ダイイング・アイ

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/11/20
  • メディア: 単行本


映画「麒麟の翼」により、ここ連日メディアに登場する機会の多い東野圭吾作品。そんな彼の小説「ダイイング・アイ」を読みました。
私が読んだものはハードカヴァーでしたが、昨年文庫化もされた模様です。

作者得意のサスペンスものながら・・・本作にはホラーの要素が入っているところが特徴に思えました。
何とも気味の悪いストーリー、読んでいるとゾクゾクとしてくる内容です。

作品の序盤は、一人の女性が帰宅途中に出会ってしまう交通事故。この不慮の事故により、彼女は亡くなってしまうのであるが。。。このシーンに限っても怖いです。

そして・・・・
バーテンダーの雨宮慎介はある日、何者かに襲われて記憶を失ってしまいます。
その後、犯人の自殺という形でその事件は終わるかと思わせて・・・
彼が襲われた事件の動機が、かつて雨宮が起こした交通事故で妻を失った夫による復讐であったと言うもの。
どうしても思い出せない事故の時の様子、周囲の人間を問い詰めていく事で少しずつ思い出され・・・知らされる・・・意外な真相。
雨宮の勤めるバーに現れる、謎の美女・瑠璃子はいったい何者なのか?
襲った夫がかつてしていたのは、マネキン作りの仕事だという。
妻に似せたマネキンを納得いくまで何体でも作り続ける過程からも、執着心が感じられて何とも不気味だ。

常人から逸脱したムードをもつ瑠璃子のキャラが放つ得体の知れない感じ、ラスト近くで明かにされるその正体がまた怖い。
あまり書いてしまうと…ネタバレになってしまうから…これ以上は明かしませんけれど・・・

怨念とか、呪縛と言った非科学的な要素が強いところが読んでいて納得出来ない、深く入り込めない一因となっている。
後味も決して良いものではなかったし、東野作品としては完成度の低い方かも・・・なんて、上から目線!?
満足感が得られる程ではありませんでしたけど。。。それでも時を忘れて、一気に読んでしまえる一冊には思えます。

私にとって東野作品の原点ともなった、直木賞受賞作「容疑者Xの献身」。
アメリカのミステリー界で最も権威のあるエドガー賞(推理小説の父とされるエドガー・アラン・ポーにちなんだもの)の、候補作が発表されました。
今年の最優秀作品賞の5候補のひとつに選ばれたという、嬉しいニュースがあったそうです。

「容疑者Xの献身」http://plaza.rakuten.co.jp/simarisuu/diary/200605110000/
加賀恭一郎シリーズでは、他に「赤い指」http://plaza.rakuten.co.jp/simarisuu/diary/200611170000/
私の書いた感想は、もっとずっとダメじゃん!
「麒麟の翼」はまだながら・・・昨年、「新参者」は読んでいました。

それにしてもこの作者。とくかく多作です。
どうしてこれ程、次々と書くことができるのでしょうね。