ある公爵夫人の生涯 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD


「ある公爵夫人の生涯」は、デヴォンシャー公爵夫人である、ジョージアナ・キャヴェンディッシュの伝記小説を映画化した2008年のイギリス映画。
18世紀後半のイギリス。
貴族の家に生まれたジョージアナ=(ジョニデでお馴染み、パーレーツ・オブカリビアンのエリザベス役) キーラ・ナイトレイは、17歳という若さで名門貴族のデボンシャー公爵=レイフ・ファインズのもとに嫁ぎました。

結婚が決まった時、母親と共に喜んだのもつかの間。
結婚後三人の子供をもうけたが、それ以外に多くの流産を経験するなど・・・ただ跡継ぎを生むためだけの存在として、夫デボンシャー公爵とは愛のない生活を送るのです。
年齢の離れた夫の関心は、後継者となる男子の誕生だけ、彼女に愛情を示さなかった。
親友エリザベス・フォスターを家においた事により、二人の関係は不倫関係に発展をしてしまいます。
その後は長年にわたり、妻妾同居生活にも耐えることとなる。

外では社交界の華として注目を集める彼女の前に、若く情熱的なチャールズ・グレイ=ドミニク・クーパーが現れます。
真っ直ぐな性格のチャールズに心を奪われ恋に落ちるも、・・・当然それはスキャンダルになってしまい…直後、ジョージアナはチャールズの子供を出産し、生まれた赤ちゃんはグレイ家に引き渡されます。
彼女は40代で生涯を終えるまで、華やかなファッション&ライフスタイルの公爵夫人として人々に愛され続けました。
ジョージアナの死後、その意志もあって公爵とエリザベスは正式な結婚をします。

現代とは違って、何時の時代もながら…地位や名誉を表すのは、豪奢な衣装や髪型です。
主役のキーラ・ナイトレイは華やかな顔立ちの美人だからドレス姿も決まっています。しかしスレンダー過ぎて、胸の辺りが少しさびしかったかな。

何を考えているのかわからない、また表面に出そうとしない侯爵役を貫録の演技で演じたレイフ・ファインズは適役に思えます。
対する浮気相手のチャールズ・グレイ=ドミニク・クーパーはそれ程魅力的に見えなかったから、チョッと残念な感じがしてしまいます。

地位と名誉、そして財産をもつ暮らしは、一見贅沢そのものと思えるものの…
いざその立場になってみたら、それ程単純ではないとする見方が全編をつらぬく作品でした。


クィーン [DVD]

  • 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
  • メディア: DVD


ジョージアナが第5代デヴォンシャー公爵ウィリアム・キャヴェンディッシュの最初の妻であるなら。現英国王室チャールズ皇太子妃であったダイアナは、ジョージアナの弟である第2代スペンサー伯爵ジョージの直系子孫である。
…という事で、次はダイアナさんが関係するた映画「クィーン」。
こちらは、ダイアナ元皇太子妃の死の前後を描いた作品です。
1997年8月31日のフランス・パリ、チャールズ皇太子妃であったダイアナが突然事故死をしてしまいました。ダイアナの死により、穏やかな暮らしを乱されてしまうエリザベス女王一家。

スコットランドで夏季休暇の最中であったクィーン達。
その死に際しても、離婚して一民間人となった本人のプライベートな出来事として…王室としては何ら発表もせず…クィーンは夫のエディンバラ公、王太后、チャールズの子供達と共にスコットランドに留まり続けます。
一方当時のイギリス首相であったブレア首相は、ダイアナの人気にのった形で「国民のプリンセス」とその死を悼むコメントを出します。
ダイアナが人々にいかに愛されたかを目の当たりにして、チャールズまでが母のエリザベス2世の意志に反しブレアに接近してしまいます。
クィーンのとった態度には、国民の不満が高まり・・・王制廃止論まで出る始末。
息子のチャールズ皇太子までが同調をする中、ブレアからはロンドンに戻り、ダイアナの死を悼むコメントを発表するよう何度も求められます。

内心は世論に屈したくはない。
何が起きても、毅然とした態度をとり続けたいとしながら…窮地に立たされてしまったクィーンは、ついにこれ以上国民の感情を無視する訳にはいかないものと、彼女なりに精一杯現状に歩み寄っていくのでした。

常に自らより国を第一に考えなくてはいけないとする慣習、伝統を重んじる信念に基づいて崇高な態度をとるクィーン。
そこにあるのは、人の上に立つものとしての苦悩と決断。

チャールズとダイアナとの結婚生活や離婚についても私情を出してはいけない立場上、言葉にならないものは勿論あっただろう。
主役のクィーン・エリザベス2世=ヘレン・ミレンは常に毅然とした態度、対応に苦慮する様子を凛とした物腰で演じ切りました。
夫のエディンバラ公= ジェームズ・クロムウェル。
イギリス首相・トニー・ブレア=マイケル・シーン。
他にジョージ6世の王妃でエリザベス2世の母。トム・フーパー監督作品「英国王のスピーチ」ではこのエリザベス役をヘレナ・ボナム=カーターが演じました。その数十年後、本作ではおばあちゃんとなってしまっている王太后。
チャールズ皇太子、ブレア夫人等・・・もう一人の主役である、ダイアナさんは実写部分のみ。

ヘレン・ミレンは本作での演技により、ヴェネチア映画祭において最優秀女優賞に輝き、79回アカデミー賞においても見事オスカーを受賞しました。
私の中でヘレン・ミレンは、なんと言ってもイギリスンのTVシリーズ「第一容疑者」での女性刑事役。
一昨年の映画「RED/レッド」で名うての殺し屋をエレガントなロングドレスのコスチューム姿で、余裕で演じていたのも納得をしてしまいます。
農場にもらわれてきた小豚が主役の映画「ベイブ」で、無口な牧場主ホゲット爺さん役を演じてから注目をされたジェームズ・クロムウェル。
彼は悪人から善人まで幅広く演じて、数多くの作品に出演し続けています。

庶民の視線からすると、イギリス王室の方々も首相も私生活は意外と普通であったところも興味深いです。
公爵夫人ジョージアナと、ダイアナさんの生き方は重なるって、その辺り私の思い込みが過ぎるのでしょうか。。。