・その間には子供の教育問題からの家族との別れ、母と死別もあった。
そのような憂き目にあっても彼は、それでも会社の意向から決して逃げようとはしなかった。
しかし組合の副委員長として共に戦った行天四郎=三浦友和は、恩地とは別の道を歩む事を定めていた。

その後ようやく帰国を果たした恩地であったが、そこに起きたのが航空機が御巣鷹山に墜落した「国航ジャンボ機墜落事故」。
ここは本作中で最も重要なシーンであるだけに、事故後の様子にも迫力が感じられました。
同じ題材を扱った映画で一昨年だったかに映画化された「クライマーズ・ハイ」は・・・いかにも低予算で作ったのがありありと見てとれた出来だったから、原作がよく書き込まれていたものだけに残念に思いました。

遺族係へとまわされた恩地は遺族への対応にしても何よりも誠実を心がけるが、人の形を留めていない無残な遺体を残された遺族達には簡単に受け入れられるはずもないのだ。
事故後に総理大臣の意向で、関西の紡績会社の会長・国見=石坂浩二が会長に就任後は、会長室に招かれて共に社内の改革へと向かっていくが・・・
一度でも利権を手にした人間・組織がそれを黙って手放すはずもなく。結果、政・官が癒着して社内の不正疑惑は葬られてしまう。
国を代表する航空会社ともなると、そこで持つ力の大きさや影響はいかばかりなものなのか!?
この国と企業が経済発展を共にしてここまで来たことは私でさえ理解に及ぶところとなるのだが・・・・
「良心」と言う言葉はどこかに忘れ去ってきてしまったものだろうか。
主役の男達の間に交わされる不正、疑惑、嫉妬。どれもが汚らしく思えた。

女性陣は、恩地の妻役に鈴木京香、母には草笛光子。
行天の愛人でありスパイでもあるCAの松雪泰子。事故で夫を亡くした女性=木村多江など。
松雪の眉間にしわをよせたボソボソした話し方は、今年春に放送されたドラマ「Mother」の時と全く同じ。

とにかくキャスティングは豪華そのものです。例えるなら、二時間ドラマのゴージャス版みたいに。
ラストは行天に再度ナイロビ行きを命じられて、アフリカの大地をバックにした・・・それでも希望を持って生き抜こうとする恩地=渡辺謙のナレーションで終わる。
このシーでは、やはり感動をします。
3時間超のスケールの大きなストーリーを支えきった、主役である堂々たる存在感が感じられた映画でした。
そしてやはり俳優は声が命。そして顔も、スタイルも・・・・ってうるさい?

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「レスラー」 [映画・DVD]


レスラー スペシャル・エディション [DVD]

レスラー スペシャル・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
  • メディア: DVD


前々から見たいと思っていた映画「レスラー」について、今日は書きます。

人気レスラーとして過去には人気を極めたものの・・・今は落ち目のレスラー、ランディ・ロビンソン、演じるのはミッキー・ロークです。
年齢を重ねてもアルバイトをしながらレスラー生活を続けるラム(レスラーネーム)=ランディ。しかし生活は苦しく、身体はもうボロボロ。
そしてついには心臓発作を起こしてレスラー生命を絶たれてしまう。
それからだって・・・
これまでも彼のいい加減な性格に振り回されてきたと思われる、たった一人の愛する娘にも愛想をつかされて、ストリッパーのキャシディ=マリサ・トメイにもふられてしまうのだった。
アルバイトでただ日々をしのぐ毎日。ランディは再びリングに上がる決心をする。

ラストの試合、レスリングシーンでの痛々しい映像。解っているけど・・・もう誰にもとめられないのっていうのはお約束です。
その愚かさがまた魅力なんだなぁ~
最初のキャスティング時には「ミッキー・ロークでは?」と難色を示されたとのエピソードが残るものの・・・この役がはまり役となり、その演技は数々の賞に輝きました。
私は格闘技の世界を全く知りませんが、対戦の試合の前の打ち合わせ。
ショー的要素たっぷりのオーバーアクションやリング状でのやらせの数々。
同じ仲間として、リングに上がってからもランディを思いやるシーンは心に残るものでした。

老眼鏡をかけて電話をするシーン。シャワーキャップをかぶってお惣菜を計るシーン。
それは映画の中の事ではあるものの・・・見ている内、そこにこれまでのミッキーローク本人の人生までも重ね合わせて見てしまったのでした。
かつては「ナインハーフ」や「エンゼルハート」の出演により、ハリウッド・ナンバーワンセクシィ男の名をほしいままにしました。
危険な香りがプンプン漂う、ニヒルな笑みをたたえた甘いマスク。
人気絶頂の頃の来日では、ボクシングの試合に出場しました。その時の彼、スケスケのヒョウ柄パンツをはいた上に飛び出したのはしょぼい猫パンチ。
「ミッキーロークは、ボクシングをなめている」と言ったのは誰だったでしょうか。あれはボクシングファンでなくとも失笑ものでしたから。。。
90年代は出演作も目白押しであったマリサ・トメイ、彼女が演じるのは熟女ストリッパー。
マリサ・トメイってしばらくご無沙汰していたと思ったら、こんな役をやるの!?
それでも・・・もうかなりの年齢かと思われるのに、あの贅肉のないボディは立派そのものです。
ミッキーがこの一世一代の名演技でもって、表舞台に返り咲いたのは皮肉なことでありました。50代半ばとなって、ゴールデングローブ賞を受賞。アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされました。
同年代である事から、本作中の彼には愛おしさが感じられました。
格闘技好きでなくても、楽しめた映画です。

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「ダウト ~あるカトリック学校で~」 [映画・DVD]


ダウト ~あるカトリック学校で~ [DVD]

ダウト ~あるカトリック学校で~ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
  • メディア: DVD


トランプのゲームでもある「ダウト」これは「疑う」と言う意味なのか?台詞の「ダウト」は、映画の中で何度も出てきます。
ケネディが暗殺された翌年の1964年、NYのブロンクス地区にあるカトリック系の付属学校がこの映画の舞台です。
厳格な信仰と信念をもって学校を運営する、校長のシスター・アロイシス=メリル・ストリープ。
対する開かれた教会を目指す進歩的なフリン神父=フィリップ・シーモア・ホフマン。彼が校内でただ一人の黒人少年を誘惑したとして・・・・校長は、二人が特別の関係にあるのではとの疑いを持つ。
証拠もないに関わらず、確信を持って執拗なまでに神父を追いつめていく校長。
エイミー・アダムス演じる若い教師の気持ちが、その間で揺れ動くのも納得です。

監督は、ジョン・パトリック・シャンリー。
過去に撮った、シェールとニコラス・ケイジのラブロマンスを描いた「月の輝く夜に」は見たことがありました。
この映画により、シェールはオスカーを受賞。その時着た衣装が話題となって、大いに顰蹙を買ってしまったことだけは覚えております。

事情を聞く為に校長に呼びつけられた少年の母・ミラー夫人。
そのシーンの二人の会話から、ミラー夫人が人並み以上の理性と言葉を持っている事が示されました。
今から40年以上も前のアメリカ社会では、黒人と言うだけ、女性と言うだけで、不等と思える生活環境で生きざるを得ない。社会でも家庭内でも自分の思惑を外れた生き方を強いられている事が伺いしれたように思いました。
何があったかよりも、ただ我子の幸せと将来を願う母。
登場時間の短さに関わらず、存在感たっぷりであったのは母親役のヴィオラ・デイヴィスです。
校内ただ一人の黒人、その環境で少年が抱える孤独と将来への不安。メリルと向き合い、押さえた演技でそれらを表現しました。

フリン神父と、シスター・アロイシスとの間にある激しい確執。
大女優メリル・ストリープと、こちらもオスカー俳優・フィリップ・シーモア・ホフマンが対決する迫力あるクライマックスシーンは見ものです。
映画の始まりの頃の神父の最初の説教・・・・
そこで印象的だった台詞は「疑い・ダウト」であった。
「疑いは確信と同じくらい強い絆になり得る」と神父は言う。その説教が、この後に皮肉として効いてきます。

フリン神父とシスター・アロイシス、この二人は全てが違いすぎたのだ。
ここまでではないものの・・・過去に出会った方の中に彼女に近い方がいたことを思い出してしまいました。
本人は正論が全て。それを間違いないとする自信を持っているのだから、周囲には余計に面倒なことこの上ない。
本作でのメリル・ストリープの演技には納得されられました。
「プラダを着た悪魔」よりも怖いメリルを見たかったら、是非ご覧下さいね。
そんな「プラダを着た悪魔」は、過去ページへ[次項有]http://hana2009-5.blog.so-net.ne.jp/2010-01-23
背景となる学校をとりまく雨、風、雪。それぞれのシーンが、全体の暗いトーンの中で活きていた。。。
シスター・アロイシスの告解で終わるラストは、作品に含みを持たせたものと思いました。

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綿の花を見て・・・「プレイス・イン・ザ・ハート」 [映画・DVD]

少しピンボケですが・・・・・・何のお花か、わかりますか。
綿の花.jpg

これは珍しい、綿の花。
このように真ん中がえんじ色、全体が少し濃いクリーム色をしたのはアジア綿・和綿と言うのだそうです。この花は下を向いて咲いています。アップで写っていますけど、2~3センチくらいの小さな可愛らしい花です。
花が咲いた後にできる実=コットンボールが成熟するとはじけて、中から白い繊維が顔を出します。綿の繊維は綿の種にはえた繊維です。そして綿製品の原料となるものです。
家用に頂いた二株は、この猛暑で水枯れをして枯れてなくなってしまいました。
綿にはトゲがあるので、うっかり触ると指が切れて血だらけになってしまいます。

綿花畑で必死の収穫をする場面が印象に残る映画に、1984年の映画「プレイス・イン・ザ・ハート」があります。
綿つながりで、かなり強引ですけど今日はその映画の話を。
この年の作品賞こそは「アマデウス」(・・・この映画も面白かったですね)に持っていかれてしまいましたが・・・
主演のサリー・フィールドは、本作品でオスカーを受賞しました。
好きな俳優の一人であるジョン・マルコヴィッチも、助演賞でノミネートをされた映画でした。

ジョン・マルコヴィッチが好きと言うとそれだけで変わってる~~、ほとんどの人にドン引きされてしまうものですけど。
同じくこちらも好き好き・ゲイリー・シニーズが監督をし二人が競演をした、スタインベックの名作を映画化をした「二十日鼠と人間」。
作中と同じで、二人は私生活でも友達だと言います。
スピルバーグ監督による日本のゼロ戦にあこがれる少年=子供の頃のクリスチャン・ベール、の成長を描いた「太陽の帝国 」。ここでもマルコビッチはインパクトのある役柄ながら、そっと少年を見守る役。
それぞれの映画の前に出演した映画がプレイス・イン・ザ・ハートでした。
その容姿と共に、個性的な演技派であるマルコビッチ。
新作映画のプロモーションの為に初来日して話題となっているジュリア・ロバーツ、彼女と競演した映画が「ジキル&ハイド」。
マルコビッチとグレン・クローズの芸達者な二人の余裕の演技の前で、主演であったジュリア・ロバーツはノーメークで役に挑むほどの熱演でした。
しかし見ていて、その余裕のなさが少しいたく思えてしまったのだった。

「プレイス・イン・ザ・ハート」は保安官である夫を殺されたエドナ=サリー・フィールドが、家族を守るためにひたむきに生きる姿が描かれた映画。
肝心のラストは覚えてはいないのだけれど・・・この辺り、無責任であるなぁ。
何よりも脇役の顔ぶれが豪華そのもので、素晴らしかったのである。
眼の不自由な下宿人=ジョン・マルコヴィッチ、流れ者の黒人役にダニー・グローヴァー。
姉の夫=エド・ハリスと、親友の妻役のエイミー・マディガンは、この映画での共演がきっかけとなって結婚をしました。
エイミー・マディガンは、ケヴィン・コスナーの「フィールド・オブ・ドリームス」での奥さん役だったっと言うと解る方も多い事でしょう。
エド・ハリスとゲイリー・シニーズ、そしてケヴィン・ベーコンは「アポロ13」に出演し、この映画も大ヒットを記録。出演した以上の3人も含めて、こちらも大好きな映画なのです。

「プレイス・イン・ザ・ハート」・・・映画のクライマックスは、この未亡人が中心となって借金返済のためにモーゼスをはじめ家族総出で必死になって綿作りに励み、摘み取りをするシーン。
そこに黒人であるモーゼスが「KKK(白人至上主義団体、秘密結社)」の一団に襲われて町を出ていくよう脅迫されるシーンもあり。。。
今から70年前のアメリカ南部社会では人種差別、男女差別も大きくあった。
この時代背景が、映画の中でも重要なテーマとなっていたように思う。
こんな古い映画、見た方、覚えている方いるのかしら?

