旅の最終日は、何をしましょう。
私が最後に寄ってみたかったところは乗鞍高原です。
槍ヶ岳・穂高連峰、乗鞍岳などの飛騨山脈を中心とした中部山岳国立公園は、昭和初期に国立公園に指定されました。
その中でも乗鞍岳一帯は、国立公園の中でも最も規制の厳しい特別保護区に指定されているのだそうです。

作家・中里介山の小説「大菩薩峠」にも登場した、かつては秘湯であった白骨温泉#59127;
改めて言うまでもなく、白骨温泉も私達いくつかは入湯済みですよ#59028;
その白骨温泉を目指してドライブしたのは、私がダウンする少し前でした。そのときのドライブコースの周囲の風景の素晴らしさがとっても印象的であったから#59126;
白骨温泉へと至る上高地・乗鞍スーパー林道は、絶景の続く乗鞍高原を横切る「日本百名道」のひとつなのだそうですね。

国道158号沿いの「道の駅 風穴の里」に立ち寄って、まずは乗鞍の地図をもらいましょう。
案内所でお聞きしますと・・・・乗鞍スカイラインと、中の湯から先~上高地までは、マイカー規制区間(これは事前に知っていました)、そして今回は上高地乗鞍スーパー林道も通れないとの事。

あいにく降りだした雨の中、先ずは「乗鞍高原パン工房 ル・コパン」へと向かいました。
山道を進んでいくと車窓から望むのは、白骨、乗鞍の山々、深い森。
この日は日帰り入浴を目的に車を走らせましたが、このお店も私はとても気になっていたのです。

こんなに山の中なのに、それに午前中なのに、どこからこんなに人がやってくるのでしょう#59142;
安曇野でもお店の前を通りがかっただけ、店内へ入らなかったパン屋さん「あずみのの朝」。
何でもネットで解ってしまうから、こちらのコパンにしてもあずみのの朝にしても美味しいお店は立地に関係なく人がやってきてしまう、混んでいるのです。
ここのパンは乗鞍の自然の恵みの中。山ぶどうの自然酵母でゆっくりと発酵させた生地を、手作りの石窯で焼いているのです。

石窯で焼かれたピザは、店内は勿論、オープンカフェでも頂く事が出来ます。
周辺はご覧のように美しい白樺林が広がっていました。
グラスワイン、ビールをはじめとするドリンクメニュー、次々と焼かれるピザは美味しそう#59125;
でも朝食をがっつりと食べてしまったから、まだ全然お腹がすいていない#59143;
結局、素朴な感じの雑穀に山ぶどうの実が入っているパンとクロワッサンを買って帰ってきました。

次に向かったのは日帰り温泉です。
乗鞍高原温泉は白骨温泉と隣り合っているだけに、濃厚な温泉が、それもとても豊富に湧いているのです。
そこに建つホテル、民宿、ペンションはどこも貸切風呂が備わっているから、一度は宿泊したい、またそこまででなくても日帰りでも利用したいものと思っていました。
向かった先は道沿いに、私達の利用した白樺の庄、美鈴荘、山栄荘と建ち並んでいます。
そしてそのどこもが、日帰りでも貸切風呂の利用が出来るところなのです#59125;
山栄荘には館主手造りの貸切露天がありますけれど、私でも入浴できるかが良く解らない。また日帰り貸切の場合の料金も?
美鈴荘にも男女別内湯と露天風呂の他に、内湯と露天がセットになった貸切風呂があります。。
しかしここ、利用時間30分という短い時間制限が設けられていることは、特に私のように着替えに時間のかかる人には合いません。

そのふたつと隣り合って、大型ペンションといった雰囲気の「白樺の庄」がありました。
こちらは檜、岩の2箇所、ふたつの貸切露天風呂を持つ宿です。どちらも日帰りでも貸切露天風呂の利用が可能とのこと。
それぞれのHPを見比べて、立ち寄り湯の中から一番に選んだのは白樺の庄です。
車から降りると、即プンとどこからともなく硫黄の香りが漂ってきました。
ちょうど玄関にいた奥さんに聞ききますと、「お風呂の利用はすぐに大丈夫です」と返事がありました。
受付で@1000円を支払って、先客がいないと教えてもらったので取りあえず貸切檜風呂の方へ入りに行きます。

廊下を歩き着いた先に、それぞれのお風呂が待ち構えています。

脱衣スペースは簡素な作り、洗面台などの備えはなく脱いだ洋服を置く棚と籠のみ、でも椅子があったから大丈夫#59028;
貸し切り露天風呂の手前に檜風呂・内風呂が。浴室内はログハウス風の造りです、浴槽と床だけ新しくヒバ材でリニューアルしたみたいですね。
湯口からはいかにも効きそうな温泉、マイルドで香リ高い白濁の湯が静かに注がれています。
お湯は全てかけ流し、乳白色の名湯#59127;
洗い場もシンプルな作りです、一応シャワーの備えもあるカランが4箇所。
ここには、ちゃんとシャワーチェアが置いてありました。
すごく気持ちの良い温泉です。ただ熱いから途中であがってしまって、その後はかけ湯をしていました。

着替えてから夫に、ふたつの貸切風呂の写真も撮ってきてもらいました。

左の木製の方が、私達の利用した内湯のすぐ外にあった露天風呂です。
これでしたら私でも入れた、こっちのお風呂にも入ればよかったですねぇ#59122;
もう一箇所の貸切岩風呂の方は、名前の通り岩で造られた湯船、湯船も小さめだったそう。それに足場が悪いから私には無理だったろうって。。。

檜風呂の方は別途1000円との事で支払った金額でしたけれど、入浴後に玄関へ向かっていたら奥さんが「外の露天へは入りませんでしたから」と500円返してくれました。
愛想のない人だなぁって思っていたけど、帰りには「優しいだんなさんですね」だって#59125;
こちらの温泉は山の宿らしくシンプル、でもしっかりと掃除がされていて気持ちよく利用することができました。
終わって外に出ると、いつの間にか外は土砂降りの雨。急いでいて、この旅館の写真は撮るのを忘れてしまいました。

雨の中、山辺に雲が沸き立つその光景は秘湯ムードたっぷりです。
乗鞍温泉は、快晴だけでなく雨の似合う土地でもあったのですね#59126;

酸性の強いこの温泉(酸性硫化水素泉)は、正真正銘の極上湯でした。
様々な成分が溶け込んでいるので湯ざわりも良い、その成分と熱めの温度でお風呂から上がっても身体はポカポカ。親の説教と乗鞍の温泉は後になるほど効いてくるだそう・・・・
この日は迎え盆のため実家によってから帰宅しましたので、夜は省略してしまって家のお風呂には入りませんでした。
しかしその後何度か入浴をしても、しばらくの間身体から硫黄の臭いが漂い続けていたのです。
初日の亀屋さんのお風呂もとても良かったですし、最後に浸かった乗鞍の湯も強力でした#59125;#59125;
今回改めて長野の温泉の魅力まで実感することができて、大正解でした。
それに緑いっぱいの風景に、身も心もすっかり癒されました#59116;

さて次はどこへ行こうかなって、それはもうすでに決まっているのですけれど・・・
それはまた、何時か#59144;