沈まぬ太陽 スタンダード・エディション(2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
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この作品は、作家・山崎豊子による長編小説を元に映画化をしたものです。
舞台となるのは、日本のフラッグシップである航空会社の国民航空。これだけで、とある航空会社の名がが思い浮かんできますね。
社内で労働組合委員長として経営陣と対立した恩地元=渡辺謙は、その報復としての左遷人事により10年間にも及んでカラチ、テヘラン、ナイロビと海外僻地へ追いやられる。
それは今から30年以上も前の事であり・・・その間には子供の教育問題からの家族との別れ、母と死別もあった。
そのような憂き目にあっても彼は、それでも会社の意向から決して逃げようとはしなかった。
しかし組合の副委員長として共に戦った行天四郎=三浦友和は、恩地とは別の道を歩む事を定めていた。

その後ようやく帰国を果たした恩地であったが、そこに起きたのが航空機が御巣鷹山に墜落した「国航ジャンボ機墜落事故」。
ここは本作中で最も重要なシーンであるだけに、事故後の様子にも迫力が感じられました。
同じ題材を扱った映画で一昨年だったかに映画化された「クライマーズ・ハイ」は・・・いかにも低予算で作ったのがありありと見てとれた出来だったから、原作がよく書き込まれていたものだけに残念に思いました。

遺族係へとまわされた恩地は遺族への対応にしても何よりも誠実を心がけるが、人の形を留めていない無残な遺体を残された遺族達には簡単に受け入れられるはずもないのだ。
事故後に総理大臣の意向で、関西の紡績会社の会長・国見=石坂浩二が会長に就任後は、会長室に招かれて共に社内の改革へと向かっていくが・・・
一度でも利権を手にした人間・組織がそれを黙って手放すはずもなく。結果、政・官が癒着して社内の不正疑惑は葬られてしまう。
国を代表する航空会社ともなると、そこで持つ力の大きさや影響はいかばかりなものなのか!?
この国と企業が経済発展を共にしてここまで来たことは私でさえ理解に及ぶところとなるのだが・・・・
「良心」と言う言葉はどこかに忘れ去ってきてしまったものだろうか。
主役の男達の間に交わされる不正、疑惑、嫉妬。どれもが汚らしく思えた。

女性陣は、恩地の妻役に鈴木京香、母には草笛光子。
行天の愛人でありスパイでもあるCAの松雪泰子。事故で夫を亡くした女性=木村多江など。
松雪の眉間にしわをよせたボソボソした話し方は、今年春に放送されたドラマ「Mother」の時と全く同じ。

とにかくキャスティングは豪華そのものです。例えるなら、二時間ドラマのゴージャス版みたいに。
ラストは行天に再度ナイロビ行きを命じられて、アフリカの大地をバックにした・・・それでも希望を持って生き抜こうとする恩地=渡辺謙のナレーションで終わる。
このシーでは、やはり感動をします。
3時間超のスケールの大きなストーリーを支えきった、主役である堂々たる存在感が感じられた映画でした。
そしてやはり俳優は声が命。そして顔も、スタイルも・・・・ってうるさい?