めがね(3枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(D)
  • メディア: DVD


地味な小品ながらも、多くの女性達に支持された映画「かもめ食堂」。
前作から多くのキャスト・スタッフを引き継いで作られたのが、今回の映画「めがね」です。監督も同じく,荻上直子監督。
映画の舞台は、都会から島にやって来た女性タエコ=小林聡美が泊まる浜辺の宿「ハマダ」、その周りの海辺です。
そこにいるのはハマダの主人=光石研と、よく解らない女性・サクラ=もたいまさこ。
格別なにかを拒否するわけではないものの・・・まるで商売っ気の感じられないハマダの主人。無口だけど、笑顔で皆にカキ氷をふるまうサクラ。
朝起きて目にするのは、砂浜で島民達がしているメルシー体操。などなど・・・ここは、不思議なことだらけの島。
違和感と居心地の悪さを覚えたタエコは、ホテルを移ることにする。
こちらもなぜかいつもブラブラしている高校教師のハルナ=市川実日子 に、島内のもう一軒のホテルまで送ってもらうことにするのだが・・・・
そのホテル、ホテルのオーナー=薬師丸ひろ子は更にもっと変、妖しいムードが漂っているところだった。

ここでは何もおきない、時が経過しても何も変わることはない・・・それはたぶん!
「かもめ食堂」の時にも感じた登場人物たちのチョッとした不思議さ!日本人の中では特に、もたいまさこ演じるまさこのキャラに感じたものでした。
その時は遠く離れたフィンランドの風景に溶け込んでいて、それ程とは思わなかったのだけれど・・・
その映画の感想を書いた日記は、こちらへ→

この映画の中であまりにも???と思ってしまうことが続いてしまうから・・・登場人物達の個性と言うだけでは片付けられない。登場人物それぞれのあまりのマイペース振りが、違和感として私の中に残ってしまうのだ。
鹿児島県の与論島で撮影された、この海は透き通っていて限りなく美しい。
ハマダの可愛らしくてナチュラルテーストな食堂。余計なものが一切ないシンプルそのものの・・タエコの泊まるお部屋。
それはどれも素敵です。
そこで自分も、「たそがれたら~~」と思いはするけれど、なぜかその世界へと素直に入り込めない。
本作の中で度々登場する「たそがれる」のフレーズも、なんかね!? それ程のものなのかしらって感じられてしまうのでした。
日常から離れた場所に行って癒されたい!って気持ちは、私にも勿論あります。
不思議な人達、不思議な民宿、不思議な島とくると・・・あまりにも意図的なものが見えてきてしまって・・・そこに流れているものに強制されたくはないとの思いの方が強くなってしまいました。
たそがれるで思い出した映画・・・「たそがれ清兵衛」は、オスカーを受賞した「おくりびと」よりは好きですけれどね。
かもめ食堂がヒットしあまりにも好評だったせいで、この映画は二番煎じ的に作られたもの?

登場するお料理の数々は、前作と同じくフードスタイリスト・飯島奈美さんのものです。
ここでも食事が重要な役割を果たしていることが、実感できます。
登場する料理は・・・皆そろって頂く朝ご飯、その中の梅干とか卵焼き。
冒頭で民宿の主人が作るちらし寿司、茹でたてをほおばる真っ赤な海老。バーベキューで焼いたお肉。
サクラが丁寧にコトコト煮た小豆を使ったカキ氷など、決して特別なものではありません。
それでも、「食べることは生きること」という思いは伝わってきました。

タイトルの「めがね」は、映画の内容とは関係ないと思われます。
それから私、映画ネタが続いてしまっておりますが・・・別に引きこもってしまっているわけではないのです。と言いつつ、明日も読み終わったばかりの本の感想日記になりそうな予感がしてしまいます。