淡いクリーム一色の花を咲かせるのはアメリカ綿で、横や上を向いて花が咲くと言います。

【映画パンフ】プレイス・イン・ザ・ハート サリー・フィールド

【映画パンフ】プレイス・イン・ザ・ハート サリー・フィールド

  • 出版社/メーカー: moviestock2
  • メディア: おもちゃ&ホビー


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「ソルト」 [映画・DVD]

                soruto.jpg
月曜日は夫と、映画「ソルト」を見てきました。今日はそれについて書きます。
「ソルト」の主役は、アメリカの情報機関であるCIA捜査官イヴリン・ソルト=アンジェリーナ・ジョリー。
CIAと言えば、トム・クルーズ主演作の「ミッション・イッポッシブル」でもお馴染みです。

北朝鮮の刑務所で彼女が拷問を受けているショッキングなシーンが、オープニング。
それから・・・・数年後の現在。
CIAに謎めいたロシア人の男オルロフが捕らえられて、その尋問をソルトがすることになった。
「アメリカ副大統領の葬儀の為に来米するロシア大統領。その彼を暗殺のために送り込まれているスパイがいる。その名前はソルト。」彼の口から出たその言葉により・・・所属するCIAから疑われ、追われる、彼女の日々が始まるのであった。
本作を今週末にでもご覧になる方もいらっしゃるでしょうから・・・・ネタばれになってしまうので、この先はお楽しみと言う事で伏せておきましょう。

この映画も最初は、トム・クルーズ主演で製作する予定であったと言う。
監督はフィリップ・ノイス。
初期の頃の作品には、当時人気絶頂であったジョン・ローン・・・覚えていますか(笑)主演で「ラスト・ジゴロ」。
シャロン・ストーンの「硝子の塔」などといった・・・トホホな映画を作っていたものでしたけれど。。。
アンジーとデンゼル・ワシントンが組んだ「ボーン・コレクター」
私は未見ながら・・・実話に基づいたオーストラリア映画「裸足の1500マイル」なども撮っている。今がちょうど旬の時期にさしかかっているであろう監督さん。

アンジェリーナ・ジョリーは、昨年見た「チェンジリング」以来のこと。彼女は「チェンジリング」の演技により、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。
「チェンジリング」を見た感想は、こちらです[次項有]http://plaza.rakuten.co.jp/hana7899/diary/200903110000/
突然いなくなった、唯一の家族である我子を探す必死な母の姿。そんな気持ちを抑え気味に演じた「チェンジリング」でのアンジーの演技も良かったのでしたけれど・・・オスカーは、「愛を読むひと」のケイト・ウィンスレットに持っていかれてしまいました。
ケイトも私の大好きな女優さんの一人ですし、「愛を読むひと」も感動をした映画でしたから。。。
その「愛を読むひと」のレビューはこちらです[次項有]http://hana2009-5.blog.so-net.ne.jp/2010-01-13

彼女の代表作とも言われる大ヒット作「トゥームレイダー」、これ先日テレビでやっていましたね。
ここではパパのジョン・ヴォイトと父娘競演を。
私世代では、ジョン・ヴォイトで真っ先にイメージされるのって・・・・田舎から出てきた長身のカーボーイ青年を演じた、ジョン・シュレシンジャー監督作の「真夜中のカーボーイ」なのです。
ダスティン・ホフマンと共に温かな南のフロリダを目指して旅する男娼役だった彼が、数十年後に出演した「アナコンダ」(大蛇?)・・・爬虫類は嫌いだけど、内容のあまりの下らなさには大笑いしました。そのアナコンダよりも怖い容貌になってしまうなんて、想像さえ出来なかったわ。


アンジーとブラッド・ピットのカップルは、結婚前後から常にマスコミの注目の的となっていますね。出演作は結構見ているのに、ブラピの良さが私には解らない。
そしてその前の夫は、映画「狂っちゃいないぜ」での競演により結婚してしまったビリー・ボブ・ソーントン。
ビリーも目が離せない個性派俳優のひとりであり、私の希望としてはあのまま続いていって欲しかったとの思いが強い。
でもビリーの奇行とか、それに二人は年齢も違いすぎましたからね。
マンハッタンのツインタワーが爆破されたテロ騒ぎの真っ最中にふたりが来日していたのは、彼女の映画のキャンペーン中だったのではなかったかしら。


ハードなアクションシーンの連続で、飽きることなく見られた「ソルト」。
スパイ容疑をかけられたソルトが手製の爆弾を作って逃走するところから始まって・・・走る、飛ぶ、戦う、撃つと、どのシーンも様になっているのは見事としか言いようがありません。
またアクションだけではなく、ソルトの頭脳プレイも一緒に楽しめる。時には思わず笑ってしまったくらい・・・・
これだけハードな役でもこなしてしまうのは、さすがはハリウッドの大女優!!
全編通して、カッコ良過ぎです。
そのファッションも、柔らかな金髪からストレートな黒髪へ。
タイトなグレーのスカート姿から目立たないような黒っぽいスーツ、更にはファー付きのマント&帽子姿へと変身する。
これも娯楽作品としてのサービス精神!?ゆえか。
アクションシーンが面白く見られた、アンジーの強烈な個性満載の映画でした。
ラストは、続きがありそうな予感。。。

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「劒岳 点の記」 [映画・DVD]


劔岳 点の記 メモリアル・エディション [DVD]

劔岳 点の記 メモリアル・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


「劒岳 点の記」は新田次郎の小説を原作とした映画です。
本は昨年読んで、感想をアップしていますので・・・・あらすじ等は過去のブログ内でご覧下さいませ→
原作は読んでいたものの、映画化をされたこちらについてはレンタルショップでは常に貸し出し中。
ネットでレンタルを予約するも、人気のため何時になっても手元に届く事はありませんでした。
先週末テレビ放送においてようやく見る事が叶いましたので、本日はその事について少々。


陸軍測定班の測量手・柴崎芳太郎=浅野忠信は、日本地図最後の空白地点を埋める為に「陸軍の威信にかけて剣岳の初登頂と測量をせよ」との厳命を受ける。
当時、剣岳は険しさと宗教上の理由から「死の山」とも言われました、そのような前人未踏の剣岳登頂に挑んだ男たちを描いた映画です。
「ヴィヨンの妻」ではそれ程と思わずにいましたが、本作では寡黙で抑えた静かな演技がこの役柄の性格を際立たせているように感じられました。
浅野忠信は顔も良いけど、声も素敵ですね。声の良さは役者にとってかなり重要な要素をしめるものと、私は思っています。

信頼を寄せる古田=役所公司に紹介された、山案内人はの名は宇治長次郎=香川照之。
あの外見が私の好みではないからか、香川照之ってどうしていつも良い役ばかりなのって?不思議に思っていた俳優のひとりでしたが・・・・
人一倍に山に通じているだけに自然の中の人間の無力さを謙虚に出す長次郎、この実直な驕りのない役柄の彼はとても良かったです。
先にこの映画を見た母も、香川の魅力を見直したとのこと。

少し脱線してしまいますが、大河ドラマ「龍馬伝」でも岩崎家のシーンは楽しみだったりします。
問題ばかりを起こし常に飲んだくれている弥太郎=香川照之の父親・弥次郎=蟹江敬三、香川と共にその存在感は抜群なのだ。
無名だった頃の蟹江敬三、若き日には日活ロマンポルノにも出演していたのだとか・・・・・
先頃亡くなられた立松和平の小説「遠雷」が根岸吉太郎監督で映画化された作品の中では、主演の永島敏行と石田えりは勿論の事、蟹江敬三が演じた不思議なキャラもとても印象に残っています。
その息子の蟹江一平も俳優として、ここでは剣岳に同行をする人夫役で出演をしています。
その他の役者さん達もそれぞれが、渋くて味わいのある演技でした。

柴崎が東京の自宅で新婚の妻=宮崎あおいと交わす会話の優しさ、このシーンは厳しい仕事に向かおうとする前の家庭の心地よさが描かれているところだと思われます。
それにしても・・・・・登場する人物達の会話の簡潔で美しい事。その所作の何とも上品な事!
私達はこのような心遣いを、何時の間になくしてしまったのだろう。。。。

陸軍の威信にかけた絶対的な命令とする、現場の状況など考慮しない上層部からの圧力。
初登頂を競って登頂を目指す日本山岳会、立山温泉の宿でのエピソード等、省略があるのは上映時間の関係から仕方のなかった事かもしれません。

作中の台詞に「この自然の美しさは、厳しさの中にある」とありましたけれど・・・・
それは正にその通りと思わせてくれた、過酷とも思える美しい山岳風景の連続。
映像カメラマンの木村大作の初監督作品です。本作はやはり映画館の大スクリーンで見たかった!!
登頂を目指すだけでも大変な危険が伴うこと、その上に測量の道具を担いでの登山がどれほどの困難を極めたものだったか。
与えられた仕事に対して、勇気と信念を持ってひたむきに取り組む姿。
命を削るかのような状況の中で大きな目標を達成した、ラストの男達の顔はどれも胸に迫るものがありました。

現在の私達からは想像もつかない先人達の困難さを強調したのか、意味不明なシーンが何ヶ所かありその辺りは気になりましたが、それってきっと私の理解力が不足しているためなのでしょうね。
日本も、日本人も、まんざらではないなぁと認識をさせられた映画です。

同時間帯にNHKでは映画「ハゲタカ」が放送されました。こちらも録画して見る予定でしたが、しばらく使用していなかったビデオ(これは配線がつながっていなかった?)DVD(息子のお下がりを新しく使い始めて、これまでに録画をしたことがなかったから・・・)どちらも結局、操作が出来ず・・・・私って駄目な人ね。

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「レボリューショナリーロード/燃え尽きるまで」 [映画・DVD]


レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで スペシャル・エディション [DVD]

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで スペシャル・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD


忘れないうちに、ってもう忘れかけているのですけど・・・今日は、先日見た映画について書きます。
アメリカが最も豊かで輝いていた50年代。
レボリューショナリー・ロードと名づけられた住宅街に暮らすフランク=レオナルド・ディカプリオと、エイプリル=ケイト・ウィンスレットのカップルがこの映画の主役です。
二人の競演は大ヒット作「タイタニック」以来となる。
監督はケイトの夫・サム・メンデス。今は別居中とかで、元夫になるのは間もなくの事?
タイタニック=このカップルが船上で翼を広げる名シーンが思い出されますが・・・10年の年月と共にすでにあの頃の二人ではなくなっているのは勿論、どこにでもいそうなごく普通の夫婦を演じきっています。

郊外にある小奇麗な住居に可愛い二人の子供、家でもきちんとオシャレなファッションのエイプリル。それは絵に描いたような幸せな暮らしそのものです。
スーツ&ソフト帽スタイルの夫たちは電車を利用して仕事に出掛け、専業主婦の妻は家事と子育てをする。
それは私達が子供の頃テレビドラマで目にしてその豊かさに目を見張った、恵まれた暮らしそのものと思った。

仕事にも成功をし今の生活に満足をしている、満足し過ぎて浮気までしてしまう家族を顧みない夫。
それに対し妻は夢を諦めて家庭に入った、そんな空しい思いを抱えて毎日を送っている。
彼女は家に閉じこもる内に自らの気持ちを抑えすぎてしまって、コントロールする事に疲れてしまったのか・・・・
エイプリルは突然に、「家族揃ってパリへ引っ越そう」と無謀ともいえる提案をする。
一度はその気になった二人であったのだが、皮肉にも夫は会社で昇進の話が進み、妻は3人目の子供を妊娠してしまうのだった。

「タイタニック」でレオをカッコいいジェントルマンに変身された、豪華客船の中で浮いていた成り金おばさん(後に不沈のモリー・ブラウンと呼ばれた有名人らしい)役のキャシー・ベイツ。
彼女とその息子役の人(知らない人でした)が、この中で印象的な役割をしています。それはまるで「アメリカン・ビューティー」における、主人公の隣人親子のように。

結婚生活は他人同士が生活をすることだから、そこには我慢や忍耐が必要であるのは当然の事。
それがなくなった後にやってくる別離・家庭の崩壊等、今日的な問題も、意識したストーリーとなっています。
演じた二人も、迫真の演技でした。
アイドルからの脱皮を果たした、レオナルド・ディカプリオ。
今ではすっかり貫禄たっぷりの実力派女優となり、同年に出演した「愛を読む人」でオスカーを受賞したケイト・ウィンスレット。
「愛を読む人」を見た時の感想は、こちらです→。

