何とも淫靡でいやらしげなタイトルの映画です。
江戸川乱歩の小説「陰獣」を、フランスのバーベット・シュローダー監督が映画化した作品なのです。

フランスの推理作家アレックス=ブノワ・マジメルは、著作の宣伝のために来日をする。
アレックスは日本で、正体が一切謎に包まれた覆面作家・大江春泥(=江戸川乱歩を思わせる作家)に会う機会を待っていた。
出版社の接待でお茶屋に出かけたアレックスは、美しい日本人の芸妓・玉緒=仏在住のモデル・源利華と出会う。玉緒はなんとフランス語が堪能なのだ!?
彼女から、大江春泥に関する意外な打ち明け話を聞かされるアレックス。
それからの彼は玉緒に振り回されっぱなし・・・ラストシーンまで思わせぶりなだけで、全くなんてことのない作品#59136;
日本人キャストは、玉緒の旦那さん=パトロン茂木役に石橋凌。お茶屋の女将役には藤村志保。

私がこの映画を選んだのは、「王は踊る」「ピアニスト」の主演ブノワ・マジメルが見たくてなのです。決してタイトルに惹かれてだとか、興味本位でなんてことではありません#59142;本当です・・・オイオイ
彼って「年下のひと」で共演した、ジュリエット・ビノシュの元パートナーとしての方が日本では有名なのかもしれませんね。
ジュリエット・ビノシュは本国フランスでも大女優、とても尊敬もされているとか・・・・

見終わって、まず思った事は、仕方がないものの・・・アップになった時の顔が可愛くないの(顔の事については人のことを言えませんけどね#59136;)
最近では映画「バベル」出演でオスカー候補になった菊地凜子、「チャーリーズ・エンジェル」でのルーシー・リュー、彼女もキャメロン・ディアスとドリュー・バリモアと並んで比較するとかなり落ちるように思えたけれど。
欧米人の基準で選ばれた「アジアンビューティ」って?
白塗り芸者さんの玉緒に、アレックスは一目ぼれをしてしまうのです。
ミステリア~スな魅力があったのでしょう。でも、それって少し無理がありません?#59142;
本作の中、ヌードや大胆なシーンがあるから日本の女優さんにはお断りされた経緯があったようながら・・・・フランス語は堪能、でも京都弁がおかしな芸者さん。
玉緒は踊りの名手と言われる、しかしその着物姿、仕草も素人から見ても明らかに変でした。

フランス人監督による江戸川乱歩作品、日本を舞台とした映画・・・・そのミスマッチな取り合わせは、最後までミスマッチなままで終わるのだった。
そして期待されるような官能的なシーンは何ヶ所かだけですからね。どこまでも思わせぶりなだけです。
ラストシーンは、服役中のアレックス。
正統派ハンサムなマジメル。
最後のシーンでの彼の演技・・・・日本語の台詞と、動きのコミカルさには笑ってしまいました。

この監督の過去の作品・・・・ジェレミー・アイアンズとグレン・クローズが競演した「運命の逆転」、ブリジット・フォンダとジェニファー・ジェイソン・リーの「ルームメイト」等・・・成功していた作品もあり、面白く見られたのですけれど。。。


もう一本の、「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」
戦後の東京を舞台にした、小説家の大谷=浅野忠信と妻の佐知=松たか子の物語です。
これは作家太宰治の原作を元に、描かれたストーリー。
登場する主人公の大谷は救いようのないダメ人間、しかしそれを許し続ける妻。
ここで描かれた二人の世界は、私には理解も共感も出来ないものでした。
かえって、私も過去に出会った何人かの女性を思い出してしまいました。
「私がついていなければ、あの人は何も出来ないから」とか「彼をわかってあげられるのは私だけ」と、言い訳ばかり・・・・
このような男女のあり方って、当人同士がその状態に酔っているのでしょうか。
監督が根岸吉太郎というのは意外な感じを受けたものの、特にこれ以上の感想はありません。
彼女の最後の台詞「私たちは、生きていれさえすれば・・・・」ですって!こういった生き方と関係は永遠のものなのでしょうね~~

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