山形市内には大正時代の建物・文翔館(ぶんしょうかん)があり、だれもが自由に見学可能となっています。
今日は、先月のさくらんぼ狩りの際に立ち寄りした「文翔館」について書きます。


信号号待ちの間に車内から撮った、石造りの旧・県庁舎です。激しく降る雨空の下での、見学となりました。
   
明治9年建造された初代県庁舎は、同44年の山形大火により消失した。
その後の大正5年に建てられた文翔館は、イギリス・ルネッサンス様式を基調としたレンガ造りの壮大な建造物。
パンフレットによりますと・・・設計は米沢市出身の建築家・中條精一郎を顧問として、東京都出身の田原新之助が担当したとのこと。
 
         

敷地内に入っていくと、旧県庁舎の正面玄関、シンボルでもある時計塔が見えます。
旧県庁舎には中庭があり、その中庭を囲む形で建物が建てられている。そして隣接する旧県会議事堂とは廊下でつながっています。

約60年間県庁舎の務めを果たした後、建物は昭和59年に国の重要文化財に指定されました。
10年の歳月をかけて平成7年9月に修復が完成し、現在は県郷土館として一般公開されているのです。



文翔館、玄関付近。奥は漆喰塗りで復元をされた、重厚な中央階段室。
 

こんなところからも、当時の職人達のレベルの高さがうかがえました。

現在で言えば義堂にあたる、「正庁」と呼ばれる大きな部屋。


中央のバルコニー部分からは・・・今でも、現在の山形市内が見渡せるようになっています。
          

貴賓室や知事室がありますが、当時の家具を復原して配置したのはもちろんのこと、一部の部屋ではじゅうたんやカーテン、壁紙に至るまで大正時代のままに復原したと言います。



こちらの建物、今では山形の観光名所のひとつとして沢山の人が訪れる観光名所となっています
ただ全てが立派なだけではない、この場所に佇むだけで大正ロマンに思いを馳せる・・・往時の人々の息吹が感じられる、そんな所でもあるのですね。



ルネサンス様式をベースにした県庁舎と、議事堂のレンガ造りの旧庁舎を見ていると・・・ここが日本国内であることを忘れてしまいそうになりました。
http://www.gakushubunka.jp/bunsyokan/

長い鎖国の時代が終わり、明治・大正と時代が進むにつれ流れ込んだ西洋文化。
文明開化と共に、国内の各所には西洋建築が数多く作られました。
その多くは時代の流れと共に消えていきましたが、ここ山形市をはじめとして同じ山形県の鶴岡や青森県・弘前市など…
東北地方には、明治~大正時代に建てられた洋館を今も大切に保存している所があるのです。
これが晴れていて庭園を自由に歩けたなら、満足度は更に高く思えました。