ダウン・イン・ザ・バレー [DVD]

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD


今日は映画「ダウン・イン・ザ・バレー」のお話です。
「ダウン・イン・ザ・バレー」は、現代のお話。その舞台となるのはロサンゼルス郊外のサンフェルナンデス・バレー。
最初は恋愛ドラマかと思って見始めましたが、ストリーが進むにつれてそうではなくなってきます・・・・・
少女トーブ=レイチェル・ウッドが、海に向かう途中に立ち寄ったガソリンスタンド。
彼女は一緒にいる友達達が「いかれた・・・カウボーイ」と言うに関わらず、そこで働いていたハーレン=エドワード・ノートンに一目ぼれをする。
その後トーブの弟=ローリー・カルキン(マコーレ・カルキン君の弟)も巻き込んで、ストーリーはおかしな方向へ進んでいくのです。
ハーレンはそのカウボーイ姿だけでなく、仕事にも就かずに一人で銃の練習ををしたりする、確かに変なヤツ。
平気で嘘をついて、知り合いだった牧場主に黙ってそこの馬に彼女を乗せてしまったりするのだ。
内気で友達のいないトーブの弟、この少年もやはり心を少し病んでいるのか。
父子家庭で娘の事が心配でならない警察官の父=デヴィッド・モースには、ハーレンはいい年をしてフラフラしている駄目男にしか見えず、二人が付き合うことに反対をし始める。
トーブはハーレンに駆け落ちを迫られるが、ハーレンが弟に銃の撃ち方を教えていた事から彼女はその申し出を断る。
そのことが、更に大きな事態を生んでいくのだった。

現代人の孤独を浮き彫りにして、現実と理想のギャップ、それぞれの価値観の相違。
ほんのチョッとした感情のすれ違いからの悲劇が描かれている映画です。
ノートンはこの映画では主演のみならず、脚本が気に入って製作にも携わりました。

後半の主役である、トーブの父=デヴィッド・モース。
その名前は知らなくても、誰でも顔を見れば・・・この顔はどこかで見た顔!って思い出される事でしょう。
ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー主演の「ザ・ロック」。ブルース・ウィリスとブラピの「12モンキーズ」。
トム・ハンクスの同僚役だった「グリーン・マイル」等、ハリウッドのメジャー作品に多く出演している俳優です。

ノートンは同年の映画「キングダム・オブ・ヘブン」においては、実在したエルサレム国王・ボードゥアン4世役を演じました。
この映画も、私は続けて観たのですけれど・・・
監督のリドリー・スコットは古代ローマ帝国を舞台にした映画「グラディエーター」で、グラディエーター=剣闘士と猛獣などの戦い、迫力に満ちた戦闘シーンなどを演出しました。そしてこの映画は、世界的なヒット作となりました。
またこの中では決してハンサムとはいえないラッセル・クロウの魅力も大きく引き出しており、オヤジのカッコ良さをも上手く描いた映画だと思います。
しかし、同じようにして作られたスペクタクル・ドラマ「キングダム・オブ・ヘブン」は、主役のオーランド・ブルームが小粒すぎるのか、ジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニーソン、デヴィッド・シューリスと言った大物が脇を固めていても、あまり関心出来ない完成度です。
ボードゥアン4世役は、ハンセン病におかされて死期の近い役柄の為、顔面が仮面に覆われています。
それ以外の声と全身でもって、ノートンは苦痛に満ちた死を迎える直前の役を格調高く演じました。

翌年に出演した、映画「幻影師アイゼンハイム」について書いた日記はこちらです(→)

大阪でサラリーマン生活を送った後、ハリウッドのオーディションを受けて映画「真実の行方」でデビュー。
あの時の演技にだまされたのは弁護士だけでなく、我々観客も同じ。
スターだった主役のリチャード・ギアをしっかりと喰ってしまって、一躍注目をあびたのでした。
その後の「ファイトクラブ」においてだって、ブラピよりも印象に残ったのですから。
そう話題にならなかった映画「ラウンダーズ」では、マット・デイモンがポーカーの世界へと深くはまり込んで行くきっかけともなる友人の役でした。

彼はこのように見た目はどこにでもいそうなごく普通の男、しかし何を考えているのかわからない不気味さを秘めた男の役が多いように思います。
トマス・ハリス原作の「羊たちの沈黙」「ハンニバル」に続く、ハンニバル・レクターシリーズの3作目である「レッド・ドラゴン」。
この作品においては連続殺人事件を捜査するFBI捜査官役で、殺人鬼=レイフ・ファインズと対決をする役柄ながら・・・・ノートンであったら、レイフ・ファインズと役をとりかえっこしても良かったかも。
結局あの映画で最も強い印象を残したのは、犯人ダラハイドと恋愛関係になる盲目の女性=エミリー・ワトソンのキャラクターだったように思えます。
以前、「レッド・ドラゴン」を見たときの日記はこちら(→)

拳銃つながりと言うわけではありませんが・・・
カメレオン俳優と言われるロバート・デニーロやダスティン・ホフマンの後を継ぐのは、大好きだったヒース・レジャーが若くして亡くなった今、このエドワード・ノートンではないかと私は密かに思っているのです。

キングダム・オブ・ヘブン [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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