セントラル・ステーション [DVD]

  • 出版社/メーカー: アミューズ・ビデオ
  • メディア: DVD


南米初となる・・・リオデジャネイロオリンピックが開会。熱戦が続いていますね。個々の試合については、ドキドキが激しくて観ていられません。
オリンピックの最初のハイライトと言えば・・・「開会式」。
オープニングは・・・生命の誕生、未開の大地、原住民であるインディオの人々。ダンサーたちの力強い踊り。
そこへやってくるのは・・・大航海時代の旧支配国ポルトガル。労働の為連れて来られるアフリカン、中近東から海を渡ってきたアラブの人々に加え、日本移民をイメージしたとの・・・白い服に日の丸をあしらったコスチューム姿の女性たちのダンス。(でも髪型、メイク、衣装共に日本と言うよりC国、K国みたい・・・トホホホ)
前半はブラジルの歴史、異文化との融合を経て、国家が成熟した過程を表現した。
ボサノヴァ、サンバの音楽が会場に響き渡り、もうひとつこれは欠かせない…リオと言えばリオのカーニバル。
2014年のブラジルW杯の決勝戦でも使用された、スタジアム上に大量の花火が打ち上がる。
その様子を見守るかのように・・・浮かび上がるのは、超有名観光スポット「コルコバードの丘に立つ巨大なキリスト像」。

開会式は、オリンピックの魅力のひとつ。私も毎回楽しみにしているイベントであります。
シンプルな構成、無駄な派手さがなく、華美になり過ぎない演出。既存の像=インパクトの強い「コルコバードのキリスト像」にわか造りのセットなど敵うはずがない・・・キリスト像のライトアップを組み合わせて、映像に活かした配信は良かったと思います。
「リオデジャネイロ」の言葉は、「キリストの神様が見守る街」という意味らしいです。
派手すぎて・・・やっちまったなぁ!?感の強かった北京オリンピックと比べたら、身の丈にあったと言うか、過剰じゃないのがいい。
アイディアと最新技術の勝利!って感じました。
次の「TOKYO」もそうであって欲しい。日本人は個々にしたらアイディアをもっているはずなのに・・・こういった見せる演出が下手だって何時も思います。
演出を手掛けた芸術監督、フェルナンド・メイレレスはサンパウロ出身の映画監督です。未見ながら・・・「シティ・オブ・ゴッド」で有名なのだそう。

以下、旧ブログである楽天ブログよりコピペながら・・・以前観た、作品の紹介をします。
ブラジルを舞台にした大好きな一本、1998年に制作・公開された映画。
タイトルである「セントラルステーション」は、リオデジャネイロ中央駅の事。映画のオープニングも駅からです。

ブラジル・リオのセントラルステーションで手紙の代書屋の仕事ををしている、初老に近い女性ドーラ=フェルナンダ・モンテネグロ。
出だしの映像は、現地の人々でしょうか?様々な男女が自分の思いを口述してドーラへ託す。
生き生きとした表情、語り口に、思わず見入ってしまう。冒頭からして優れた、魅力的なシーンでした。
しかしそうした手紙を、ドーラはいつの間にか出すことをしないで、自分の引き出しにしまっておくようになっていました。
そんな日々の中で、客の女性が交通事故でなくなり・・・息子のジョズエがひとり残されます。
夫に出す手紙を依頼する時、彼女がドーラの机に置き忘れたハンカチ・・・隅に花の刺繍がしてあるだけの一枚・・・貧しい生活ぶりが垣間見えて切ない。
始めは子供に冷たい対応をするドーラでしたが、成り行きで彼と父親を捜す旅に出ることになってしまいます。
バスに何昼夜も乗り続けて、広大なブラジル国内を旅していく。その間にいくつかの出会い、些細な事件もあるロードムービーです。
所持金がなくなり、お互いに疲れ切って、ドーラが子供の心を傷つけてしまうシーン。

そしてキリスト教のお祭りの場面なのですが、そこでドーラは改心・・・を暗示するシーンから、人を愛する心も取り戻すのです。
旅の最後。ジョズエの父親はいなかったけれど、真面目に働く兄二人に会う事が出来ました。
ジョズエはここで暮らすのが一番だと思ったドーラ。
やっと見つかった少年の家を、早朝一人でそっとぬけ出して、リオ行きのバスに乗る。
写真の側に亡くなった母の手紙を置いて、別れも告げずに出かけます。
ジョズエに買ってもらったワンピースを着て、口紅を塗り、スッと背を伸ばし前だけを見つめて。。
バスに乗ったドーラが、そこでジョズエに手紙を書く場面ラストシーン・・・ジワッとくる感動。
ドーラは忘れていた心の優しさを取り戻して、自分の過去を肯定する。自分を捨てた父も許すのでした。

とても良くできた脚本ですが、なんと言ってもこの映画の主役・・・それは広大な、色々な表情を見せるブラジルの大地の魅力と感じた。
監督ヴァルテス・サレスは本作にて、ブラジル映画ではじめてベルリン映画祭金熊賞を受賞。
(元記事は、2006年6月28日)

ジョズエの母親が死亡する事故も、警察が来て検証をすることはなく、子供なのに保護もされず放置され浮浪児として生きるしか術のないジョズエ。
そんな一人ぼっちの子供に目を付けるヤクザ。ドーラから500ドルで少年を買い取り、養子斡旋業を偽装した業者に1000ドルで売り飛ばす。しかしその斡旋業者の実態は臓器売買で、臓器移植の病院へ送られ臓器を抜かれて死ぬ運命が待っているのだった。
駅で商品を盗んで逃げた黒人の若者は・・・大勢に追いつめられた挙句、容赦なく射殺される。リオではありふれた事なのか?警察が来て捜査することはなかった。
ブラジルのイメージと言えば・・・真っ先にの大河アマゾンとジャングルが思い浮かぶもの。または観光地のイパネマ海岸などながら・・・。
ブラジル内陸部の気候は湿度が低い、降水量の少ない半砂漠気候の為、年中乾燥している砂漠地帯。そんな荒野にポツンと建った小さな教会。
ドーラは亡くなった母の冥福と、父親との再会を願ってジョズエに形見のハンカチを結ばせます。
乾いた荒野と、バックに流れる哀切を帯びたメロディが心に沁みる、印象深いシーンです。
一文無しになった二人、キリスト教のお祭りをする街で・・・ジョズエのアイディアから、ドーラが人々の願いを代書して旅費を稼ぐ。
美しい光景と・・・日々の生活に宗教、キリスト教が深くかかわっているのが実感されました。