過去に見たこの監督の「アメリカン・ビューティー」も、郊外に住むアメリカのどこにでもある一家のお話でした。
主役レスター=ケビン・スペイシーの姿には皮肉とユーモアを散りばめられて、家族それぞれの夢と現実の間のギャップが描かれていました。
その割りにあの映画も、ピンとこないと言うか、見終わってもいまいち良く解りませんでした。
本作のラストも含めて、「アメリカン・ビューティ」でも確かレスターの死で終わったかと思うのですけれど・・・同じムードが感じられます。
時代背景と共にライフスタイルや言葉のニュアンスの関係もあって、今回もなんとなく解らない・・・・これは仕方のない事とおもいますが。
後味も決して良いとは言えない映画でした。

アメリカン・ビューティー [DVD]

アメリカン・ビューティー [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズ
  • メディア: DVD



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フランス映画「陰獣」、「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」 [映画・DVD]

何とも淫靡でいやらしげなタイトルの映画です。
江戸川乱歩の小説「陰獣」を、フランスのバーベット・シュローダー監督が映画化した作品なのです。

フランスの推理作家アレックス=ブノワ・マジメルは、著作の宣伝のために来日をする。
アレックスは日本で、正体が一切謎に包まれた覆面作家・大江春泥(=江戸川乱歩を思わせる作家)に会う機会を待っていた。
出版社の接待でお茶屋に出かけたアレックスは、美しい日本人の芸妓・玉緒=仏在住のモデル・源利華と出会う。玉緒はなんとフランス語が堪能なのだ!?
彼女から、大江春泥に関する意外な打ち明け話を聞かされるアレックス。
それからの彼は玉緒に振り回されっぱなし・・・ラストシーンまで思わせぶりなだけで、全くなんてことのない作品[バッド(下向き矢印)]
日本人キャストは、玉緒の旦那さん=パトロン茂木役に石橋凌。お茶屋の女将役には藤村志保。

私がこの映画を選んだのは、「王は踊る」「ピアニスト」の主演ブノワ・マジメルが見たくてなのです。決してタイトルに惹かれてだとか、興味本位でなんてことではありません[あせあせ(飛び散る汗)]本当です・・・オイオイ
彼って「年下のひと」で共演した、ジュリエット・ビノシュの元パートナーとしての方が日本では有名なのかもしれませんね。
ジュリエット・ビノシュは本国フランスでも大女優、とても尊敬もされているとか・・・・

見終わって、まず思った事は、仕方がないものの・・・アップになった時の顔が可愛くないの(顔の事については人のことを言えませんけどね[バッド(下向き矢印)])
最近では映画「バベル」出演でオスカー候補になった菊地凜子、「チャーリーズ・エンジェル」でのルーシー・リュー、彼女もキャメロン・ディアスとドリュー・バリモアと並んで比較するとかなり落ちるように思えたけれど。
欧米人の基準で選ばれた「アジアンビューティ」って?
白塗り芸者さんの玉緒に、アレックスは一目ぼれをしてしまうのです。
ミステリア~スな魅力があったのでしょう。でも、それって少し無理がありません?[あせあせ(飛び散る汗)]
本作の中、ヌードや大胆なシーンがあるから日本の女優さんにはお断りされた経緯があったようながら・・・・フランス語は堪能、でも京都弁がおかしな芸者さん。
玉緒は踊りの名手と言われる、しかしその着物姿、仕草も素人から見ても明らかに変でした。

フランス人監督による江戸川乱歩作品、日本を舞台とした映画・・・・そのミスマッチな取り合わせは、最後までミスマッチなままで終わるのだった。
そして期待されるような官能的なシーンは何ヶ所かだけですからね。どこまでも思わせぶりなだけです。
ラストシーンは、服役中のアレックス。
正統派ハンサムなマジメル。
最後のシーンでの彼の演技・・・・日本語の台詞と、動きのコミカルさには笑ってしまいました。

この監督の過去の作品・・・・ジェレミー・アイアンズとグレン・クローズが競演した「運命の逆転」、ブリジット・フォンダとジェニファー・ジェイソン・リーの「ルームメイト」等・・・成功していた作品もあり、面白く見られたのですけれど。。。


もう一本の、「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」
戦後の東京を舞台にした、小説家の大谷=浅野忠信と妻の佐知=松たか子の物語です。
これは作家太宰治の原作を元に、描かれたストーリー。
登場する主人公の大谷は救いようのないダメ人間、しかしそれを許し続ける妻。
ここで描かれた二人の世界は、私には理解も共感も出来ないものでした。
かえって、私も過去に出会った何人かの女性を思い出してしまいました。
「私がついていなければ、あの人は何も出来ないから」とか「彼をわかってあげられるのは私だけ」と、言い訳ばかり・・・・
このような男女のあり方って、当人同士がその状態に酔っているのでしょうか。
監督が根岸吉太郎というのは意外な感じを受けたものの、特にこれ以上の感想はありません。
彼女の最後の台詞「私たちは、生きていれさえすれば・・・・」ですって!こういった生き方と関係は永遠のものなのでしょうね~~

陰獣 [DVD]

陰獣 [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
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ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [DVD]

ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
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ニャ・ニャ・ニャ・ニャ♪ [映画・DVD]

昨日、久しぶりにYou Tubeで遊んでいたら・・・
面白いものを発見しました[exclamation]


少し、笑えません?
山の上の家におじいさんと暮らす、子猫の女の子が主人公の映画「こま撮りえいが こまねこ」。
この子がヒロインの、こまちゃんなのです。

次は、その映画のワンシーンをどうぞ[かわいい]


ピクニックに出かけたこまちゃんは、突然雪男に遭遇します。
びっくりして逃げ帰るものの・・・・・失くした人形を届けてくれた雪男に、また会いたくなるのです。
森の中で内気な少女・いぬ子とも出会いますが、いぬ子はお友だちになりたい気持ちをこまちゃんに上手く伝えられません・・・怖い雪男の正体は、いったい・・・・

NHKキャラクター「どーもくん」のキャラクターをデザインしたことでも知られる、合田経郎が監督して作られた映画です。
人形をひとコマずつ動かしていきながら撮影するストップモーション・アニメの手法は・・・・1時間の本作品を作り上げるために一日に5秒分ずつしか出来ないために、10ヶ月間もかかって出来たものだそう。

表情豊かで可愛い、でも気の強いキャラクター設定のこまちゃん。
オシャレなテーマソングを歌っているのはパリ生まれのsolita(ソリタ)、BGMにはジャズが使われるなど大人の鑑賞にもたえる作品になっていると思われますニャ[ダッシュ(走り出すさま)]

こま撮りえいが こまねこ デラックス版 [DVD]

こま撮りえいが こまねこ デラックス版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
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こま撮りえいが こまねこのクリスマス ~迷子になったプレゼント~ [DVD]

こま撮りえいが こまねこのクリスマス ~迷子になったプレゼント~ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
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「イルマーレ」 [映画・DVD]


イルマーレ [DVD]

イルマーレ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
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イタリア語で「海」を意味する「イル・マーレ」という名前の海辺の家を舞台にした韓国映画。そのリメイク版がこの映画です。
主演は大ヒット作「スピード」以来、12年ぶりの共演となるキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックのふたり。
タイトルのイルマーレは、こちらでは二人が出会いの場に決めたレストラン名として登場をする(邦題タイトルにて)

湖畔に佇むガラス張りの家を買ったアレックス=キアヌ・リーヴスは、郵便受けに奇妙な手紙を見つける。
シカゴの病院で働くことになった為に引越しをする、医者のケイト=サンドラ・ブロックが次の住人へのメッセージとして残したものだった。
それをきっかけに、ポストへの置手紙というスタイルで文通を始める二人。
文通を重ねるうちに、互いが気になって、お互いの存在が求めていたものと気づくのだった。
その後の手紙のやり取りによって、二人の間には2年間の隔たりがあることを知る・・・・それは二人と、映画の観客である我々と。
2004年と2006年と時空を越えた恋愛ゆえに、思うのに会えない切なさ。2年間のずれがもたらすものは、見るものの気持ちをいやが上にも高めてくれます。

「スピード」はそのタイトル通りに・・・・・
身代金の要求&愉快犯的な性格のテロリストと、それに対するSWAT隊員ジャック=キアヌ・リーヴスとの間にスピード感あふれる攻防戦が繰り広げられる傑作映画でした。
あの映画中のジャックはさっぱりとした白いTシャツ姿に短い髪、彼の人一倍の勇気と行動力には誰だってほれてしまいます。
負傷したバスの運転手に代わってハンドルを握ったアニー役のサンドラ・ブロック。彼女もこの一作によって、一躍スターの仲間入りを果たしたのです。
解りやすい人物像とストーリーの展開の速さ、タイトルのままの面白さで「ジャックとアニー、バスの乗客達のこの先は?運命はどうなるのだろう?」とハラハラ出来る。なんど見ても楽しい映画だと思います。
キアヌはその後の映画「チェーン・リアクション」や北野武 と競演した「JM」で大こけはしたものの、ダイエットをしてサングラスに黒尽くめファッション「マトリックス」で見事に復活を。

主役の二人が好きだから、このようなありえない設定のお話でも素直な気持ちで見ることが出来たのかもしれません。
秋~冬のシカゴの風景を背景とした、素敵なラブストーリーです。
アレックスが手紙でガイドして、シカゴの街の建物をケイトが見て歩くシーンは中でも必見のもの。
湖畔のガラスの家は、アレックスの父が母親へのプレゼントとして作ったものだった。
父と同じ建築家となったアレックスであったが、母が努力したに関わらず上手くいかなかった両親の間柄。病気の父への複雑な思いなども、ここには描かれています。
ノーアクションもOK、素朴な人柄でもってこんなラブスーリーも似合ってしまうのキアヌ。彼の魅力が再認識出来る映画だったと思います。
美人とはいえないサンドラ・ブロック、だからこそアメリカで働く同年代の女性らしいライフスタイルやファッションに安定感が感じられました。
主演のキアヌはもうすでに40代とは言え、色々な国の血がミックスされているからか見た目が若いです。本作のようなロマンチックな役柄でもまだ大丈夫、違和感を覚えないで見られました。
こんな事を書くと、世のキムタクファンに総攻撃を受けてしまうかと思いますけれど・・・・
大きな期待を持たせて始まった月九ドラマ「月の恋人」、あれはハッキリ言ってつまりません。
アップの顔に一時の面影はありませんし、あのボソボソの喋り、演技はもう飽きました。時々は見ますけど、次回が楽しみって程ではないように思います。
少し脱線してしまいましたが・・・こういったドラマは、主役の人選がやはり大切な要素を持つということでしょうか。

スピード [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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「ナイロビの蜂」 [映画・DVD]


ナイロビの蜂 [DVD]

ナイロビの蜂 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 日活
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朝から雨模様の一日です。
やはりこんな日は、映画に限る・・・・と言うと、興味のない方にはドン引きされてしまうかもわからなけれど・・・・
今回の映画、このタイトルからナイロビを舞台にした恋愛映画をイメージして見ると、なんか違う~~ってなってしまう映画でした。

イギリス人外交官のジャスティン=レイフ・ファインズ はある講演の場で、正義感の強い活動家の女性テッサ=レイチェル・ワイズに出会います。
お互いに一目で恋に落ちた二人、結婚後ジャスティンはケニアのナイロビに駐在する事になります。
そのアフリカで行われる大企業の不正、見て見ぬふりをする政府。
アフリカの人々の悲惨な生活の状況を目にし、その現実を憎む妻のテッサ。
その活動中に、テッサは何者かによって殺害されてしまいます。
事故とは思えないジャスティンは、真相究明の為にテッサの足取りを追って各地を歩いていく。
それはジャステンの知らないテッサの生き方に、出会う旅であった。
細かいカットの連続で描かれる、美しく輝いていたジャスティンとテッサとの日々。現実と、回想のいりくんだストーリー。
テッサが消された背後には製薬会社のからんだ陰謀が。更には政府高官までがそこに関わっていることを突き止める。ジャスティンは何よりも妻への愛を再確認するのだった。

