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「かもめ食堂」 [映画・DVD]


かもめ食堂 [DVD]

かもめ食堂 [DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD



今日は3年以上も前に公開された映画「かもめ食堂」の紹介をします。
作家の群ようこが書き下ろした小説を原作にした映画で、主演は小林聡美、片桐はいり、もたいまさこの三人です。
この個性的な女優達のフィンランドのヘルシンキを舞台にした「かもめ食堂」は、淡々としたさりげない日常が描かれています。
サチエ=小林聡美は日本から遠いこの地で「かもめ食堂」という名の小さな日本食の店を営みはじめるのだが、開店から一月経っても客は日本オタクの青年がひとりだけといった有様。
そこに日本からやってきたミドリ=片桐はいりと、マサコが加わったことで、かもめ食堂は少しずつ変わっていくのだった・・・・・

登場人物は上の三人の他には、フィンランドの俳優が数人登場するのみ。
しかしオールフィンランドロケで撮られた、北国ヘルシンキの整然とした街並み、白夜、港町とその空を飛ぶかもめ達・・・素敵なシーンが続きます。
特に中盤、もたいまさこ扮するマサコがキノコ採りをする森の中の風景、緑の絨毯の上から見上げる木々、その木々を通して眺める空の美しさは印象に残るもの。
原作が群ようこである為か・・・作中で「猫」が、マサコがかもめ食堂に居つづけるチョッとしたきっかけとなっていたところは、納得してしまいました。原作者は猫好きなのです。
また彼女の軽妙な語り口の文体そのまんま・・・最後まで特にこれといった出来事が起きる訳でもありません。
この食堂で人々が織りなす、少し変ででも可笑しい、温かなストーリー。
お料理が好きな、または食べる事が好きな方でしたら、それだけでも充分に楽しめる内容だと思います。
かもめ食堂で出される美味しそうなお料理の数々・・・それはお母さんの握るのと同じ素朴なおにぎりだったり、甘い香りが漂ってきそうな焼きたてのシナモンロールであったり、揚げたてのトンカツや唐揚げ、湯気の立つサーモンなど。
サチエがそれを作る様子は、プロがするようにスピーディではなくて、ゆっくりと、丁寧に、楽しんでいるように。。。

そこには人が生きていく事、毎日食べる事の大切さも感じられました。
使われている食器類もどれも素敵なので、もしこれからこの映画を見ることがありましたらそこにも注目してくださいね。

思えばフィンランドは、日本から最も近いヨーロッパ。行ったことないけれど・・・ヨーロッパへの旅の途中、上空の機内から、北欧の針葉樹の森を眺めた事が思い出されます。
長い冬や夜を家の中で楽しむ為の北欧デザインの家具や照明、シンプルな食器類はどれも憧れです。
ちなみに我家のダイニングテーブルの照明は、デンマーク・ルイスポールセンのPHランプ。今のように簡単にネットでお買い物が出来るようになる前に都内から取り寄せをしたものです。

フィンランドを代表する映画監督と言ったら、アキ・カウリスマキです。
彼の監督作品も、登場人物たちは極端なほどに寡黙で、作中でも特に何か起きるわけではない、美男も美女も出てこないごく普通の人々の冴えない日常を描いた映画ばかり。
私が見た映画にはわんちゃんが登場していました。かもめ食堂でもさりげなく出ていました・・・ここに、この映画の監督の遊び心が感じられて、私は可笑しかったです。
カウリスマキ監督は、日本の小津安二郎の影響も受けているのだとか・・・・

見終わってからは・・・誰にでも優しい、でも潔さももち合わせている良い意味でマイペースに生きるサチエを演じた小林聡美。
不思議キャラそのまんまだけど控えめで上品な振る舞いが印象的な、もたいまさこの二人を見直しました。
片桐はいりも、少し変わっているけれど可愛い人物を演じています。
小林聡美はパンメーカー・○スコのテレビCMで、この映画のイメージ通りのキャラクターで出演していますね。
食堂で働く三人のエプロン姿、まい掛けと言った言葉の方がピッタリなのですけれど・・・それぞれに可愛らしくて、素敵ですよ~

映画のエンディングは、井上陽水の歌う「クレイジーラブ」。
あの高いところへと抜けていってしまいそうな高音で歌い上げる曲です。描かれている内容と同じように心地良くて、いつまでも聴いていたいと思ってしまいました。
この映画は落ち込んでいたり、元気がない時に観ると、いいのじゃないでしょうか。
肩の力が抜けるというか、何もない毎日でもいつかは何かしら良い事があるかも!って思わせてくれる。
映画を見終わった後は、自分のために、他の誰かの為であったらもっと素敵な事ですけれど・・・丁寧にとっておきのコーヒーを淹れてみたくなります。
その時には必ずおまじないの言葉「コピ・ルアック」を忘れずに・・・そんな映画でした。

