終点の三厩(みんまや)に到着。
この場所には、駅舎がポツンと一軒建つだけ。他には何にもないのである。津軽半島の先端近く、最北の駅に相応しく…ホント寂しげな駅でした。
駅前からは100円の町営バスが龍飛岬まで行っていて、一緒に乗っていた人のほとんどは龍飛岬まで行ってしまうのだった。

青森でマグロと言ったら、誰もが知る・・・ブランドマグロである、大間の鮪です。
しかし昨年訪れた大間で、納得のいくマグロに出会えなかった私。
今回のお昼は青森県東津軽郡外が浜町、三厩にただ一軒あるお寿司屋さん「秀鮨」さんに予約済みなのだ。
              
ご夫婦二人で営業をしているお店です。列車の到着時刻に合わせて迎えに来てもらいました。


カウンターに案内されて・・・
ここは当然、「みんまや鮪づくし寿司セット」を注文!
と言っても、一人前だけ#59142;ホテルで朝食をガッツリ食べてしまった上、時刻はまだ11時過ぎですもの。

それでもせっかくなので「生ビール」をオーダーしました。飲みながら頂きたい。
  
突き出しはキュウリの浅漬けに、モズク酢。

・・・とそこに、一人の男性客が入店して来ました。
気づかなかったのだけれど、リゾートあすなろの前方展望席に座って津軽半島の景色を満喫していた方とか。
その姿から「鉄っちゃんなのかな」って夫は思ったそうながら、聞けばご本人JRにお勤めされているとか。
駅からは気ままに一人、歩いて来たみたいです。
その後は店主と私達、JRお兄様との4人でお寿司を食べながら・・・・お喋りをしながら・・・あっと言う間の2時間なのでした。


握りが次々と・・・寿司ゲタの上にのせられていきます。
本鮪ならではのこのツヤ、美しい#59125;そして美味しそうなのも、当然#59125;
見た目の美しさは勿論ながら・・・口にしたら、もうとろけていきます#59125;
・・・の割りにはしつこさは感じられず。。これなら、いくらでも食べられてしまうかも。

6月は山菜も最盛期だそうで、この土地は山の幸も豊富なんですね。採れたての食材を、それを育んだ土地で食す。それこそ最高の贅沢に思えます。
海と、山と、豊かな食生活がおくれるって羨ましい。

アザミのお浸しに、山菜のミズ。ミズは玉ねぎと、なんだっけ?わすれてしまったけど炒め煮の味付けも良いものでした。
もしかして食べられるかと期待した、ネマガリダケが採れるのはまだ少しだけ先とか。。


この為に遥々やって来た・・・これが噂の、「みんまや鮪づくし寿司」ですぞ!
三厩鮪は大間鮪と同じ津軽海峡産、そして全てが1本釣りの鮪だとか。
ここでは地元の三厩鮪が格安に提供されるだけでなく・・・・店主の説明が付きます。


生ワカメとシジミがタップリ入ったお味噌汁。シジミは「十三湖産」かしら?
その隣り、心臓部分二種はニンニク醤油でいただきます。コリコリとした歯ごたえ。珍しい部位が食べられるのも一本買いだからこそ。

      
最後にマグロとキュウリの巻きものが三貫、すでに一貫食べてしまっていますが、私は食べていないので味の方もわからないまま。

築地市場で大間鮪が、1億5千万の値段で落札された!時には話題となったものでしたが・・・。
津軽海峡の漁場でかかった鮪の名前はどこの船が捕ろうが、漁協に水揚げされた瞬間から、その漁協の名前に。
水揚げされた港の名前が付くのだそうです。
大間港で水揚げすれば大間鮪、三厩港で水揚げすれば三厩鮪の名前になる。・・・事は、私でも理解できる気がしました。

急に思い出したのか大将、夫に「海鞘食べるかい?」。海のパイナップルと言われている海鞘、珍味のひとつながら、クセが強いから・・・夫は海鞘が食べられないのだ。
お隣のお兄さんには出してくれたのに、どうして私には聞いてくれないの?
「私にも、海鞘を食べさせて~~」と積極的にアピールしてしまいます。
   
「地元の漁師さんにもらった、天然ものだよ」と、鮮度バツグンの海鞘です。
小鉢いっぱいの大ぶりに切った海鞘は、身の色が鮮やかな黄色。
完璧なルックスは完熟パイナップルそのものです。
プリプリの食感、一切れで口じゅうに磯の香りが広がります。
以前、宮城の金華山近くで・・・食べたものより、濃厚で磯の香りも強かった。

二人でお腹いっぱい食べて、生」を飲んで、オマケに「海鞘」まで頂いてしまって・・・
お会計時のお値段を聞いて、あまりの安さにビックリ!
高級寿司店の代名詞とも言える、銀座の〇兵衛さんで提供されているものも三厩鮪なのですって。〇兵衛さんで頂いたら、諭吉さんウン枚のお寿司です。
スッカリ有名になってしまったブランド鮪の大間鮪と同じものが、格安価格で味わえるのも魅力ながら・・・

他にも地元のお店だけに、興味深い津軽半島の歴史も。
来年の大河ドラマのヒロインは、吉田松陰の妹です。
その吉田松陰が1852年に津軽海峡の警防状況の検分に訪れている。その道を青森県が「松陰道」として整備した。

今はまだ新幹線工事の関係者による来店が多いものの・・・外が浜町が観光に積極的ではない等・・・地元ならではのお話をいっぱい伺えたのも良かったです。
         
                     
全てにおいて大サービスのお店でした。
次に行く時には、旬のキタムラサキウニも食べてみたいなぁ。
私達がいた間にも、ふた組のグループ客が来店してきて・・・このお店のお昼は予約だけながら、こうして開けておいたらお客様がやってくるのですね。
列車の発車時刻までにはまだ時間があったものの、あまりユックリとしていたら営業の邪魔です。
「そろそろ、帰ります」と言いますと・・・「もう帰るんかい、もっとユックリしていけばいい。竜飛号の発車時間に合わせておくっていくから大丈夫だ」って。
それでも、「大した客でもないのに、あまり長居をして商売の邪魔したら悪いから…」
「そんなに帰りたいんかい。なら、送って行くよ」と。。


駅までの途中、高台にある義経寺に立ち寄る・・・ミニ観光のサービスも。義経伝説が残る龍飛岬だけに、寺の名前にまでなっているのですね。
奥州・衣川の戦で死んだとされる源義経。
しかし生きて更に北へと向かい…蝦夷地に渡海する「義経北行伝説」。その際、出現したとされる「厩石」・・・旧三厩村の名前の由来になっていると言います。


ここまで上がったら、湾全体が一望出来。。
眼下には・・・素晴らしい光景が広がります。義経寺からは津軽海峡、対岸の下北、北海道も一望です。


大将、最後までありがとう#59126;
そして何よりも、ごちそうさまでした#59125;
またきっと食べに行きますからね!
龍飛崎まで行けば「津軽海峡冬景色」の眺め。珍百景で有名な階段国道(国道339号線)もあるから、次回はそちらへも行ってみたいです。