映画の中で流れるハイテンポなアフリカの音楽、極彩色に彩られたアフリカの大地の美しさは圧倒的と言えます。
一度戻ったロンドンの深く暗い沈んだ風景とは、全く対照的です。
テッサの後を追って向かった湖で・・・・ジャステンもまた・・・・・淡々と、アッサリと描かれたラスト。
巨額の利益に群がる人々を前にした、個人の存在の小ささ。ここに描かれる不条理は永遠のものであると、私にも想像出来た。
この作品の演技によって、オスカーを受賞したレイチェル・ワイズ。
外交官の妻でありながら市民活動家としての強さをあわせもつ女性像を、情熱的に演じました。
ピート・ポスルスウェイト、(ここでも)ビル・ナイなど、存在感のある脇役の演技も魅力です。
主演のレイフ・ファインズは勿論、存在感のある演技を見せる実力派俳優。
これまでにも私がしつこいくらいに度々紹介をしてきた、大好きな俳優の一人です。
以下、これまでにブログに書いてきた内容についてはそれぞれのリンク先をご覧下さいませ。
「嵐が丘」は、こちらへ(→)
「太陽の雫」は、こちらへ(→)
「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする」は、こちらへ(→)
「 レッド・ドラゴン」は、昨日の日記内へ
「愛を読むひと」は、こちらへ(→)

レイチェル・ワイズは、ブレンダン・フレイザーと共演したハムナプトラシリーズではコミカルで派手なアクションシーンもこなしました。
過去の出演作「アイ ウォント ユー」は見ていたのですね。こちらへ(→)

映画の舞台となったのがアフリカ、主演が同じレイフ・ファインズなので・・・・
小説「イギリス人の患者=(イングリッシュ・ペイシェント)」を原作として、過去にアンソニー・ミンゲラ監督が作り上げた映画「イングリッシュ・ペイシェント」が思い出されます。
第二次世界大戦時の北アフリカ、砂漠で撃墜された飛行機から大火傷をおった男が救出される。名前も解らない事から、彼はイギリス人の患者と呼ばれる。
このイギリス人男性と、現地で知り合う人妻=クリスティン・スコット・トーマスとの恋愛映画です。
患者の記憶の中から、少しずつ回想される二人の出会いと不倫関係。
馴染みのないアフリカの砂漠地帯という舞台設定、たとえそれが不倫であっても生きることの尊さを感じた映画でした。
その後の作品にサエが見られない、アンソニー・ミンゲラ監督の最高傑作かと思います。

今回の作品。
自己中心的とも言えるほどのテッサの強い生き方、ガーデニングにしか興味を持たなかった夫ジャステンが死後に妻の生き方を理解する愛情ドラマ。
サスペンスタッチでアフリカの現実を描いた社会派作品と、ふたつの見方の出来る映画です。

イングリッシュ・ペイシェント [DVD]

イングリッシュ・ペイシェント [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東芝デジタルフロンティア
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「ダウン・イン・ザ・バレー」 [映画・DVD]


ダウン・イン・ザ・バレー [DVD]

ダウン・イン・ザ・バレー [DVD]

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
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今日は映画「ダウン・イン・ザ・バレー」のお話です。
「ダウン・イン・ザ・バレー」は、現代のお話。その舞台となるのはロサンゼルス郊外のサンフェルナンデス・バレー。
最初は恋愛ドラマかと思って見始めましたが、ストリーが進むにつれてそうではなくなってきます・・・・・
少女トーブ=レイチェル・ウッドが、海に向かう途中に立ち寄ったガソリンスタンド。
彼女は一緒にいる友達達が「いかれた・・・カウボーイ」と言うに関わらず、そこで働いていたハーレン=エドワード・ノートンに一目ぼれをする。
その後トーブの弟=ローリー・カルキン(マコーレ・カルキン君の弟)も巻き込んで、ストーリーはおかしな方向へ進んでいくのです。
ハーレンはそのカウボーイ姿だけでなく、仕事にも就かずに一人で銃の練習ををしたりする、確かに変なヤツ。
平気で嘘をついて、知り合いだった牧場主に黙ってそこの馬に彼女を乗せてしまったりするのだ。
内気で友達のいないトーブの弟、この少年もやはり心を少し病んでいるのか。
父子家庭で娘の事が心配でならない警察官の父=デヴィッド・モースには、ハーレンはいい年をしてフラフラしている駄目男にしか見えず、二人が付き合うことに反対をし始める。
トーブはハーレンに駆け落ちを迫られるが、ハーレンが弟に銃の撃ち方を教えていた事から彼女はその申し出を断る。
そのことが、更に大きな事態を生んでいくのだった。

現代人の孤独を浮き彫りにして、現実と理想のギャップ、それぞれの価値観の相違。
ほんのチョッとした感情のすれ違いからの悲劇が描かれている映画です。
ノートンはこの映画では主演のみならず、脚本が気に入って製作にも携わりました。

後半の主役である、トーブの父=デヴィッド・モース。
その名前は知らなくても、誰でも顔を見れば・・・この顔はどこかで見た顔!って思い出される事でしょう。
ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー主演の「ザ・ロック」。ブルース・ウィリスとブラピの「12モンキーズ」。
トム・ハンクスの同僚役だった「グリーン・マイル」等、ハリウッドのメジャー作品に多く出演している俳優です。

ノートンは同年の映画「キングダム・オブ・ヘブン」においては、実在したエルサレム国王・ボードゥアン4世役を演じました。
この映画も、私は続けて観たのですけれど・・・
監督のリドリー・スコットは古代ローマ帝国を舞台にした映画「グラディエーター」で、グラディエーター=剣闘士と猛獣などの戦い、迫力に満ちた戦闘シーンなどを演出しました。そしてこの映画は、世界的なヒット作となりました。
またこの中では決してハンサムとはいえないラッセル・クロウの魅力も大きく引き出しており、オヤジのカッコ良さをも上手く描いた映画だと思います。
しかし、同じようにして作られたスペクタクル・ドラマ「キングダム・オブ・ヘブン」は、主役のオーランド・ブルームが小粒すぎるのか、ジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニーソン、デヴィッド・シューリスと言った大物が脇を固めていても、あまり関心出来ない完成度です。
ボードゥアン4世役は、ハンセン病におかされて死期の近い役柄の為、顔面が仮面に覆われています。
それ以外の声と全身でもって、ノートンは苦痛に満ちた死を迎える直前の役を格調高く演じました。

翌年に出演した、映画「幻影師アイゼンハイム」について書いた日記はこちらです(→)

大阪でサラリーマン生活を送った後、ハリウッドのオーディションを受けて映画「真実の行方」でデビュー。
あの時の演技にだまされたのは弁護士だけでなく、我々観客も同じ。
スターだった主役のリチャード・ギアをしっかりと喰ってしまって、一躍注目をあびたのでした。
その後の「ファイトクラブ」においてだって、ブラピよりも印象に残ったのですから。
そう話題にならなかった映画「ラウンダーズ」では、マット・デイモンがポーカーの世界へと深くはまり込んで行くきっかけともなる友人の役でした。

彼はこのように見た目はどこにでもいそうなごく普通の男、しかし何を考えているのかわからない不気味さを秘めた男の役が多いように思います。
トマス・ハリス原作の「羊たちの沈黙」「ハンニバル」に続く、ハンニバル・レクターシリーズの3作目である「レッド・ドラゴン」。
この作品においては連続殺人事件を捜査するFBI捜査官役で、殺人鬼=レイフ・ファインズと対決をする役柄ながら・・・・ノートンであったら、レイフ・ファインズと役をとりかえっこしても良かったかも。
結局あの映画で最も強い印象を残したのは、犯人ダラハイドと恋愛関係になる盲目の女性=エミリー・ワトソンのキャラクターだったように思えます。
以前、「レッド・ドラゴン」を見たときの日記はこちら(→)

拳銃つながりと言うわけではありませんが・・・
カメレオン俳優と言われるロバート・デニーロやダスティン・ホフマンの後を継ぐのは、大好きだったヒース・レジャーが若くして亡くなった今、このエドワード・ノートンではないかと私は密かに思っているのです。

キングダム・オブ・ヘブン [DVD]

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「敬愛なるヴェートーベン」 [映画・DVD]


敬愛なるベートーヴェン [DVD]

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ある日、ヴェートーベンの元に作曲家志望のアンナ(架空の人物)という女性がやってくる。彼女はコピスト(写譜師、楽譜を清書する職業)として彼の元を訪れたのであった。
「第九」の初演日以前・・・誰もが知る偉大な作曲家と、彼の耳の役割を果たす女性との「第九誕生」秘話が描かれた映画です。

ヴェートーベンの数々の名曲にのせてストーリーは進んでいきます。見る前に予想していたほど、ヴェートーベンは偏屈でも狂人でもありません。すでに高名な音楽家となっていたものの、ボロボロなアパートで汚い生活をしているただの老人として描かれます。
しかしそれは、アンナと言う若い美女が一緒にいたからか。
チョイスしたのは・・・・主演のエド・ハリスが好きだからからなのだけど・・・鬘をかぶって汚い役作りをしていても、この中ではどうしても何時ものエド・ハリスにしか見えないのだ。
エド・ハリスの映画はこれまでにもほとんど観ています。
中でも「アポロ13」での白いウエスタンベストを着た、管制塔の管長役は特にはまり役です。
かつてゲーリー・オールドマンがヴェートーベンに扮した、映画「不滅の恋 ベートーヴェン」。
あの映画のゲイリーの時の方が、思い出してみたら役柄にあっていたように思えるのです。決してエド・ハリスが下手とかではないのですけれど・・・・
そう、あの当時はゲーリーが好きだった私。
本物よりハンサムな彼が、音楽に、屈折した恋に苦悩する役柄を演じた。映画そのものも良かったです。

アンナ役のダイアン・クルーガーは、ドイツの女優さんだそうです。
ヴェートーベンという巨人に立ち向かっていく姿を、力強く演じて見せてくれました。
彼女はただ若くて美しいだけではない、音楽の才能はもっているのに女性であると言う理由でその先へと進めない苛立ちを、繊細さも表しながら演じました。
あのブラッド・ピットのアップばかりが目立つ、つまらない映画「トロイ」にもヘレン役で出演していたとか。
「トロイ」には昨日紹介した映画でヘンリー役をやっていたエリック・バナが、こちらはヘクトル役で出演していました。

アニエスカ・ホランド監督は、レオナルド・ディカプリオがアルチュール・ランボーに、デヴィッド・シューリスがヴェルレーヌに扮した映画 「太陽と月に背いて」を撮っています。
また他にも、「小公子」「 小公女」などを書いたバーネットによる小説「秘密の花園」の映画化も。
どちらも、それ程ヒットはしませんでしたけれど・・・・どちらも私の好きな映画です。
特に「秘密の花園」の花園でのシーンの数々。そこの美しさと、花が咲き始めるときのトキメキは忘れられないものです。もし身近に子供がいたら、是非見せたい映画のひとつに思えます。
ストーリーも、映像も、美しい映画なのです。

この映画のハイライトである、「第九」の初演シーン。
クラッシックの事はよく解らないながらも・・・数ある芸術の中で、音楽のしめる位置の偉大さを感じました。
第九の指揮を影で支えたアンナ=ダイアン・クルーガーが音の世界に包まれた自分自身に陶酔する演技。
観客達の拍手が聞こえなくて困惑するヴェートーベン=エド・ハリスの姿にも感動です。
この時期に、偉大な音楽が次々に生み出されていたのですね。

不滅の恋 ベートーヴェン デラックス版 [DVD]

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「ブーリン家の姉妹」 [映画・DVD]


ブーリン家の姉妹 コレクターズ・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
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美人で勝気な、強い意志を持つ姉のアン=ナタリー・ポートマン。それに対し地味な容姿、優しい心を持った妹メアリー=スカーレット・ヨハンセンのふたりが、この主役の映画です。
下のメアリーは姉に比べると綺麗でもなくパッとしないから、先に商人の元へと嫁がせてしまいます。
美人の娘は王の愛人となるチャンスがあるから、これはとっておこうなどと・・・この家の、この時代の父親達の考えていた事が、まず最初にこの中では描かれます。

イギリスのヘンリー8世と言えば・・・・
イギリス出身の俳優で、あのエリザベス・テイラーと結婚再婚を繰り返した名優・リチャード・バートンが演じた40年前の映画「1000日のアン」が私は思い出されました。
エリザベス・テーラーはマイケル・ジャクソンと友人であり、非常に親しくてその葬儀にも出席をしたくらいでした。マイケル死去の時には話題となりましたね。
40年前の映画はそのストーリーさえもうすっかり忘れてしまっていたけれど、今回の映画で色々と納得しました。
6人の妻をとっかえひっかえし、そのうち二人を処刑台に送り、最初の妻と離婚したいがために国教をカソリックからプロテスタントに変えてしまった悪名高いイギリスの王様・・・・Wikipediaより。

