開湯1900年の歴史ある、蔵王温泉。温泉街に3ヶ所ある共同浴場は地元の人は勿論、観光客などにも幅広く利用されています。
私が初めて蔵王温泉を知ったのは、老舗旅館の「深山荘高見屋」を訪問した時です。
それまでスキーと樹氷といった知識しかなかった蔵王、そにこんな良い温泉があった事に初めて気づかされたのです。温泉神社などもある、独特の雰囲気を漂わせる温泉街が静かに佇んでいたのでした。

            
この日宿泊したのは「お食事処・お泊り処・お湯処 ろばた」さん、一日限定三室のみの隠れ家的な小さな宿です。
二階建ての四角い建物からは温泉宿の風情と言ったものは当然感じられません。
しかしこの宿、こう見えても建物の奥に素晴らしい浴室が隠されているのです。
お店入口脇駐車場の一角に、立派な大きな足湯が造られて、無料開放されている余裕も・・・。
二階の窓が並ぶ部分、泊まったのは202号室だったかと思います。
小さく並んでいるのは、ロフト部分の窓でした。

「え?こんなところに泊まる訳?」と、殺風景な佇まいに最初驚いていた夫も、お風呂に食事にと・・・次第に満足していった模様。
ろばたではその豊富な湯量から温泉床暖房、館内で使用しているシャワーや部屋の温水など全てが温泉を利用したものとの事です。


こじんまりとはしているけれど、お部屋はトイレも洗面所も完備。

ベッドルームの上のロフトも含めたら、最大で6名まで泊まれるとの表示が。子供連れでしたら、お子さんもきっと喜ぶでしょうね。
手前側にはテレビボード、そしてソファ&テーブル。
お風呂の案内をされて、同時に部屋までポットと冷水が運ばれます。
その時には随分と愛想がないなぁと思ったものの…宿の女将さんの店主も決して接客が悪い訳ではなくて、気さくでさっぱりとした感じの方でした。
こちらの尋ねた事に対しては「忘れちゃったのかな」と思っていたら…チャンと覚えていてきちんと答えてくれる。そんなアッサリ感が、好感度につながったのでした。

階段の上お部屋から見えるところにお風呂の鍵が下げてあり、鍵がそこにあるとお風呂が空いていることになります。
さぁ、お風呂。お風呂#59125;


雪よけのあるドアを開けて脱衣場へ、あとは内側から鍵をかけるだけ。
脱衣場はそれほど広くはないですがどうせ貸切ですもの、ここにもトイレはあります。
そして浴室と浴槽、これ家族で入るには十分な大きさですよね。
かなり熱めの「ろばた源泉」が、贅沢に掛け流されています。
湯の花が舞う硫黄臭が嬉しい、そしてちょっと酸っぱい温泉は目にしみ、口に入るとしょっぱい。
なんかどれも嬉しくて、贅沢な気分になれる事この上なし#59125;
最初は熱く感じるものの、湯船の縁に座ったり・・・。出たり入ったりを繰り返して、蔵王のお湯を堪能させていただきました。

さぁ、次のお楽しみは夕ご飯です。テーブル3席ほどと小上がりのある店内。
宿泊客の夕食は、小上がりのお座敷の方に用意されていました。
          

一般のお客さんとほぼ一緒の場所ですが、それは決して雰囲気が悪いというわけではなくて気兼ねなく寛げて夕食タイムが楽しめます。


メインとなるのは、店のウリであるジンギスカンです。
独特の形をした鍋で焼いた、厚めのジンギスカンの美味かった事#59126;
シッカリとしたお肉の独特の味わいが楽しめます。でも臭みなんものは全くありません。
よくあるタレに漬け込んだ肉を焼くのではないから、焼いていてもパサパサになんて事にはならず美味いのだ。

宿のサイトより・・・
ジンギスカンのルーツは諸説ありますが、現在のジンギスカンのスタイルを作ったのは山形の鋳物文化と昭和初期の綿羊協会などの条件から蔵王温泉であると思われます。
生ラム肉(サフォーク種)は手切りのため肉厚です。
そしてこの肉厚のラム肉に合うよう、作る秘伝のジンギスカンのタレにもこだわっています。

