プリンセス・トヨトミ

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/02/26
  • メディア: 単行本


大阪出身の作家・万城目(まきめ)学の原作を読んだのは、すでに数ヶ月前のことながら・・・映画化されて今月末公開をむかえるのを機に、今日は話題の小説「プリンセス・ トヨトミ」について書きます。

物語の発端となるのは、東京の会計検査院からやってきた三人の調査官。
「鬼の松平」こと、会計検査院第六局に所属する副長の松平元。頭脳明晰なハーフの長身美女の名は、旭ゲンズブール、旭よりもはるかに小柄なしかし独特の嗅覚でもって活躍をする男は鳥居。
会計検査院とは、税金の使い道を調べて無駄かどうかを判断する特殊な機関のこと。
調査員達と大阪城を拠点にする謎の財団法人「OJO」とが対決する事により、大阪のほとんどの機能が「全停止」するという奇想天外なストーリー展開となるのである。

大阪の過去の歴史にからめた設定、登場人物たち。読み進めるうちに、その謎解きも進んでいき・・・
ネタバレになってしまうから、これ以上詳しい記述はしませんけれど。
「大阪全停止」なる行動を起こす、重要な要素となるのは東に対抗しようとする大阪人の気質。
観光名所である大阪城の地下に数十年の間、大阪人のみが知るもうひとつの国家が存在していたのだ。
ここ大阪国の総理大臣は、お好み焼き屋「太閤」の主人である真田幸一。
国民を前にしての松平との対決シーンの堂々とした姿勢は、某国の総理大臣にも見習って欲しいものです。

実家に置かれていた中から、タイトルとハードカバーのイラストとに惹かれて読み始めました。
せっかくなので全504頁読みきったものの・・・カバーの帯に書かれている「最高傑作」はオーバーに感じた。
登場人物それぞれの名前が豊臣と関係しているのを面白がると言うのも、私的にはなかったかな。
このような軽いのりを面白がる趣味はありません。
大河ドラマ「江」でも描かれているように、豊臣家の人々は一家に秀吉と言う人物がいたばかりに波乱に満ちた人生をおくった人々であったのだから。
今回の「江」の脚本から、あまりにも現代的な人物描写に常に違和感を覚えています。
史実とあまりにかけ離れてしまうのも、どうなのでしょうか。

いずれにせよ本書は、私世代ではないもっとずっと若い年齢層の読者向けに書かれたものなのでしょう。
大阪人でしたらきっとグットくるものがあるであろう壮大なファンタジー、エンターテインメント作品として受け取れるかと思いました。

映画では堤真一、岡田将生、綾瀬はるかの出演。
旭と鳥居のキャスティングは、互いに男女入れ替えとなっています。
大阪城が燃え上がったかのように真っ赤になるシーン。合図に合わせて大阪中の男達が大阪国に終結する様。そのようなシーンの数々がどのような映像作品に仕上がっているかは興味があります。
今月の28日から・・・間もなく映画が公開されます。http://www.princess-toyotomi.com/