兄のアーサー王の元妻だったキャサリンとの間に娘がいたものの、どうしても世継ぎの男子が欲しい王ヘンリー、また夫婦の間はすでに冷え切った関係であった。
最初に妹のメアリーが、王に見初められる。その後、彼女は男の子を出産するものの・・・この時すでに王の気持ちは、姉のアンの方へと傾いてしまっていた。
アンは妹への嫉妬心と競争心から懸命に王の気持ちを惹き、女王の座を獲得する。

宮廷内で繰り広げられる・・・・煌びやかで、目くるめく、豪奢な日々。
衣擦れの音が聞こえてくるかのような重たげな絹のドレス、深いブルーやグリーン、黄金色に輝くコスチュームの数々・・・これは女性にとっては、必見と言えましょう。
髪を飾るベールや宝石、燦然と輝く胸元の宝石の数々も。
そのように精一杯美しく着飾った娘達にしても、結局は子供を生むための役割しかないのである。
父親や叔父など男達の思惑のままに生きる、一族に繁栄をもたらす政略結婚のための道具なのだから。
その上、男の子を産まなかったらもうそれで終わり、命さえ危なくなるなんて・・・・・・
日常付きまとう、宮廷内の噂、陰口、策略の数々。
姉妹それぞれの命がけの出産にしてさえ、牢獄のような環境の中、必死でいるのは本人のみという孤独感が感じられます。
そんな中、夫や弟の行動に反発しつつ家と娘たちを守ろうとするクリスティン・スコット・トーマス扮する気品のある賢い母親が印象的です。何時もながら、いい女優さんですね。
せっかくの男の子が早産であったために、これ以上王の関心が自分から離れる事を案じたアンは兄弟を姦通の相手とします。
しかしそれが元で死刑判決を受け、ロンドン塔で斬首刑に処せらるのです。
思うがままに振舞っている女王がその翌日は囚人の身、なんていう大逆転!! それも全ては、王の気の向くままであるのだから。

元々歴史好きなので、遠いイギリスの話に関わらず物語としてはもの凄く楽しめました。 
プライドの高い、自信家のアン。
先に結婚するメアリーとアンの会話からは、妹を気遣う姉の言葉の端々に現在の妹に対するコンプレックスが見て取れました。 
しかし、アンの生んだ娘エリザベスが、後のエリザベス一世となるのは運命の皮肉と言うものかも。
スペインの無敵艦隊に大勝利を収め、文化的にもウィリアム・シェイクスピアを始めとする文筆家を多く出して一大文化を築いた。
英国に最大の繁栄をもたらしたのは、このエリザベス女王の時代です。それについては数多く映画化もされているので、お馴染みのことでしょう。
ケイト・ブランシェットが主演した映画「エリザベス」では、ロンドン塔に幽閉されたエリザベスがそこから出されるところから始まっていたかと思います。
イングランドの歴史を変えた結婚と、知られていない姉妹を描いた「ブーリン家の姉妹」。
飽きる事のない・・・・若手人気女優二人の競演。
王の愛を得ようと必死になるアンを、鬼気迫る表情で演じたナタリー・ポートマンは見事だと思います。
これまでは、「レオン」でのおかっぱ頭の少女、「スターウォーズ・シリーズ」での女王役が主なものでしたけれど・・・こんな役が出来るようになったのですね。。。

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「めがね」 [映画・DVD]


めがね(3枚組) [DVD]

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地味な小品ながらも、多くの女性達に支持された映画「かもめ食堂」。
前作から多くのキャスト・スタッフを引き継いで作られたのが、今回の映画「めがね」です。監督も同じく,荻上直子監督。
映画の舞台は、都会から島にやって来た女性タエコ=小林聡美が泊まる浜辺の宿「ハマダ」、その周りの海辺です。
そこにいるのはハマダの主人=光石研と、よく解らない女性・サクラ=もたいまさこ。
格別なにかを拒否するわけではないものの・・・まるで商売っ気の感じられないハマダの主人。無口だけど、笑顔で皆にカキ氷をふるまうサクラ。
朝起きて目にするのは、砂浜で島民達がしているメルシー体操。などなど・・・ここは、不思議なことだらけの島。
違和感と居心地の悪さを覚えたタエコは、ホテルを移ることにする。
こちらもなぜかいつもブラブラしている高校教師のハルナ=市川実日子 に、島内のもう一軒のホテルまで送ってもらうことにするのだが・・・・
そのホテル、ホテルのオーナー=薬師丸ひろ子は更にもっと変、妖しいムードが漂っているところだった。

ここでは何もおきない、時が経過しても何も変わることはない・・・それはたぶん!
「かもめ食堂」の時にも感じた登場人物たちのチョッとした不思議さ!日本人の中では特に、もたいまさこ演じるまさこのキャラに感じたものでした。
その時は遠く離れたフィンランドの風景に溶け込んでいて、それ程とは思わなかったのだけれど・・・
その映画の感想を書いた日記は、こちらへ→

この映画の中であまりにも???と思ってしまうことが続いてしまうから・・・登場人物達の個性と言うだけでは片付けられない。登場人物それぞれのあまりのマイペース振りが、違和感として私の中に残ってしまうのだ。
鹿児島県の与論島で撮影された、この海は透き通っていて限りなく美しい。
ハマダの可愛らしくてナチュラルテーストな食堂。余計なものが一切ないシンプルそのものの・・タエコの泊まるお部屋。
それはどれも素敵です。
そこで自分も、「たそがれたら~~」と思いはするけれど、なぜかその世界へと素直に入り込めない。
本作の中で度々登場する「たそがれる」のフレーズも、なんかね!? それ程のものなのかしらって感じられてしまうのでした。
日常から離れた場所に行って癒されたい!って気持ちは、私にも勿論あります。
不思議な人達、不思議な民宿、不思議な島とくると・・・あまりにも意図的なものが見えてきてしまって・・・そこに流れているものに強制されたくはないとの思いの方が強くなってしまいました。
たそがれるで思い出した映画・・・「たそがれ清兵衛」は、オスカーを受賞した「おくりびと」よりは好きですけれどね。
かもめ食堂がヒットしあまりにも好評だったせいで、この映画は二番煎じ的に作られたもの?

登場するお料理の数々は、前作と同じくフードスタイリスト・飯島奈美さんのものです。
ここでも食事が重要な役割を果たしていることが、実感できます。
登場する料理は・・・皆そろって頂く朝ご飯、その中の梅干とか卵焼き。
冒頭で民宿の主人が作るちらし寿司、茹でたてをほおばる真っ赤な海老。バーベキューで焼いたお肉。
サクラが丁寧にコトコト煮た小豆を使ったカキ氷など、決して特別なものではありません。
それでも、「食べることは生きること」という思いは伝わってきました。

タイトルの「めがね」は、映画の内容とは関係ないと思われます。
それから私、映画ネタが続いてしまっておりますが・・・別に引きこもってしまっているわけではないのです。と言いつつ、明日も読み終わったばかりの本の感想日記になりそうな予感がしてしまいます。 

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「あるスキャンダルの覚書」 [映画・DVD]


あるスキャンダルの覚え書き [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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このタイトルは・・・・ロンドン郊外の中学校で歴史を教えるベテラン教師バーバラ=ジュディ・デンチが書く、日記から。
偏屈で人に笑顔を見せることもない、彼女の孤独な毎日。その性格と年齢とで、学校では同僚からも嫌われて孤立していた。
唯一の楽しみは、夜日記を書くこと。それは自分だけの世界に浸る事。
そんなバーバラの前に、新学期と共に新しく美術教師としてシーバ=ケイト・ブランシェットが現れる。
労働者階級の子供達の通う学校内で、若くて美しい上流階級で育ったシーバの存在は特別に目立つものとなる。彼女の父親は著名な経済学者であった。その容姿と育ちの良さが、生徒、同僚教師の目には眩しく映る。

バーバラが偶然にもシーバと生徒との情事を目撃した事から、この女性二人の関係は「シーバを自分のものにしたい」と思っていたバーバラの思惑通りになっていくのだ。
バーバラには、それ以前にもジェニファーと言う若い女性との特別な過去があった。その関係が終わった後に、残っているのは飼い猫の存在だけ。一人暮らしの女性の友達は、猫だけなのそうだ・・・
その猫の臨終に付き合わなかった事で、二人の愛?友情は終わりをつげる。
シーバと生徒との情事について口を閉ざしていたバーバラが、「これは噂だけど・・・」と言いつつ同僚男性教師に生徒との関係をバラすのだった。

演技派で、偶然にもエリザベス女王を演じている、この二人のイギリスを代表する大女優ふたり。
ジュディ・デンチは「恋におちたシェイクスピア 」で、ケイト・ブランシェット(彼女の生まれはオーストラリアだけど)「エリザベス」とその続編である「エリザベス:ゴールデン・エイジ」でもって、共にヴァージンクイーン=エリザベス1世役を白塗りメイクで演じています。

007シリーズでジェームズ・ボンドの上司「M」役でお馴染みであるジュディは、「Queen Victoria 至上の恋」の中でも女王様役。
ウィリアム・シェイクスピアの生家のあるストラトフォード・アポン・エイヴォンに私が行った時に目にしたのは、その生家を彼女が訪問したときのパネル写真でした。
先のエリザベス女王役のほかにも「ハムレット」「ヘンリー五世」等でも出演している縁で訪れた時のものかと思いました。
その時には、綺麗でさすがにカッコイイ女優さんの顔でしたけれど・・・
ケイトは「ロード・オブ・ザ・リング」の妖精のようなお姫さま。「アビエイター」では名女優・キャサリン・ヘプバーン役を。
「アイム・ノット・ゼア」内ではひとり女性でボブ・ディラン役、「インディ・ジョーンズ」最新作では、宿敵ロシアの女スパイを演じました。

ここでもストーリーよりも、見物は二人の演技そのもの!
ジュディの獲物を付け狙う恐ろしい目つき。老境にさしかかった顔と身体の醜さ。生きることの難しさ、孤独感も漂わせての、怪演です。
バーバラのつけていた日記を読んだ後のケイトの切れっぷり!!
バーバラに殴りかかって言う台詞が凄まじいのだ。
とても育ちのよろしいお嬢様が口にするとは考えられない言葉の数々。この時のメイクも凄かったけれど・・・カメラマン達の真ん中で叫び声を上げる時には、ここまでするかと思ってしまいました。
一見すると性格も頭の中も弱そうなシーバ・・・これは生徒にも簡単に見透かされている、そんな女性の役をリアルに演じました。
二人はこの演技で、オスカーは逃したものの・・・国内外において数々の主演、助演賞を受賞しました。

シーバの年に離れた夫役=ビル・ナイって、「パイレーツ・オブ・カリビアン」でのデイヴィ・ジョーンズ=タコ船長役をやっていた人なのですね!
この映画の中の彼は、彼女の事を優しい心で大きく包むだんなさんです。
イギリスの高名な作家アイリス・マードックを主人公にした映画「アイリス」。
晩年のアイリス=ジュディ・デンチ、若き日を演じたのはこちらも大好きケイト・ウィンスレット。彼女の出演作もこれまでにほとんど見ています。
この二人のアイリスを主演にした映画と同じく、リチャード・エアが本作も監督をしています。

彼女の書いていたのは・・・独りよがりな感情、嫉妬、独断と、自分勝手な世界そのもの。
しかし今こうして書いているブログにしても、それと似ている部分はあると思ってしまいます。
ここに書くことに嘘はないものの・・・書いている間、その世界にはまっている事、楽しんでいることは事実なのですから・・・
孤独な人間の心の奥底に潜む怖さが、描かれた映画だと思いました。

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「プラダを着た悪魔」 [映画・DVD]


プラダを着た悪魔 (特別編) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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先週テレビ放送をされた「プラダを着た悪魔」。
主演がメリル・ストリープ、そしてこのタイトル・・・で、ハリウッド映画特有のあざとさが想像されてしまって敬遠していた映画でしたけれど、見たら面白い映画でした。

ジャーナリスト志望のアンドレア=アン・ハサウェイは、NYの一流ファッション誌編集部でカリスマ編集長ミランダ=メリル・ストリープのアシスタントとして働くことになる。
一見、誰もが憧れる夢のような仕事。
しかしその内容のハードな事、ミランダの私生活まで含めた要求の数々に振り回されっぱなしの日々が始まるのだ。命令は絶対服従、そしてすべてが大至急!
この主人公と同様「ヴォーグ」誌で編集長アシスタントをしていた経歴を持つ著者が、自らの経験を元に書いた小説が元になっているのです。
描かれているオフィスの様子は、半端じゃない仕事量とスピード。そこから世界をリードするファッションが作られていくのでしょう。

