劔岳 点の記 メモリアル・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


「劒岳 点の記」は新田次郎の小説を原作とした映画です。
本は昨年読んで、感想をアップしていますので・・・・あらすじ等は過去のブログ内でご覧下さいませ→
原作は読んでいたものの、映画化をされたこちらについてはレンタルショップでは常に貸し出し中。
ネットでレンタルを予約するも、人気のため何時になっても手元に届く事はありませんでした。
先週末テレビ放送においてようやく見る事が叶いましたので、本日はその事について少々。


陸軍測定班の測量手・柴崎芳太郎=浅野忠信は、日本地図最後の空白地点を埋める為に「陸軍の威信にかけて剣岳の初登頂と測量をせよ」との厳命を受ける。
当時、剣岳は険しさと宗教上の理由から「死の山」とも言われました、そのような前人未踏の剣岳登頂に挑んだ男たちを描いた映画です。
「ヴィヨンの妻」ではそれ程と思わずにいましたが、本作では寡黙で抑えた静かな演技がこの役柄の性格を際立たせているように感じられました。
浅野忠信は顔も良いけど、声も素敵ですね。声の良さは役者にとってかなり重要な要素をしめるものと、私は思っています。

信頼を寄せる古田=役所公司に紹介された、山案内人はの名は宇治長次郎=香川照之。
あの外見が私の好みではないからか、香川照之ってどうしていつも良い役ばかりなのって?不思議に思っていた俳優のひとりでしたが・・・・
人一倍に山に通じているだけに自然の中の人間の無力さを謙虚に出す長次郎、この実直な驕りのない役柄の彼はとても良かったです。
先にこの映画を見た母も、香川の魅力を見直したとのこと。

少し脱線してしまいますが、大河ドラマ「龍馬伝」でも岩崎家のシーンは楽しみだったりします。
問題ばかりを起こし常に飲んだくれている弥太郎=香川照之の父親・弥次郎=蟹江敬三、香川と共にその存在感は抜群なのだ。
無名だった頃の蟹江敬三、若き日には日活ロマンポルノにも出演していたのだとか・・・・・
先頃亡くなられた立松和平の小説「遠雷」が根岸吉太郎監督で映画化された作品の中では、主演の永島敏行と石田えりは勿論の事、蟹江敬三が演じた不思議なキャラもとても印象に残っています。
その息子の蟹江一平も俳優として、ここでは剣岳に同行をする人夫役で出演をしています。
その他の役者さん達もそれぞれが、渋くて味わいのある演技でした。

柴崎が東京の自宅で新婚の妻=宮崎あおいと交わす会話の優しさ、このシーンは厳しい仕事に向かおうとする前の家庭の心地よさが描かれているところだと思われます。
それにしても・・・・・登場する人物達の会話の簡潔で美しい事。その所作の何とも上品な事!
私達はこのような心遣いを、何時の間になくしてしまったのだろう。。。。

陸軍の威信にかけた絶対的な命令とする、現場の状況など考慮しない上層部からの圧力。
初登頂を競って登頂を目指す日本山岳会、立山温泉の宿でのエピソード等、省略があるのは上映時間の関係から仕方のなかった事かもしれません。

作中の台詞に「この自然の美しさは、厳しさの中にある」とありましたけれど・・・・
それは正にその通りと思わせてくれた、過酷とも思える美しい山岳風景の連続。
映像カメラマンの木村大作の初監督作品です。本作はやはり映画館の大スクリーンで見たかった!!
登頂を目指すだけでも大変な危険が伴うこと、その上に測量の道具を担いでの登山がどれほどの困難を極めたものだったか。
与えられた仕事に対して、勇気と信念を持ってひたむきに取り組む姿。
命を削るかのような状況の中で大きな目標を達成した、ラストの男達の顔はどれも胸に迫るものがありました。

現在の私達からは想像もつかない先人達の困難さを強調したのか、意味不明なシーンが何ヶ所かありその辺りは気になりましたが、それってきっと私の理解力が不足しているためなのでしょうね。
日本も、日本人も、まんざらではないなぁと認識をさせられた映画です。

同時間帯にNHKでは映画「ハゲタカ」が放送されました。こちらも録画して見る予定でしたが、しばらく使用していなかったビデオ(これは配線がつながっていなかった?)DVD(息子のお下がりを新しく使い始めて、これまでに録画をしたことがなかったから・・・)どちらも結局、操作が出来ず・・・・私って駄目な人ね。