アメリカロサンゼルスにおいて昨日、第85回アカデミー賞作品賞として・・・
1979年のイランアメリカ大使館人質事件を題材とした、ベン・アフレック監督・主演による映画「アルゴ」が選ばれました。
オスカー像を手にしたベンの興奮したスピーチを目にして、嬉しさを隠しきれないその様子から余程嬉しいのだろうなぁとニヤついてしまった私。

彼は過去にも脚本も兼任した「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」、こちらではアカデミー脚本賞を受賞済み。
しかし俳優としてのイメージは失礼ながら凡庸なものでしかなく、「「グッド・ウィル・ハンティング」では役どころさえ思い出せない有様。
「グッド・ウィル・ハンティング」はマッド・デイモンの鮮烈なデビュー作であり、またロビン・ウィリアムスの存在感しかないのでした。

「アルマゲドン」では、地球を守る為に召集される石油採掘のスペシャリスト達のうちの一人。
でもどこにでもいるような田舎のお兄ちゃん風の風貌から、どうして?と首をかしげていたくらいでしたもの・・・
一時噂にあった女優グウィネス・パルトロー主演映画「恋におちたシェイクスピア」においても、彼については特に感想はありません。
「アルマゲドン」のマイケル・ベイ監督による次の主演作品「パール・ハーバー」に至っては、観る気さえ起きず。

しかしベン・アフレックが、映画監督としてデビューを果たした「ゴーン・ベイビー・ゴーン」。
まとめ買いしたB級作品を放送していると思われる昼の時間帯にテレビで偶々見た本作品は、ベンの初監督作品であり、日本では劇場未公開作品でした。
だから何気なく見始めたものながら・・・

街で4歳の少女アマンダが誘拐される事件が発生した。その3日後、警察の捜査に限界を感じたアマンダの叔母夫婦が、街の裏側に精通するパトリック=ベン・アフレックの実弟=ケーシー・アフレックのもとへ捜索依頼にやってくる。
誘拐事件に気が進まないまま、アマンダの行方を調べ始めるパトリック達であったが。。

この作品は、C・イーストウッドが監督した「ミスティック・リバー」の原作者としても知 られるデニス・レヘインの原作を映画化したもの。
パトリック達がたどり着いた犯人、それは温厚な人柄により人々から信頼を得ている年とった黒人警察官=モーガン・フリーマン。
対して娘が誘拐された後も少しも変わることなく、子供よりも男とのデートや自らのオシャレにしか興味のない。いわゆるホワイトトラッシュと呼ばれる、ビッチなシングルマザーであるアマンダの母親。
彼女の居場所は、血の繋がりはなくとも良い環境で育てられるであろう養父母の元か、それとも劇中の台詞にもあったように、「アマンダだってこのままいけば、散らかった部屋で汚れた子供と暮らす。そんな生活をするようになるだろう」と想像される・・・実の母親の元の方が幸せであるのか。
自らが生きる道を選択できない幼い子供にとって、本当の幸せとは?・・・我々観客にも選択が委ねられる、そんな映画だったかと思います。
近頃は日本でも毎日のように目にする育児放棄=幼児虐待と言う・・・今日的なテーマをてらいのない視線により真正面から見つめて描いた映画は、監督としてはかなりのレベルをいくものと思えました。

「アルゴ」の公式サイト、予告編のトップには「これは実話です」・・・と刺激的なキャッチコピーあり!
作品に、アラン・アーキンが出演しているところもなんか嬉しい。
http://wwws.warnerbros.co.jp/argo/

同じく描かれた内容が事実であったかどうか論争を呼んでいる、オサマ・ビン・ラディン殺害計画の「ゼロ・ダーク・サーティ」。
こちらも同じく作品賞にノミネートされた、キャスリン・ビグロー監督の作品です。
イラクでの爆発物処理班の任務を描いた前作「ハート・ロッカー」がかなり楽しませてくれただけに、彼女の映画も期待出来るものかと。。
「ハート・ロッカー」について書いたものはこちら。http://hana2009-5.blog.so-net.ne.jp/2011-12-03

いずれにせよアメリカと言う国は様々な問題を抱えているにせよ、懐の深さも併せ持っていると言わざるをえません。

個人的にはクエンティン・タランティーノ監督の「ジャンゴ 繋がれざる者」の脚本賞受賞が嬉しい限りです。
日本映画に深い造詣をもつ映画ヲタクである タランティーノ作品はどれも面白い。外れのないものに思えますから・・・。

他所の国の映画の祭典に関わらず、やはり結果は気になるもの。そして選ばれた作品は観たくなってしまうものですね。