敬愛なるベートーヴェン [DVD]

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ある日、ヴェートーベンの元に作曲家志望のアンナ(架空の人物)という女性がやってくる。彼女はコピスト(写譜師、楽譜を清書する職業)として彼の元を訪れたのであった。
「第九」の初演日以前・・・誰もが知る偉大な作曲家と、彼の耳の役割を果たす女性との「第九誕生」秘話が描かれた映画です。

ヴェートーベンの数々の名曲にのせてストーリーは進んでいきます。見る前に予想していたほど、ヴェートーベンは偏屈でも狂人でもありません。すでに高名な音楽家となっていたものの、ボロボロなアパートで汚い生活をしているただの老人として描かれます。
しかしそれは、アンナと言う若い美女が一緒にいたからか。
チョイスしたのは・・・・主演のエド・ハリスが好きだからからなのだけど・・・鬘をかぶって汚い役作りをしていても、この中ではどうしても何時ものエド・ハリスにしか見えないのだ。
エド・ハリスの映画はこれまでにもほとんど観ています。
中でも「アポロ13」での白いウエスタンベストを着た、管制塔の管長役は特にはまり役です。
かつてゲーリー・オールドマンがヴェートーベンに扮した、映画「不滅の恋 ベートーヴェン」。
あの映画のゲイリーの時の方が、思い出してみたら役柄にあっていたように思えるのです。決してエド・ハリスが下手とかではないのですけれど・・・・
そう、あの当時はゲーリーが好きだった私。
本物よりハンサムな彼が、音楽に、屈折した恋に苦悩する役柄を演じた。映画そのものも良かったです。

アンナ役のダイアン・クルーガーは、ドイツの女優さんだそうです。
ヴェートーベンという巨人に立ち向かっていく姿を、力強く演じて見せてくれました。
彼女はただ若くて美しいだけではない、音楽の才能はもっているのに女性であると言う理由でその先へと進めない苛立ちを、繊細さも表しながら演じました。
あのブラッド・ピットのアップばかりが目立つ、つまらない映画「トロイ」にもヘレン役で出演していたとか。
「トロイ」には昨日紹介した映画でヘンリー役をやっていたエリック・バナが、こちらはヘクトル役で出演していました。

アニエスカ・ホランド監督は、レオナルド・ディカプリオがアルチュール・ランボーに、デヴィッド・シューリスがヴェルレーヌに扮した映画 「太陽と月に背いて」を撮っています。
また他にも、「小公子」「 小公女」などを書いたバーネットによる小説「秘密の花園」の映画化も。
どちらも、それ程ヒットはしませんでしたけれど・・・・どちらも私の好きな映画です。
特に「秘密の花園」の花園でのシーンの数々。そこの美しさと、花が咲き始めるときのトキメキは忘れられないものです。もし身近に子供がいたら、是非見せたい映画のひとつに思えます。
ストーリーも、映像も、美しい映画なのです。

この映画のハイライトである、「第九」の初演シーン。
クラッシックの事はよく解らないながらも・・・数ある芸術の中で、音楽のしめる位置の偉大さを感じました。
第九の指揮を影で支えたアンナ=ダイアン・クルーガーが音の世界に包まれた自分自身に陶酔する演技。
観客達の拍手が聞こえなくて困惑するヴェートーベン=エド・ハリスの姿にも感動です。
この時期に、偉大な音楽が次々に生み出されていたのですね。

不滅の恋 ベートーヴェン デラックス版 [DVD]

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