羊と鋼の森

  • 作者: 宮下 奈都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/09/11
  • メディア: 単行本


12日に、第13回本屋大賞が発表されました。大賞に選ばれたのは、宮下奈都氏の小説「羊と鋼の森」です。

それ程読んでいないものの、これを機に過去の受賞作品を振り返ってみることにします・・・・。・・・実はネタ切れにつき、便乗してみただけ。。
11回の和田竜の「村上海賊の娘」…、あ~!この間本棚に並べてあったのを見たばかり。今度借りてきて読まなくてはね。

第10回(2013年)「海賊とよばれた男」上・下巻 百田尚樹
20世紀初めから主要産業の源となった、化石燃料石油。エネルギーの供給源を断たれた事により、先の大戦へ突き進まざるを得なかった日本。
アメリカの巨大石油資本に対して、一見無力とも思える独自の懸命な働き、知力を武器にして・・・国内のみでなく世界と戦いぬいて、戦後日本の復興に力した。
実在の人物=出光興産創業者をモデルにした小説は、誠に読み応えのある骨太な作品でした。

第9回「舟を編む」三浦しをん
直木賞受賞作品「まほろ駅前多田便利軒」は、登場人物、文章共にイマイチ感があったものの…。
辞書の編纂と言う地味な、日の当たらない分野を取り上げた・・・テーマの新鮮さ。
言葉の海を漂いながら辞書の世界に没頭、丹念に作り上げていく緻密な作業の連続。
ひとつの辞書を編纂する、それがいかに膨大な作業の上に成り立つものか、過程を共に歩んでいく興味深さ。
登場人物名、人物設定が安易過ぎると言うか、なんかなぁ~~な印象は残るけれど・・・作者ならではの軽妙さも感じられた、万人向けの一冊に感じられました。

第7回「天地明察」冲方丁
この本は読み始めたものの、途中あえなく挫折。時代小説は嫌いじゃないのに、読み続けずに終わった一冊。
同じく相性がないと言うか、読み初めで投げ出してしまったのは第5回の「ゴールデンスランバー」。
伊坂幸太郎作品はどうしてなのか、どれも読み続けるに無理がある。ダメなのですね。

第6回「告白」湊かなえ
湊作品に漂うムードは、根暗な私に合います。どれも気になって面白くて、手当たり次第皆読んでしまうのでした。

第3回はご存じ、リリー・フランキーの「東京タワー オカンとボクと、時々オトン」…母への思いを直球で描き切った一冊。母親としては離れていても、幾つになっても息子はこうであって欲しいもの。なんちゃって!勝手でゴメン。
第2回「夜のピクニック」 恩田陸
学校行事の一環として、クラスごとに一晩中歩く。ただそれだけの内容ながら・・・予想を超えて良かった。登場人物の若さからか、爽やかな読後感が残りました。
第1回「博士の愛した数式」小川洋子
最後の数行は不覚にも涙してしまった、数学嫌いでも楽しめる心優しい良質な一冊。

…と言う事で12作品中、読んでいたのは6冊。私的にはいずれも外れなし。
全国の書店員の投票で選ばれるだけに、どれも手に取りやすい。読んで良かったと思える作品ばかりでした。

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。・・・だそう。
機会があったら是非、読んでみたいものと思っております。