今月27日から8月12日まで、イギリスで開催中の「ロンドンオリンピック」。
特別熱く応援をしている訳ではないものの・・・それでも早朝から気になってしまい、ここ数日だけでも睡眠不足が続いております。

前回開催された北京大会においては、新設されたハード面も含め大会全体が国の威信をかけたオリンピックであった印象が特に強かった。
自国の経済成長をこれでもかと見せつけた開会式、その演出を任されたのは張 芸謀(チャン・イーモウ)でした。
彼は中国を代表する映画監督です。
お得意の人海戦術は予想されたものの、豪華絢爛な衣装にセット、大量の楽器。
ラストに大量に打ち上げられた花火の量も含めて、どれも美しいというより恐ろしいほど・・・。
その花火がCGだったり、何かとやらせが目立ったのも…かの国らしさ、お国柄でしょうか。

それと比べたら今回のロンドンは、節約五輪とか。
日本時間で28日の早朝、NHKで生中継放送をされたオリンピック開会式はライブで観ました。
イングランドのコッツウォルズ地方を思わせる、緑濃い長閑な田園風景の中で遊ぶ子供や、農作業に従事する大人たちの姿。

そして開始早々に登場したシルクハット姿の男性は、俳優のケネス・ブラナーでした。ケネス・ブラナーはイギリスを代表する俳優にして映画監督・脚本家として、「ローレンス・オリヴィエの再来」と呼ばれる程の存在です。
コスチュームムービーに欠かせない存在であり、シェイクスピア映画の主演俳優としては勿論、ハリポタシリーズへも出演済み。

イギリス人作家イアン・フレミングのスパイ小説から生まれたヒーロー、ジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグも登場して・・・
彼の向かった先は、何と!バッキンガム宮殿内のエリザベス女王の元。
エリザベス女王の執務室にウォルッシュコーギー達、宮殿内もワンコも、セレブリティなムード漂ってます。
オリンピック開始の任務を告げられた彼がヘリで飛ぶシーンまでは、監督のダニー・ボイルが事前に撮っておいたものでしょう。

会場での、本物の女王の開会宣言、そこに同席するのはウィリアム王子とキャサリン妃、、チャールズ皇太子にカミラ夫人・・・のロイヤルファミリー達。
英国の歴史を感じさせつつ、ユーモアと重厚さを併せ持った印象深い展開に思えました。
伝統的なカントリーライフを再現したスタートから始まる、英国の歴史や伝統。世界に誇る社会保障も描きました。
そして労働者階級から生まれたロックも合わせた、ショービジネスの世界へ。
適度に華やかさも感じられる、素敵な開会式であったと思います。

ダニー・ボイル監督作品で観ているのは、デビュー作の「シャロウ・グレイブ 」、「ザ・ビーチ」「28日後・・・・」「スラムドック$ミリオネア」くらい。
代表作品と言われる「トレインスポッティング」「普通じゃない」は観ていません。だから偉そうなことは言えないものの・・・
「スラムドッグ$ミリオネア」はアカデミー賞受賞作品、しかし私にはどこが良いのかわからず、どちらかと言えばB級作品ばかり撮っている監督との認識の方が強かったのですが・・・。
しかし今回の開会式では、良い意味で裏切られた形になりました。
イギリスの映画監督で一番好きなのは、マイケル・ウィンターボトム。しかし彼だとあまりにもマニアックになり過ぎてしまうかな。
それとも今はハリウッドに活躍の場を移してしまった、リドリー・スコット監督とかの方がベストと考えていました。

式の途中に登場する映画は「炎のランナー」。
実は観たい映画リストに入ってはいるものの、こちらも未だ未見の映画なのです。
約30年前のこのイギリス映画は、1924年のパリ五輪を目指すライバル関係にある2人のランナーの姿と、当時の世相が描かれたオスカー受賞作品です。

そのテーマ曲を演奏するオーケストラの一員で注目をあびたのは、テレビ番組「ミスター・ビーン」でお馴染みのローワン・アトキンソン。彼は「炎のランナー」の中でも登場をし・・・シリアスな作中において、海辺を走るシーンで彼流の悪戯をして笑わせてくれました。
他にも映画関係では「メリーポピンズ」、先日紹介させて頂いた「フル・モンティ」のロバート・カーライルや、ロンドンを舞台にした出演作の多いヒュー・グランドなど・・・。


開会式のエンディングは、ポール・マッカートニーの歌う名曲「Hey Jude」。

曲はポールがジョン・レノンの息子ジュリアンを励ますため作った。ビートルズ時代から現在まで世界中で歌い継がれた名曲である。
それにつけても、もしまだレノンが生きていたらとの思いは強いです・・・。
スタジアムの観衆も声を合わせて共に歌い、開会式のフィナーレを飾りました。
LEDパネルを多用した光の波&豪快な光の演出に包まれ終えた開会式。一夜だけのステージ、コンサートを楽しんだ気持ちになれました。

5日目の本日31日は、体操男子団体の決勝が行われます。
エースの内村航平選手を中心に、金メダル獲得を目標とする活躍が期待されるところです。
見ている最中はずっとハラハラドキドキ、私をはじめとして日本中の皆が航平君の母の心境と言ったら、言い過ぎかしらね。