宇都宮から白河を経て会津若松へと続く奥州街道。その裏街道として知られるのは会津西街道(現・国道121号線)です。
遠い昔から会津地方との人や物の行き来を支え、道筋には今もひっそりと歴史の足跡を残す街道とあって趣の深さが感じられます。
日光市から北上していって、県内最後の集落となるのが旧藤原町の上三依地区です。
ずっと以前、夫が「いっぱい雪を見せてあげるから」と真冬に私と母を福島の山奥へ連れて行ってくれたことがありました。
その福島まで行かなくても、冬季に訪れるとこの付近でも1メートルを越す積雪が見られるという地域なのです。
それはお米の収穫が出来ない厳しい環境。
しかしそれが蕎麦にとっては最高の土地で、甘みのある香り高く粘りもある美味しい蕎麦が出来るところなのだそうです。
季節ごとに見所もあり、山間部ゆえに、手打ちそば店が多い事から「三依そば街道」と呼ばれています。
どのお店で食べても絶品のそばが楽しめる中・・・・これまでに私も「そば処 かじか 」「湖岸亭ほそい」「古代村」さんでお蕎麦を、「そば処 湧水庵」さんへは天然の湧き水を汲みに行ったことがありました。

今回は、夫お勧めのお店「もくりん」さんへと参りましょう。

駐車場へ入っていったら、ちょうどご主人が蕎麦の天日干しをしていました。お蕎麦屋さんへ行っても、こうした光景を見る機会はなかなかないもの。
店内はごく普通の田舎の食堂風、店の壁に巨大なイワナの剥製が飾られていました。
お茶と共に山ブキの煮たものが出されて、それを食べながら待ちます。
壁のメニュー「岩魚の塩焼き、から揚げ」が気になります。塩焼きはこの辺りでは特に珍しいものではありませんけれど、から揚げって?
とっても気さくな奥さんにお聞きしたら、「家のから揚げは、一度焼いたものを揚げますから、それ程脂っこくないですよ」と。
それではせっかくなので頂きましょうか#59125;
                        
山地ではなにかと食べる機会の多い、岩魚の塩焼きとはまた違った香ばしさがあります#59126;頭から尻尾まで全て食べてしまいました。添えられているのは山椒の芽の天ぷらです。
前後して入店したバイクに乗って来たおじさんも、私達と同じ岩魚のから揚げを注文。さっと食べて串だけを残して行ってしまいました。常連さんなのですね。
独鈷(とっこ)の湧水(ゆうすい)を使った手打ちそばは、とても細いけれどしっかりとした味。細めのツルッとした喉越しと、歯応えの良さが残りました。
その後サービスとして出して頂いた山菜の天ぷらは、コシアブラ(or白木の芽)、桜えびとのかきあげはごまな((胡麻菜)の若菜だそうです。
福島の山奥で汲んで来たと言う名水まで飲ませてもらっちゃいました#59120;

ここは何と言っても・・・・ご夫婦共に気さくで、家庭的な温かい雰囲気のお店です。
店の横にある湧き水を利用した小さな水車や、お店の周りの花々を写真に撮りました。ここにはあのクリンソウもあったけど。
先ほどの干してあった蕎麦の実を見に行ってみると、ご主人が店内から説明をしに出てきてくれました。
蕎麦の実を口に入れているので「生でも食べられるのでしょうか」とお聞きしたら「いえ、これは一応干し具合をみているので・・・生っぽくても駄目ですし、あまりカラカラになってしまっても挽きずらいものなのです。」
岩魚のから揚げも少しだけ安くして頂いたり、山菜の天ぷらをオマケしてもらったり、こうした説明をご夫婦して色々してくださったりと・・・大サービスなお店なのでした。
また私達、絶対に食べに行きますからね#59125;
「お休み処 もくりん」
日光市独鈷沢字中井48  電話0288-78-0270


お昼を食べた後に私を待っていてくださったのは、こちらのお方です(後姿だけど・・・)
          
          「ヒマラヤの青いケシ」さん。ケシ科のメコノプシス。
生育環境の維持が難しい為に、継続して栽培するのが難しいことで有名な花です。原産地が高山地帯のため暑さには極端に弱くて、国内では非常に珍しい花と言われているそうです。
その辺りについて、詳しくはまた明日#59063;