ダサダサのアンドレアが見ているほうもビックリしてしまうくらいに変身するところも、この映画では見所のひとつ。
元々顔ちっちゃいし、手足が長いから・・・・こういうのを見ると、日本人の洋服に対する限界が見えてしまいますね。
「プリティ・プリンセス」と本作とのヒットで、アン・ハサウェイは今や引っ張りだこの人気女優の一人となりました。

鬼編集長役のメリル・ストリープは舞台俳優としてキャリアをスタートさせた演技の虫、役者○○と言われるロバート・デ・ニーロと同じく、どんな役でもこなしますって感じ。
気の強い、キャラの強い女性が好きな私、彼女の泣きの演技は上手と認めるものの・・・
年齢と共に益々尖がっていく冷たい性格を現すようなあの鼻とあごの線、以前からメリルのことはあまり好きではありませんでした。
ここでは悪魔よろしくその特徴を最大限に生かして、憎たらしさ全開です。
しかし最後に、退社してしまったアンドレアが車に乗り込んだミランダに挨拶をするシーン、ほとんど無視に近い無表情の後で、そっとかすかに笑みを浮かべたところは好き。
本作品の演技によりメリルはアカデミー賞に15度目のノミネート、オスカー像は先日紹介した「愛を読む人の」ケイトに持っていかれましたけれど。

他のキャラクターもみんな個性的。
周防正行監督の日本映画をリメイクした「Shall We Dance」の中で、竹中直人役をやったスタンリー・トゥッチが、アンドレアをオシャレに変身させてしまう魔法使いのおじさんとして大活躍。

大都会のマンハッタンとかは別として、アメリカ人てオシャレとは程遠い人が多くありません?
そこまででなくとも、ハリウッドのセレブなどもブランドで固めているのはそれ程多くいるわけではないかと・・・
大スターと言われている人が映画の宣伝のために来日した時とかも、全く普段着のジーンズ&Tシャツ姿。
でも着慣れているから、あとスタイルが良いから様になってしまうのですね。
それに引き換えわが日本人、アルマーニのスーツを着ていても、あ!ヴィトンのTシャツが得意のHえもんさんとかもいましたけれど。言われないと全然解りませ~ん。

ともかく映画の舞台はNY、着せ替え人形のようにアン・ハサウェイが次々と着るファッションは素敵、素敵。
ファッション界の馬鹿馬鹿しさも描かれていたと思いますし、ストーリーのテンポよし、映画の後味も良くて、とても楽しい映画でした。
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「ターミネーター4」 [映画・DVD]


ターミネーター4 コレクターズ・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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映画は、犯罪者マーカス・ライト=サム・ワーシントンが死刑執行されるシーンから始まる。
その後マーカスは脳と心臓だけは人であるのだが、身体は不死身の機械になるのだ。
頭に埋め込まれているチップの役割はジョンコナーをスカイネット本部へと招き入れるためのプログラム?である。

そして迎えた「審判の日」。

映画の公開時には、「早く観たいな」って書きましたけれど・・・それは、こちらへ→
マシン対人間の戦闘シーンの連続に次ぐ連続で・・・とにかく形あるものは片っ端からぶっ壊すアクションがあるのみ。
監督は、「チャーリーズ・エンジェル」シリーズのマックGです。

同じようなシーンが続いてしまうだけの内容に、あのキャメロン監督作品の少々チープな、レトロ感あふれる映像の数々が今となっては懐かしくなるほど。
伝説の救世主・ジョンコナー=クリスチャン・ベイルが少しもカッコ良くない事もね[バッド(下向き矢印)]ラブラブな相手の女優さんも平凡過ぎます。それなりの人を選んで欲しかったと思ってしまいます。
一方のマーカス・ライト=サム・ワーシントンと、行動を共にするブレア=ムーン・ブラッドグッドのカップルの方が絵になる、観客も感情移入もしやすく思えます。
特にクリスチャン・ベイルは地味です、主役とは思えないほどマーカスに食われてしまっていますもの[あせあせ(飛び散る汗)]
クリスチャン・ベイルは前作「ダークナイト」でも、ジョーカー役のヒース・レジャーの怪演も前では完敗でしたけれど・・・

映画の終盤、人類の為と言いながら自分の誕生をかけてへの作戦に変更。父・カイル・リース = アントン・イェルチンを助けに行っているとしか思えません。
このレベルの人物が、果たして人類の救世主となれるのであろうかの疑問が[がく~(落胆した顔)]
サム・ワーシントンは、キャメロン監督作品の「アバター」でも主演しました。私には、この役の方が良かったように思えます。

派手なアクション、カーチェイスと、それぞれのシーンは迫力満点です。
しかし今回は、重要な役割であるタイムトラベルは勿論、機械文明を発達させすぎてしまった人の愚かさも描かれていない。
そんな世界で人間が生き延びる事の意味、未来への希望・・・等々、ストーリー全体に情緒というものが感じられませんでした[あせあせ(飛び散る汗)]
先の「ターミネーター3」」鑑賞後に感じたのと同じく、キャメロン監督が「T2でこの物語は完結した」としたのもうなずける内容でありました。
ワンシーンのみ出演したT-800= アーノルド・シュワルツェネッガー。このCGの技術はスゴイです。
その他の各所にも、これまでの名シーンが登場します。
最初に作られてから25年も経っているのですから仕方のない事ながら、カイル・リース= マイケル・ビーン、サラ・コナー= リンダ・ハミルトンが懐かしく思えてしまった映画でした。

「ターミネーター5」がもうすでに2011年公開の予定だそうですけど、私には「I'll be back.」の意味が見つかりません・・・厳しい?[あせあせ(飛び散る汗)]
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「愛を読む人」 [映画・DVD]


愛を読むひと (完全無修正版) 〔初回限定:美麗スリーブケース付〕 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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先週末に借りてきた映画、「愛を読む人」について書きます。

1958年ドイツ。
15歳のマイケル=デヴィッド・クロスは道端で気分の悪くなったところをハンナ=ケイト・ウィンスレットに助けられた。このことにより、二人は関係をもつ。
十以上も年齢の違うふたりが大人の関係になって、その後の展開ではラブシーンの連続とはなるものの…二人は恋人でも愛人でもない関係であった。
ベッドの中や入浴中に、マイケルに本の朗読を頼むハンナ。
そんなある日、突然に彼女はマイケルの前から姿を消してしまいます。それはハンナが仕事ぶりを認められて、車掌の仕事から事務職へと変わるようになったからだった。
そして十数年後。法学専攻の大学生になったマイケルは、ナチス戦犯の裁判で偶然にもハンナと再会をする。

大人になってからは両親との間にも距離をおいてしまい、妻との関係もうまくいかず結婚と離婚を経験したマイケル=レイフ・ファインズ。
その後マイケルは彼女のための本の朗読者になることを決意し、朗読を吹き込んだテープを刑務所に送り続ける。
ふたりの思い出の書・チェーホフの一節から始まる辺りが、とても切ない。
刑務所に送られてきた朗読テープのシーンは、あの表情と独特の声とでレイフ・ファインズの独壇場と言えよう。
ハンナが裁かれたのは、1966年。
裁判の中でマイケルの知り得なかった彼女の過去の秘密、ホロ コーストに関与したその後の彼女の人生が明らかになってゆく。
すべての罪を認めてしまうハンナを傍聴席で見ながら、その訳を思い出の時から理解してひとり涙を流すマイケル。
文盲であることを言えば文書に署名したのは自分ではないと証明できるのに彼女は言わないのだ。結果、無期懲役が確定してしまうのに。
読み書きできないことが知られるのなら、大量殺人の罪を被った方がいいと思ったのだろうか。
それでも彼女の気持ちを理解し、真実に対して口を閉ざすマイケルであった。

そういえば、貧しさのために文盲だったロバート・デニーロにジェーン・フォンダが文字を教えるという「アイリスへの手紙 」という、ハリウッドの大スター競演に関わらず忘れられない佳作もありました。

これだけプライドの高い、裁判中のやりとりにしても人並み以上の理性を持つ人が、それまで生きてきた中でどうして文字を習わなかったのだろうか。
舞台はドイツであるが全編英語による製作である為、何もかもが英語になってしまっているという点にも大きな違和感が残った。
ドイツ人という設定のハンナが、獄中で覚える最初の文字が「the」なのですから・・・・

「いつか晴れた日に」「タイタニック」ですでにノミネート済みのケイト・ウィンスレット、本作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。
マイケル役の大好きなレイフ・ファインズと同じで、ケイト・ウィンスレットもイギリスの女優です。
先のシガニー・ウィバーやグレン・クローズと同じで、いかにも強気なところがたまらない私の好きな女優さんのひとりなのです。
デビュー作の「乙女の祈り」から始まって、マイケル・ウインターボトム監督の「日蔭のふたり」、「グッバイ・モロッコ」、「ホーリー・スモーク」、「クイルズ」、ジュディ・デンチの若き日を演じた「アイリス」など、かなりの本数を見ていることになります。
大作「タイタニック」でのローズ役でも、画家志望で女性の裸など見飽きてしまっているはずのジャック=レオナルド・ディカプリオが思わずドキッとするくらいの脱ぎっぷりでしたけれど・・・
彼女くらいのキャリアがあってさえ出演作のほとんどでそうなのですから、これも見事な女優魂と言わざるをえません。
私生活では「アメリカン・ビューティー」でアカデミー賞受賞・舞台演出家兼映画監督のサム・メンデスと再婚、共に才気あふれたカッコイイカップルだと思ってしまいます。
「レボリューショナリー・ロード」では夫監督のもと、再度ディカプリオと夫婦役で共演しました。

ここで描かれるハンナは最初から最後まで孤独である。始終何を考えてるのかわからないハンナの孤独を、ウィンスレットは台詞にたよらず全身で見事に演じきったと思う。
「チェンジリング」でのアンジェリーナ・ジョリーの熱演も見事でしたが、この時は運がなかったのかもしれません。

若き日のマイケル=デヴィッド・クロスの演技も良かったです。
実年齢は不明ながら・・・15歳から二十歳過ぎまでを演じていますが、まだ世間を知らない少年の清らかさ、青年期に入った感情を抑えた演技とを、見事に演じていたと思います。
清潔感のある甘いマスクは、昨年亡くなったヒース・レジャーにそっくり。
今後が楽しみな俳優です。でも間違っても大味なハリウッド大作などには出ませんように。彼には賢明な選択を望みたいです。

ただ一度だけの二人の自転車旅行で立ち寄った田舎町の教会。ここで子供たちの歌う聖歌を聴いて涙を流したハンナ。
その場所に、彼女のお墓がありました。
二人の間にあったのは情事のみ、特にそれ以上のものはなかった、ハンナは出所間近に会いにきたマイケルの表情からそれを感じ取ってしまったからなのだろうか。
強い意志の力で、自分の最後の決意を実行するハンナでした。

マイケルが感情のすれ違ってしまっている自分の娘とハンナのお墓にまいり、二人の物語を娘に聴かせるところでこの映画は終わりました。静かで余韻の残るラストシーンです。
イギリス人のスティーヴン・ダルドリー監督作品です。

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「アバター」ジェームス・キャメロン監督作 [映画・DVD]

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今年初めて見た映画は、話題の3D映画。
と言っても「カールじいさん」じゃないわよ。この映画は元旦に母が姪と一緒に見てきたとの事でした、それにどうしても私はカールおじさんて言ってしまいます[あせあせ(飛び散る汗)]
大ヒット作「タイタニック」から十余年、その間ずっと沈黙を続けてきたジェームス・キャメロン監督の最新作「アバター」です。

私達がシネコンで映画を観る時には・・・夫婦のどちらかが50歳以上であれば、@1000円で観られる「夫婦50割引」を使っていつも見ています。
しかしこの映画は3D、3D専用眼鏡をかけて見る事になりますので@プラス300円となります。
この眼鏡、ディズニーランドでかけるようなペラペラのとは違ってしっかりとした厚みのある重いものです。
だから3時間弱の上映時間中ずっとかけ続けている事に、私は少々疲れました。眼鏡の重みで耳のところが痛くなります。眼鏡をつけることで、スクリーンの明るさが若干暗くなるのも感じられました。

でもその映像は思った以上の迫力!で、普通の映画よりも興奮することもまた事実です。
目の前で展開する映像の迫力と、緊迫感と、自分がその場ににいるような感覚に陥るのも初めての経験でした。
特に3Dでなくても充分と思えるくらいの出来なのですけれど・・・やはり、これは3Dで見たいもの。プラス料金を支払ってもその価値のある映像の美しさが堪能できる映画なのです。
専用眼鏡をかけて観る映画だから、字幕まで読んでいる時間はないと吹き替え版のほうで予約をしておきました。
ところがそう考えるのは他の人も同じとみえ、私たちの見た回はほぼ満席状態でした。

