この世の外へ クラブ進駐軍 [DVD]

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昨日の「東京タワー~オカンとボクと~」の舞台版で、ボクを演じたのは萩原聖人でした。
今日は、萩原聖人が主演した映画の紹介をします。
「この世の外へ クラブ進駐軍」は、「どついたるねん」「顔」等…の阪本順治監督作品。

敗戦直後の東京を舞台に、進駐軍のクラブでジャズの演奏をして生活する若者たちと米軍基地周辺の人々との交流を描いた映画。
戦地から復員してきた広岡=萩原聖人は、楽器屋の息子でかつては軍楽隊のサックス奏者だった。
軍楽隊の先輩ベーシストの平山=松岡俊介と出会ったことにより、米軍基地のクラブで一稼ぎしようとする。
そこへ集まってきたのは、ピアニストの大野=村上淳、カントリーバンドでトランペットを吹いていた浅川=MITCH(この人だけがプロの模様)、ドラマーを志望する池島=オダギリジョー。
広岡は彼らと、ジャズバンド「ラッキーストライカーズ」を結成します。
オダジョー扮する池島はお祭りで和太鼓をたたいた経験しかなく、スティックを「撥」と呼び、英語ひとつに驚くおとぼけキャラ、住む家もなくてお金が欲しいだけと言う有様。

お金だけが目当ての実力もないグループと、周囲の人々との人間模様が繰り広げられていくのだったが・・・
しかし大野が他のバンドから引き抜かれて、グループは解散を余儀なくされてしまいます。
その後、浅川がヒロポン中毒で死んだ事により、グループは再結成をすることになる。

日本人を憎む米兵士リード=シェー・ウィガム、通訳に=真木蔵人。
下士官クラブのマネージャーの軍曹=ピーター・マランは、私も以前見た作品の脚本&監督、出演をした「マグダレンの祈り」の監督でした。


1960年代のアイルランドにおいては支配的だった、宗教に帰依する道徳観に基づいて、罪を犯した女性達を強制的に収容した修道院を舞台とした映画です。

何の罪もないのに従妹にレイプされた原因は一方的に女性側にあるとか、将来、男たちを誘惑する恐れがあると言った不当な理由で入れられてしまい・・・日々耐える過酷な労働、監督する修道女や神父の虐待に苦しめられる生活が続く様子が描かれたものでした。
つい40年前までは実在していた「マグダレン修道院」、映像の美しさ人間の醜さが衝撃的に描かれたこちらの作品も、必見の一本。


ジャズ音楽=アメリカ、そして進駐軍そのものであり、当時のアメリカのもっていた豊かさや解放的なムードを表しています。
進駐軍のクラブの雰囲気、おいてある食べ物も、当時の日本人にとってはまぶしいものであっただろう。
戦後の町並みや闇市の混乱は再現されているものの、出演者たち誰もが小奇麗でスーツ姿が決まりすぎているところにはリアリティが感じられなかった。

それでも、アッサリとした日本人顔の萩原聖人はやっぱり良い!
歌は下手だったけど。
ここでのオダギリジョーはコミカルな役どころ、前作とはタイプの違った空気の読めないキャラを好演しています。
ステージ終了後の飲み屋、互いに愚痴をこぼしあった後。最後は必ず肩を組んで軍歌や歌謡曲を合唱するシーンは微笑ましいものでした。

しかし映画の出だしは快調なのに、途中から端折りすぎ!に思えます。
ラストシーンまで安易に進んで、最後もありきたり過ぎました。
監督はこの映画で何を描きたかったのか!?
ジャズに魅せられてその世界に入り込む若者たちの物語と思っていたら、その他に反戦があったり、朝鮮戦争に向かうアメリカ兵の悲劇であったり。原爆投下も関係していたり・・・
焦点が曖昧になってしまっているものと思えました。


マグダレンの祈り [DVD]

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