漬物のせいさい漬け、山菜のお浸し・山かけ風の一品がセットされてありましたが・・・
勿論これだけではない。
そこへ次から次へと、運ばれてくること!そしてそのどれもがウマーイ。
お肉と一緒に焼いたこんにゃくの美味しさ。こんなところも山形!と思ってしまいます。

夏の山形と言えば、庄内地方特産の「だだちゃ豆」です、これは別注で。
香ばしくて豆の旨さがギュッとつまっただだちゃ豆は普通の枝豆とは違う美味しさがあるもの。
かごいっぱいに入っただだちゃ豆が食べても食べても減らない。この嬉しさって!?
生を飲みながら、だだちゃ豆を食べて、ジンギスカンを焼く。
お肉を焼いて、食べて、ビールを飲みながら、でもお肉を食べるって、あ~~忙しい#59142;


次のマグロとボタンエビのお造りも、山の中とは思えない美味しさにはビックリ!
翌朝聞いたところによれば・・・元はお魚屋さんであったおじいちゃんは今もお魚担当、仕入れもお刺身を切るのもおじいちゃんがやっているのだそうです。



ローストビーフのサラダ仕立ても、高原野菜がシャキシャキです。
「早めに食べて下さい」と持ってきた岩ガキもプルンとお口の中へ入っていってしまいました。夫の分と二個も食べてしまいました。
生の後は、山ブドウを使った特製サワーにいきます!


山形で食べる、甘めな味付けの芋煮は美味い。でももう満腹過ぎてもう私のお腹には入りませんでした。
米粉で出来ているとのおうどんで〆。デザートは夏ですから山形産のスイカ。甘くてさっぱり、美味しいスイカでした。



夜は夫だけが、すぐお隣にある川原湯共同浴場へ。そう、こちらでは共同浴場の券が頂けるのです。
上のは夕方撮ったものながら・・・
かけ流しの源泉がそのまま浴室の裏手に掛け流されていて、建物の脇には硫黄泉の池が出来ています。
でもここに限らずろばたさんの周り中が硫黄泉だらけ、それ以外にも下水も流れていましたし・・・とにかく周り中が温泉好きにはたまらないいい匂いなのでした。


朝食も時間になったら、勝手に下に降りていくスタイル。


塩鮭は朝食の定番、翌日の宿でも出されたものの、ろばたさんの方が厚みがあって脂ものっているように感じました。
よくあるパックを温めただけのペラペラとは違いますものね。
ミズの実に、ワラビ?のお浸し?。


名前がわからなかったキノコのおろし和え、温泉卵や米ナスの田楽も。
これは季節によっては、山菜三昧も可能という事でしょう!

これだけの食事内容で、平日料金だったから二食付きで(飲んだアルコールをのぞいたら)宿泊料は@8000円チョット!
それでホントに良いの?って感じがしてしまいました。。



誰もいない足湯では、アヒルちゃんがお仕事中なのでした。
足湯の裏側に、綺麗なおトイレまできちんと用意されていたのは感動もの。
足湯は夜中にはお湯を抜いて、翌朝またお湯を張るのだそうです。

宿泊施設としてはロビーもラウンジもないから、寛げるのはお部屋だけ。
それでもお腹がいっぱいになった後、足湯のところでボォーッとしながら朝晩の蔵王温泉の風景を眺めているだけで十分に和めるのです。
http://www.t023.com/~zao/
こうして思い出しながら書いていたら、また行きたくなってきてしまいました。
本当はこれ以上予約が取れなくなってしまうと困るのだから、誰にも教えたくない。でもこんなに安くて快適で美味しいところがあるよ~って自慢もしたいの。
自家源泉掛け流しの貸切風呂と足湯。旬の素材や山菜、郷土料理を楽しみながら休養がとれるホントに良いお店?宿なのでした。
次は何時行こうかな#59126;この宿、リピーターさんが多いのも納得の思いがしてしまいます。