パーマネント野ばら [DVD]

  • 出版社/メーカー: デイライト
  • メディア: DVD


映画「パーマネント野ばら」は、西原理恵子の漫画作品が原作となっています。
堺雅人主演の「クヒオ大佐」を楽しませてくれた、吉田大八監督が映画化しました。

一人娘を連れて、高知県のとある町に戻ってきたなおこ=菅野美穂。本作は、彼女が実家である美容院「野ばら」を手伝って生きる日々が描かれています。
なおこの同級生でフィリピンパブのママ・みっちゃん=小池栄子。
次々と駄目男ばかりに引っかかり続けた挙句に、結婚をした旦那さんがギャンブル狂、その上薬物中毒で死んでしまうと言うともちゃん=池脇千鶴と・・・いかにも薄幸な感じの三人です。
主役のなおこ以外にもここで登場するのは情が深いものの、一般的には不幸と思われる女たちばかり。

母親の経営する美容院、そこの常連客おばちゃんたちのキャラがまた濃いこと!!
揃ってパンチパーマ頭で厚化粧&立派な体型。常に話すのは男の話ばかり、それもかなり下品な○○ネタばかり。
満島ひかりの「水の底からこんにちは」に登場してきたシジミ工場のおばちゃん達を思い出してしまった。
いや、あれよりも強力だわ。
大らかで豪快な女性達、それぞれのキャラが強烈で笑えます。

旦那の浮気にキレたみっちゃんが車で旦那を引いてしまうシーンは、笑えると共に泣けました。
人の不幸ははたから見たら滑稽で、何となく可笑しいものなのかもしれません。
先の映画「接吻」で見せた怪演と存在感、小池栄子は今回もはまり役に思えます。未だ未見である「八日目の蝉」での演技も気にかかるところ。


ほぼ終盤まで、ブラックでシュールな笑えるシーンの数々が続いて・・・可笑しな女性たちの姿を笑いながら観て行く事になるのですけど・・・
ともちゃんがロクでもない男に引っかかって、やっと捕まえた旦那がギャンブル狂いだったというオチ。
西原漫画にも、度々登場をする友達のみっちゃん。貧乏だった彼女の子供時代、みっちゃんの父親のエピソード。
みっちゃん父=本田博太郎の登場シーンは、実写でも違和感なし。
サイバラワールド、全開なのでした。

なのに・・・作者の生まれ故郷高知の風景。澄んだ海&高い空。懐かしい田舎の家並み等の映像が胸に染み込んでくるのです。
彼女たちに起こるエピソードを描きつつ、なおこと恋人カシマ=江口洋介の切ない恋も描かれていきます。

なおこの母、「野ばら」の店主=夏木マリ。その旦那さん=宇崎竜童。
西原漫画のイメージからは、山田優主演ドラマ「崖っぷちのエリー」の渡辺えり子の方が近い。あくまでもそれは見た目だけかもしれないけれど。
以上のように濃いキャラに囲まれた中で、なおこだけは可憐で清楚に描かれています。
菅野美穂はこのような切ない恋心を秘めた役を演じるとぴったりに思えます。
菅野はドラマ「坂の上の雲」では正岡子規の妹役、兄の友人・秋山真之に密かに思いを寄せる役柄が切なかった。
近年の「ギルティ」や「蜜の味」等、アクの強い役柄よりもずっと良い感じです。


作品内の自画像に近い、おかっぱのヘアスタイル。ストンとしたギャザースカートにパフスリーブのTシャツと言った子供みたいな恰好がとても似合っています。
なおこと高校教師のカシマとの恋。
お互いが相思相愛の二人です。
しかし、その恋には思わぬ秘密が隠されていた・・・というラブストーリー。
堺雅人が演じた男が実在しないクヒオ大佐と一体であったように、本作でのなおこはカシマの姿を探し続けたまま生きているのであろうか。


週刊朝日連載のグルメレポ漫画「恨ミシュラン」により私は、作者の西原理恵子の名前を知りました。本も勿論持っています。
それ以降も、数冊は購入して読んだものと思う。

             
彼女は「鳥頭紀行」のアマゾン取材旅行がきっかけとなり、フォトジャーナリストの鴨志田穣と結婚をする。
一男一女をもうけるも、鴨志田のアルコール依存症、互いのすれ違いなどが原因で離婚。
その後、鴨志田のがんによる死亡。
小泉今日子、永瀬正敏主演の映画「毎日かあさん」は元夫婦の共演となる為、作者たちと主演キャストのシチュエーションが同じとして話題となりました。