映像を楽しむから映画のストーリーはその分だけシンプル、余計なことを考えずに見られるのも良かったです。
映し出される映像美・・・壮大で美しいの一言です。動きのひとつひとつが立体的だから、見ていても楽しい。

人間を惑星パンドラの生物ナヴィと同化させ、そこで希少鉱物の採掘を行なうという・・・アバター・プロジェクト。
参加した主人公のジェイク=サム・ワーシントン は、戦争で負傷して下半身不随になった元海兵隊員であった。
ジェイクが向かった衛星パンドラは、ナヴィがテリトリーとするの森の奥に希少鉱物が埋蔵されていた。それを求める人間達は、プロジェクトの科学者達と力づくでもパンドラを思い通りにしようとする軍隊。

自らもアバターとなってナヴィとの融和を図る科学者役に、キャメロン監督作品「エイリアン2」で最後にエイリアンとがちんこで戦うリプリー役のシガニー・ウィーバー。
エイリアンシリーズでは初回から「4」まで登場したが、「4」のクローンとして再生されたリプリー役にはさすがの私もシガニーもういいよと、これは悪い意味ではなく思いました。
この映画と同じ宇宙ものでは、「ギャラクシー・クエスト 」なんてお茶目な映画にも出演しています。
しかし彼女もすでに60歳、さすがに今回は彼女の活躍する戦闘シーンはなしです。
もうひとり、アバターの輸送ヘリのパイロットのお姉さん=ミシェル・ロドリゲスも、目立ってカッコイイ印象に残る役でした。

私のこじ付けかもしれませんけれど・・・この映画の中には、監督自身の過去の映画の名シーンを思わせる場面が所々で登場します。
最初のジェイクの宇宙船での目覚める場面は、「エイリアン2 」のファーストシーン。
空中母艦から兵士たちが流れ下りてくるところは、「タイタニック」の名場面を思い出させます。
軍隊で使われる人の形をした大型戦闘機の戦いのシーンも、「エイリアン2 」でのリプリー対エイリアンクィーンとの戦いのシーンを思い出させるもの。
ヘリの墜落シーンは、シュワルツェネッガーの「トゥルーライズ」かな?

ジェイクは森の中で、ナヴィの少女・ネイティリと出会う。
ジェイク=ナヴィそっくりに作られたアバターの体、そにドライバーとなる人間の意識と連結させることで人がコントロールしてパンドラではでナヴィとして生きられるのである。
車椅子のジェイクも、アバターのボディを借りている間だけは再び自由に歩き、走る。
パンドラの自然の中で彼女らと行動を共にし心を通わせるうちにジェイクは自らの任務を忘れたばかりか、パンドラとナヴィ達を助ける為人間と戦うことになってしまいます・・・

どのように撮っているのだろう、どう作っているのだろうと考えたのは、最初のうちだけです。
全身ブルーで爬虫類を思わせる容姿のナヴィやアバターに感情移入出来るのか懸念していた事さえ、問題なく大いに楽しめました。

ナヴィの表情と体の動きのひとつひとつが緻密で立体的、美しいのです。
地球上の緑をなくしてしまった人間達が、ここでもまたパンドラの緑豊かな大地を破壊してゆく。
先住民達を追い払おうと戦いを挑む人間達の姿も、これまで映画に何度も描かれてきたものです。
CGのナヴィ対実写の人間との、最後の戦闘シーン。
映画の中盤からラストまでは迫力で突っ走る感じで、人間たちが倒れていく様は爽快でさえあると言える。
繊細なイメージからかつて私がお気に入りだったジョヴァンニ・リビジーは、今回はどうでもよい俗物として登場。最後の地球へ帰るシーンもさえないものでした。

パンドラのナヴィも膨大な費用と時間と労力でもってCGで作られたものなのでしょうけれど・・・その技術はここまできたか!って思ってしまうくらいに凄かったです。
スピルバーグにしてもキャメロンにしても、ハリウッドの技術力ってどれだけのものなのでしょうか。

ナヴィ達と共に走り、飛んだ気分になったのは、テーマパークのアトラクションと同じです。何よりも、私もジェイクと同じに自由に空を飛んでしまいたくなりました[グッド(上向き矢印)] 

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「Into The Wild」ショーン・ペン監督 [映画・DVD]

先週は、映画を3本レンタルして観ました。
「マンマ・ミーア」「グラン・トリノ」「Into The Wild」です。
最も期待が大きくて真っ先に観たのは「グラン・トリノ」でしたが、私的にはラストにひっかかるものがあり・・・
そのイーストウッド監督作品「ミスティック・リバー」で主演をしていた、ショーン・ペンによる監督作品が「Into The Wild(イントゥ・ザ・ワイルド)」
この映画も前評判が高い作品の一つと言う事で借りてきて見ました。
アラスカ州の荒野で謎の死を遂げたひとりの若者の姿を追った、ノンフィクション作品「荒野へ」がこの映画の原作になっています。
東海岸の裕福な家庭で育ち人生のエリートコースを約束されていた若者・クリストファー・マッカンドレス=エミール・ハーシュは卒業後、家族と生活全てを捨てて未知の土地へと旅立ってしまう。
我々から見れば恵まれた境遇の青年がどうしてそんな悲惨な最期を遂げることになっってしまったのだろうかと、思ってしまうプロローグでした。

ショーン・ペンを私は最初、あのマドンナの旦那さんとしてしか見ていませんでした。
それにしてもあのふたり、いかにもビッチなムードを漂わせているマドンナ&不良白人それもチープな悪って感じのペン、私にはナイスカップルに見えたのですけどね。
二人とも互いに個性が強すぎたのでしょう。

俳優としての彼は、俳優のティム・ロビンスが監督した「デッドマン・ウォーキング」では殺人事件を起こした為に死刑になる男、この役の彼はとても良かったと思います。
その後の「ミスティック・リバー」では被害者の父親役、その復讐のため間違った殺人を起こしてしまうと言った複雑な心境を演じました。

話は、この作品に戻って・・・
旅立つ前にクリスが見ていたのは偽りの世界、物質的社会批判する彼は優等生であるが、それゆえなのか両親との間に確執があった。
その両親に扮するのはこちらも私の好きな俳優のひとりであるウィリアム・ハート、クリスの生い立ちと思春期に重大な影を落とす役である。
母親役はミスティック・リバーでショーン・ペンとも共演した、彼に間違って殺されてしまう男=ティム・ロビンスの妻役だったマーシャ・ゲイ・ハーデン。
彼女は自分は愛人であって生まれた子供たちは私生児という事実をプライドで隠して、世間的には何不自由ない幸せな妻をよそおって生きてきました。

居場所のない家、面倒な存在でしかない家族、何もかも捨て心のおもむくままに旅に出てしまうクリスでした。
貯金は寄付し、カードを切り捨て、旅の始まりでは車も捨て、持っているお金も焼いて、自分の荷物さえも置き去りにしてしまう・・・ここで、クリスの心が相当病んでいる事実が解ってきます。
行く先々ではいろんな人と出会い、別れて・・・と、この映画は私の好きなロードムービー。

出会った人々との会話の中に、彼の家族への思い、生きるの意味への問いかけが描かれる。
キャンピングカーで気ままな旅を続けるヒッピーファッションのカップル。
自由気ままに生きているように見える彼らでも、互いの奥底には擦れ違いがあり、ジャン=キャサリン・キーナーは自らの子供とも2年間連絡が取れずにいる、その母としての苦しさをクリスに打ち明けるのだ。

最終的な目的地である、アラスカへ。
そこで最後に出会う老人ロン= ハル・ホルブルック も、クリスを愛するひとり。
「どうしてそんなに、何から逃げているんだ」とクリスに問うロン、「それは、お互い様だ」と反論をするクリス。
ロンは別れ際に「自分の養子にならないか、私は君のおじいさんとなろう」とまで言うのだが、その言葉もクリスの心まで届く事はなかった。
人生って、人が生きる意味って、とつい考えながら観てしまう映画です。

それに、アラスカの大地を自分も旅してるかのような迫力満点な映像の連続。
美しい季節の移ろい、大地の持つ陰影、揺らぎ、厳しいアラスカの大自然は圧巻である。
クリスのアラスカでの日々は、鮮烈な輝きに充ちあふれてれいた。
その前では我々の日々の営みの、なんとささやかな事よ。
荒野の持つエネルギー、豊饒な大地とそこに生きる動物たち、大地に宿る強い生命力への恵み。
人も自然の一部である以上、そこには生きるための何かが秘められているものと思う。
ヒース・レジャーの「ブロークバック・マウンテン」は、アメリカ北部が舞台となった映画。あの映画でも北の大地とそこで生きる人の姿が描かれてはいましたけれど・・・

結局、クリスはその力に負けてしまったのだろうか。
このような「死」をテーマにする作品はとかく暗くなりがちですが、クリスの最後は決して暗く寂しいものではなかった。
仰ぎ見た輝きに満ち溢れた空、最後によぎった家族への思い。
彼自身も、その大地の一部となったのだ。それはずっと彼自身が望んでいたことなのだから。。。

お勧めの一本です。機会がありましたら是非見てください!


イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

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「かもめ食堂」 [映画・DVD]


かもめ食堂 [DVD]

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今日は3年以上も前に公開された映画「かもめ食堂」の紹介をします。
作家の群ようこが書き下ろした小説を原作にした映画で、主演は小林聡美、片桐はいり、もたいまさこの三人です。
この個性的な女優達のフィンランドのヘルシンキを舞台にした「かもめ食堂」は、淡々としたさりげない日常が描かれています。
サチエ=小林聡美は日本から遠いこの地で「かもめ食堂」という名の小さな日本食の店を営みはじめるのだが、開店から一月経っても客は日本オタクの青年がひとりだけといった有様。
そこに日本からやってきたミドリ=片桐はいりと、マサコが加わったことで、かもめ食堂は少しずつ変わっていくのだった・・・・・

登場人物は上の三人の他には、フィンランドの俳優が数人登場するのみ。
しかしオールフィンランドロケで撮られた、北国ヘルシンキの整然とした街並み、白夜、港町とその空を飛ぶかもめ達・・・素敵なシーンが続きます。
特に中盤、もたいまさこ扮するマサコがキノコ採りをする森の中の風景、緑の絨毯の上から見上げる木々、その木々を通して眺める空の美しさは印象に残るもの。
原作が群ようこである為か・・・作中で「猫」が、マサコがかもめ食堂に居つづけるチョッとしたきっかけとなっていたところは、納得してしまいました。原作者は猫好きなのです。
また彼女の軽妙な語り口の文体そのまんま・・・最後まで特にこれといった出来事が起きる訳でもありません。
この食堂で人々が織りなす、少し変ででも可笑しい、温かなストーリー。
お料理が好きな、または食べる事が好きな方でしたら、それだけでも充分に楽しめる内容だと思います。
かもめ食堂で出される美味しそうなお料理の数々・・・それはお母さんの握るのと同じ素朴なおにぎりだったり、甘い香りが漂ってきそうな焼きたてのシナモンロールであったり、揚げたてのトンカツや唐揚げ、湯気の立つサーモンなど。
サチエがそれを作る様子は、プロがするようにスピーディではなくて、ゆっくりと、丁寧に、楽しんでいるように。。。

そこには人が生きていく事、毎日食べる事の大切さも感じられました。
使われている食器類もどれも素敵なので、もしこれからこの映画を見ることがありましたらそこにも注目してくださいね。

思えばフィンランドは、日本から最も近いヨーロッパ。行ったことないけれど・・・ヨーロッパへの旅の途中、上空の機内から、北欧の針葉樹の森を眺めた事が思い出されます。
長い冬や夜を家の中で楽しむ為の北欧デザインの家具や照明、シンプルな食器類はどれも憧れです。
ちなみに我家のダイニングテーブルの照明は、デンマーク・ルイスポールセンのPHランプ。今のように簡単にネットでお買い物が出来るようになる前に都内から取り寄せをしたものです。

フィンランドを代表する映画監督と言ったら、アキ・カウリスマキです。
彼の監督作品も、登場人物たちは極端なほどに寡黙で、作中でも特に何か起きるわけではない、美男も美女も出てこないごく普通の人々の冴えない日常を描いた映画ばかり。
私が見た映画にはわんちゃんが登場していました。かもめ食堂でもさりげなく出ていました・・・ここに、この映画の監督の遊び心が感じられて、私は可笑しかったです。
カウリスマキ監督は、日本の小津安二郎の影響も受けているのだとか・・・・

