脚本家、倉本聡により・・・20年以上に渡り製作、放送された・・・ドラマ「北の国から」。
舞台はここ富良野市の、麓郷(ろくごう)地区。スタジオでのロケはほとんど行われず現地で収録された。今思うと大変贅沢ものであったのだ。…と言いつつ、同時刻に私が見ていたのは、山田太一脚本の「想い出づくり」でしたけれど。。
「北の国から」は後日、週末に再放送されたのを見てハマりました。

トップは・・・五郎が畑に落ちている石を集めて造った「石の家」。
妻の浮気がきっかけとなり、離婚。二人の子供を連れて、生まれ故郷である富良野へ帰ってくる黒板五郎=田中邦衛。
純=吉岡秀隆と蛍=中嶋朋子、子ども達にとって初めとなる大自然の元での暮らし。都会の生活と比べたら、電気も水道もない。当然、娯楽と呼べるものなどない不自由な日々。
兄である純の中で膨らむ父への反感、そして様々な葛藤が生まれていく。
まだ幼い蛍の母恋いの思いは胸に迫るものがあった。貧しさの中、四季の変化に合わせ成長していくふたりの子供、それを取り巻くのは麓郷地区の個性豊かな大人達。
美しくはあっても、時に牙をむく北国の自然の恐ろしさ、濃密であるだけに煩わしさを生じる人間関係・・・。

          
とりあえず・・・麓郷展望台の前に広がる、ルピナス畑から。


展望台近くにはラベンダーやサルビア、ひまわり、ハマナスの花畑も広がっていた…
          
開花前のラベンダー。ファーム富田で見たものとは、違う種類かと思います。


展望台からは当然、麓郷の丘陵地帯。富良野盆地も見渡せました。
                 
この場所にはハスカップが実る、低木のハスカップの森。
ここ北海道でさえハスカップの実は珍しいものとなっていて、お値段も高価とか。そんな事なら採って食べるんだったなぁ~なんちゃって!イケマセン。


初秋の花、コスモスも咲いていた…
      
          
歴代のロケで使われた五郎の家を、森の中に保存している「「麓郷の森」。森の中にロケ地が点在し、丸太小屋、風力発電のある3番目の家などの見学が可能。
連続ドラマ(全24話)中、17話から作り始めて24話で完成した丸太小屋。
その丸太小屋はドラマ中、純と正吉の火の不始末で全焼したはずながら・・・ドラマに登場した姿のまま保存されていました。

          
内部の様子に見覚えがありますでしょう?

丸太小屋が焼けたことで、麓郷に移り住んだ時同様・・・別の離農した家を修理して住んだ3番目の家です。
純が初恋のれいちゃん=横山めぐみの家近くで見つけて、自力で作った風力発電装置。中華鍋を組み合わせた様な発電機が屋根にのっています。
          


後年になって、この一番最初の家がこの場に移築されました。
廃屋同然の家を修理し、川から水を引いて、親子三人が初めに暮らした家です。
最初の家では純と蛍が寝泊まりしていた・・・2階に上がることも。2004年から間近で見学できるようになりました。

活火山であった富良野岳、その為に畑から大量に出てくる石。
一番上の石の家は計画していた丸太小屋用の丸太を売ってしまった…その代わりに石で作らざるをえなかったエコロジーな建物。 大きな風車も目印となっている。            
「92年巣立ち」で計画され、「95秘密」から五郎が住んでいる家です。


「2002遺言」で五郎が造った家。
最後のドラマに登場する「4番目の家」は、2004年12月に完成した純と結の家。
          
すべて廃材を利用した、ユニークな造りになっている「拾って来た家」。木々の間から見える、その不思議な風貌は個性的で目立ちます。

ドラマ放送直後一般公開された時には見物に来る人たちで麓郷街道が渋滞するほど。
3施設共通券(拾って来た家/麓郷の森/五郎の石の家)は@1200円となります。
富良野市内にも数々のロケ地があり、今もなお全国から「北の国から」ファンが訪れているのでした。

ドラマ放送後も、8編に及ぶスペシャルドラマが放送された。
子供達を巡っての様々なエピソードが描かれて・・・。逞しく、時には可笑しくもある、それぞれの20年間・・・最後は二人共北の大地で生きてゆく事を選ぶのでした。
五郎、純、蛍の「親子の物語は」・・・成長と共にそれぞれ親元を巣立っていく子供達、必ずやってくる別れはどこの家庭でもあるもの。了解しているとは言え、残される側は切ない。



シりーズ中最も印象深い場面として、多くの人が挙げる有名シーン・・・。
個人的にずっと好きな俳優である、古尾谷雅人が数分間出演した・・・「北の国から 87初恋」のラストシーン。
中学卒業後はひとり、東京で生きる道を選ぶ純。その思いを父親である自分だけが知らないでいた・・・五郎は辛く寂しい。
純は純で率直に話し合えない、そんな父と自分の関係にもどかしさを感じ続けていた。

父と妹を残して、東京へ旅立つ日。
... 父が東京まで乗せて行ってくれるよう頼んだ、長距離トラックの運転手=古尾谷雅人はほぼ横顔だけの出演、口数の少ないブッキラボウな役柄。
五郎、蛍との別れの場は、麓郷地区の雪道。
二人を残して、トラックは東京へ向かって出発する。
車内で間がもてずにウォークマンを聴く純、流れるのは尾崎豊の「I LOVE YOU」・・・れいちゃんとの想い出の曲です。
そして、フロントグラスの前に置かれた封筒の中身は・・・謝礼として支払った、五郎が工面した泥のついた一万円札。
「こんな大事なもの受け取れない。記念にとっとけ」と純に返す。父親の気持ちを一言で示した不器用な役柄でした。
我が子を思う、五郎の親心。親子の気持ちの揺れを上手く表現した。。胸に迫るラストシーンです。

彼とはほぼ同年代であるから、80年代初頭の「ヒポクラテスたち」「スローなブギにしてくれ」「悪霊島」等出演作品のいくつかは観てきました。
デビュー後作品に恵まれていただけに、後年になって納得のいく役柄に出会えずにいたようです。
「永遠の仔」で我が子を虐待する父親役が、私が見た最後かもしれない。
また「金八先生シリーズ」中、誰もが知る傑作!第2シリーズの加藤優の元不良の先輩役も好きだった。
そんな彼も、45歳の若さで自死してしまいました。

「北の国から」で使用された思い出の小道具などが展示されている・・・農協倉庫を改修した「北の国から資料館」の見学を忘れてしまったけど、ま!いいか。。

次回で終わります。