見終わってからは・・・誰にでも優しい、でも潔さももち合わせている良い意味でマイペースに生きるサチエを演じた小林聡美。
不思議キャラそのまんまだけど控えめで上品な振る舞いが印象的な、もたいまさこの二人を見直しました。
片桐はいりも、少し変わっているけれど可愛い人物を演じています。
小林聡美はパンメーカー・○スコのテレビCMで、この映画のイメージ通りのキャラクターで出演していますね。
食堂で働く三人のエプロン姿、まい掛けと言った言葉の方がピッタリなのですけれど・・・それぞれに可愛らしくて、素敵ですよ~

映画のエンディングは、井上陽水の歌う「クレイジーラブ」。
あの高いところへと抜けていってしまいそうな高音で歌い上げる曲です。描かれている内容と同じように心地良くて、いつまでも聴いていたいと思ってしまいました。
この映画は落ち込んでいたり、元気がない時に観ると、いいのじゃないでしょうか。
肩の力が抜けるというか、何もない毎日でもいつかは何かしら良い事があるかも!って思わせてくれる。
映画を見終わった後は、自分のために、他の誰かの為であったらもっと素敵な事ですけれど・・・丁寧にとっておきのコーヒーを淹れてみたくなります。
その時には必ずおまじないの言葉「コピ・ルアック」を忘れずに・・・そんな映画でした。

この映画を観て、以前に読んだ「食堂かたつむり」小川糸著を思い出しました。
この小説も、柴咲コウ主演でつい最近映画化されています。

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早くみたいな・・・「ターミネーター4」 [映画・DVD]

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いまやは世界的な大監督となったジェームズ・キャメロンが生み出したヒットシリーズの、第4作が間もなく公開されます。
「ターミネーター4」、主演は「ダークナイト」のクリスチャン・ベール、監督は「チャーリーズ・エンジェル」のマックG。
「審判の日」から10年後年、30代になったジョン・コナーは人類軍の指導者となって機械軍の支配する世界に立ち向かう。
これを記念して今までの「ターミネーター」三作について、勝手に[わーい(嬉しい顔)]振り返ってみたいと思います。

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1984年公開の、監督のジェームズ・キャメロンとアーノルド・シュワルツェネッガーの名を一躍有名にした映画「ターミネーター」。
初めてこの映画に出会った時この発想、このストーリー展開は、衝撃でした。

キャメロン監督は後の映画「タイタニック」でアカデミー賞総なめにして、すっかり世界的にメジャーな監督となってしまいました。
監督デビューは「殺人魚フライング・キラー」、その後がこの「ターミネーター」でした。

サラ・コナー=リンダ・ハミルトンを探して、2029年の未来から「スカイネット」と呼ばれる軍事用コンピューターによって送り込まれたサイボーグT-800・ターミネーター=アーノルド・シュワルツェネッガー。
同名女性の連続殺人事件が起きるのが、この映画の発端である。
その直後に、未来兵士のカイル・リース=マイケル・ビーンも、サラの護衛という使命を帯びて未来から送り込まれます。
2018年、人類がスカイネットに核攻撃を受ける「審判の日」。
コンピューター対人間の戦いにおいて、後の指導者となる、ジョン・コナーはサラの息子であったから。
ターミネーターは、「ジョンの母親であるサラを、発見次第抹殺せよ」との命令を受けて送り込まれたのだった。

機械である為に不死身のターミネーターから必死に逃げ続けるふたり、手製の爆弾のみで生身の人間がターミネーターから逃げ延びる課程が、この映画の一番の売り、面白さであった。
超合金の骨格だけになってさえも何度でも起き上がり、しつこく何度でもサラに襲い掛かるラスト。
このシーンの連続は思いっきり楽しめましたし、この不気味さこそがターミネーターの魅力!この映画を見る醍醐味!

そんな中、たった一晩だけのサラとカイルのロマンス。
後のジョンの誕生へとつながる暗示を持たせる場面であった、ただ一度と言うところが切ない。
この映画は結果としては、父と母が子どもの命を必死に護る映画とも受け取れる内容です。

このストーリーをコンピューターの発達前、20年以上以前に考えつき、そこにタイムトラベラーのアイディアも加えたキャメロン監督の発想には感嘆するのみです。
途中で制作費も底をつくなど、公開以前は製作・配給会社からも全く評価されていなかった模様でしたけれど・・・

主役にシュワルツェネッガーが起用されたことも大きな成功のひとつ、当初はキャメロン監督自分の作品の常連である、ランス・ヘンリクセンを候補に挙がげていたとか。
彼はこの作品中では、サラを取り調べる刑事役で出演しています。
後のキャメロン作品「エイリアン2」、次の「エイリアン3」・・・こちらでは前作へのオマージュと言う意味もこめてアンドロイドのビショップ役を演じて存在感を示しています。
しかし(この後、キャメロン夫人となる・・・)サラ役のリンダ・ハミルトンは、どう見ても女子大生には見えないなぁ。
画面が一変して、サラがメキシコの大地を疾走する。そこへ嵐がやって来て、暗い未来を暗示させるラストシーンまで、何度見ても傑作としか言いようがありません。
先週放送されておりましたので、またもちら見してましたが・・・30年前の作品ですから現在のものと比較してしまうと見劣りのするシーンは確かにあります。それでも、時を経ても色あせない魅力をもっている作品のひとつと思っております。


同じくキャメロン監督が1991年に制作した「ターミネーター2」。こちらも圧倒的な知名度を誇るSF映画の名作となっています。
この回では、自由自在に姿を変える液体金属のT-1000型のターミネーターが登場してきて、やはり時を越えて送り込まれたアーノルド・シュワルツェネッガー扮する旧式T-800との死闘が繰り広げられるのです。
ラスト、T-1000は溶鉱炉に落ち、溶けて消滅します。
そして、サラとジョンを守るために未来から来たT-800も自ら真っ赤な溶鉱炉に身を投じて映画は終わります。

次の「ターミネーター3」。
キャメロンは、映画を「ターミネーター2」で完結したものと考えたため、監督もジョナサン・モストウに交代しました。
2004年、青年に成長したジョン・コナー=ニック・スタールは平穏な日々を送っていました。
しかし、T-1000より遥かに最新型の最強のターミネーターT-X=クリスタナ・ローケンが、ジョンのもとへやってきます。
そしてもうひとりこちらもお約束、10数年前にコナー親子を守って燃え盛る溶鉱炉に入って自決したT-800の改良版T-850=シュワルツェネッガーがまたしても登場する。
前二作と同じように、T-Xから逃げるジョンとケイト・ブリュースター=クレア・デーンズ。
T-850が身を挺してT-Xと戦い、ふたりを守る。ここでも、今までと同じ展開が繰り広げられるのです。
「Tー3」で、結局スカイネットは誕生してしまいます。
ジョンとケイトは人類のために生き延びることを運命づけられ、核ミサイルが発射され核戦争が勃発するというラストへ。
この映画のラスト「T-3」には、未来も、ストーリーの目新しさ感じられませんでした。
キャストに魅力がないことも失敗のひとつとなっている、ニック・スタールはあまりにも安すぎて魅力なし。
クレアも気の強そうなキャラは理解できます。でもなぜ今クレアなのか、T-Xと同じく未知の新人で良かったのでは。
シュワルツェネッガーももう最後で良いのではないか、との思いをもったものです。
T-3の敗因。決定的なのはやはり脚本、アイディアの弱さかと私には思われました。
・・・・とここまで悪口を書いてしまいましたが・・・
この映画、明日の夜テレビ放送がされるのです。

これも「T-4」公開への前哨戦ということなのでしょうね。
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「幻影師アイゼンハイム」 [映画・DVD]

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先日見た、エドワード・ノートン主演の映画「幻影師アイゼンハイム」について書きます。
このタイトルからして結構マニアックなムードが漂う映画です。
全体を通して派手さはないものの、静かな、幻想的なロマンスを19世紀末のウィーンを舞台にして、新人監督のニール・バーカーが撮りました。

ある日家具職人の息子である少年が、貴族の娘である少女と出会って恋に落ちます。
しかし身分の違いを理由に引き離されてしまうふたり。
ふたりの幼少期を演じるのはともに美少年と美少女、ふたりとも本当に綺麗です。ノスタルジックなムードも素敵[揺れるハート]

それから十数年後、旅に出た彼は絶大な人気をほこるイリュージョニスト・アイゼンハイム=エドワード・ノートンとなってウィーンに戻ってきます。
そしてその舞台上で、ふたりは再会をするのです。
アイゼンハイムと、皇太子との結婚を控えた公爵令嬢ソフィ=ジェシカ・ビールとの恋物語[黒ハート]
そこへ皇太子レオポルド=ルーファス・シーウェルが絡んでくる、三角関係が描かれる。

全体を通してセピア色をした映像。
当時を思わせるゴージャスなセットや衣装の数々に、平民と貴族という身分違いの恋。その上恋のライバルはハプスブルグ家の皇太子なのですもの[失恋]

ソフィの死の真相や、アイゼンハイムの見せたイリュージョンの数々。それはマジックか、それともアイゼンハイムの超能力なのか。

舞台に現れる「成長するオレンジの木」や「話す幽霊」は見る人の心に勝手な記憶を作り、人は自分の思いを込める。
アイゼンハイムの熱烈な信仰者まで出現してしまうのです。
次々と現れる幻影、人々にはアイゼンハイムが幻を作り出す特別な存在となっていくのだ。
そして最後には、彼自身が幻影となって消えてしまいます。

アイゼンハイムを追う警部を、演じるのはポール・ジアマッテイ。この警部の目を通してストーリーは展開します。
実在のボクサー、ジム・ブラドックの半生を映画化したロン・ハワード監督作品の「シンデレラマン」。
そこで彼は、ジム=ラッセル・クロウをリングサイドでサポートするマネージャーの役でした。
「シンデレラマン」でも好演でしたけれど、この映画でも彼はとても良いです。
彼のルックスはどこにでもいそうな、ごく普通の、冴えない普通のおじさんです。
それが脇役になるとキラッと光って、そこには哀愁さえも漂っているような[もうやだ~(悲しい顔)]

ネタばれになってしまうのであえて書くことはしませんが、私には予想できない、思いがけない鮮やかなエンディングでした。
皇太子はお気の毒でしたが、決して後味は悪いものではありません。
ロマンティックで上質なラブストーリーとなっていると思いました。
人が出会った瞬間に恋に落ちてしまうとか、人が人を恋する、これこそがマジックそのものなのかも知れません。

ジェシカ・ビールは少女役の女の子がほっそりとしていたのに、骨格がしっかりしていて健康的、そこに私は少々違和感覚えました。
主役のノートンは、幻影師アイゼンハイムになりきっています。

エドワード・ノートンは過去の出演作も一癖、二癖のある役ばかりです。
デビュー作の「真実の行方」。
これって、完全に主役のリチャード・ギアを食っていましたし・・・。「ファイト・クラブ」ではあのブラピがすっかり[あせあせ(飛び散る汗)]

スリムで、線の細いハンサム、しかしそれだけで終わらないところが、彼のすごいところなのです。
そんな見た目で、「ミニミニ大作戦」では悪役を楽しそうに演じていました。

「アメリカン・ヒストリーX」では初めは悪役です。途中からは白人至上主義に傾倒していく弟を見守る、兄の複雑な心境を表現する役柄へと・・・その演じ分けも、映画の中で見所となっていました。
「レッド・ドラゴン」では捜査官役でしたが、連続殺人犯役=レイフ・ファインズ と役のとりかえっこしても彼ならどちらでも大丈夫だった事でしょう。
ウディ・アレン監督作「世界中がアイ・ラヴ・ユー」では吹き替えなしで歌って踊ってでしたもの、ハリウッドで活躍をする俳優ってやっぱり凄いと思ってしまいます。

大学卒業後俳優になる前に、建築家であった祖父の仕事を手伝うために大阪でサラリーマンをしていました。
「海遊館」の巨大水槽の設置に携わっていたのだそうです。だから日本語だってOK[手(チョキ)]
記者会見での「スターになって戻ってきた感想は?」に対して、「役者ですから」と答える辺りは、心憎いと言わざるを得ない頭の良さ。
好きな俳優であっただけに近頃役に恵まれないと、心配しておりましたけれど今回ははまり役です。

大人の鑑賞にたえる出来となっている、この映画。
女性ならノートンのカッコ良さ。
かつての繁栄の跡が残る重厚な街並み、そこでは馬車が石畳の道を走る、舞台の照明となるのはロウソクの灯り。
この映画のひとつの主役である、19世紀のウィーンのムードに酔いしれる事となるでしょう[わーい(嬉しい顔)]

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