この映画を観て、以前に読んだ「食堂かたつむり」小川糸著を思い出しました。
この小説も、柴咲コウ主演でつい最近映画化されています。

thanks(7)  コメント(14) 
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コメント 14

nobukobu

私のぜんぜん知らないジャンルです。
ぜひ見たくなりました。
hanaさんは 50年で たくさん旅をし 映画を観 本を読み
おかいものやお料理を楽しみ 豊かな人生ですね。
仕事しか能がなく 毎日毎日仕事仕事の人生もなんかなあです。
このごろはテレビさえ楽しめない・・
ちょっと寂しい。食器と花だけは楽しみます。

by nobukobu (2009-11-16 21:10) 

タケノコ

このお店(ロケ先)は、ヘルシンキに実在するお店ですものね。
実際に行かれた方も少なくはないようですね。
料理や食器、北欧のインテリアも好きな方にはたまらない見所ですね~。
最初は単館上映のような作品でしたが、のちに拡大上映されたものですね。
同じ監督、女優さんの「メガネ」というのもありましたね。
のんびりゆったり感がいい映画、女優さんも味のある方ばかりでいいですね。
「これぞ、映画の味わい深さ」って感じのする作品です。
by タケノコ (2009-11-16 22:17) 

miyata

こんばんは。
映画の感想もやはり愛ですね(笑)。わたしもこの映画見ました。サチエ役の女優はなんかコケティッシュな感じのCMキャラを演じてますよね。この人三谷幸喜の奥さんでしたっけ。よさがあまりよくわかりませんでした。この記事を読んでから見るべきでしたね。
小川糸の小説は読んでみようとhanaさんのブログを読んだ時に思っていて、忘れてました。ヘルシンキ、一度は真冬に行きました。氷の町でした。書いたかもしれないけれども、車はチェーンなしに普通に走ってました。危なくないのだそうです。春先、気温が氷点下に近づく時が一番危ないのだそうです。その時にはまだかもめ食堂は存在してなかったようで残念です。
by miyata (2009-11-16 23:46) 

よーちゃん

片桐はいりさん、夜の京浜東北線で何回か見かけたことあります。
俳優さんであることを別に隠すでもなく、堂々と乗ってるんですぐわかります。
めっちゃインパクトありますよ~。
by よーちゃん (2009-11-17 08:24) 

hana2009

のぶこぶさんへ

知らないジャンルの映画でも、これはとっても良い作品なのでお勧めします!

確かに、こうなる前は気づかずにいたけれど・・・幸せだったのですね。
今はひとりでスーパーやデパートにお買い物にも行けない毎日です。失ってみて初めて、私って恵まれていたのだなぁって思います。

でも映画を見たり、本を読んだり、お料理をしたりする事は誰にでも出来ることです。
そこまでうらやましがる事はないと思いますけど・・・

年金をいっぱいもらって老後の資金の心配もなく、健康なお身体で、若さと健康のために働く毎日こそが、誰もが憧れることなのではないでしょうか。
のぶこぶさんなら、これからいくらでも、どこへでもご旅行出来ますよ!


by hana2009 (2009-11-17 10:10) 

hana2009

タケノコさんへ

タケノコさんのリンクなさっているきむたこさん。
彼女のブログには、何度かこのお店も登場したかと・・・
きむたこさんが住んでいらしたのはフィンランドだったのでしょうか。
いつも私、日記中に登場する風景、食器や可愛い雑貨の数々にうっとり!としていました。
きむたこさんのような毎日は、夢ですね♪(ご本人にしてみれば、勿論大変な事は沢山あるかと思いますけれど・・)

このロケ地は今でも日本からの観光客が、またそれを見るためにフィンランドの人たちがやってきているとか。
単館上映のような作品が、口コミや評判から広く公開されて、こういったDVDなども好評なようです。
私もレンタル屋さんでずっと探していました。お店の人に聞いてまではと思っていたのです。
今回見られて、本当に良かったと思いました。

by hana2009 (2009-11-17 10:22) 

hana2009

miyataさん、おはようございます。

ハイ今回は、とっても良い映画でしたので、愛情をこめて書きました。

小林さんは、三谷幸喜の奥さんです。別に綺麗でも何でもなくて、演技だってと、私も今まではそう思っていました。

真冬のヘルシンキは、氷の町。あまりに寒いと、かえってその心配はないのですね。
先日の日帰り温泉でご一緒した札幌から来たおじさまも、同じような事をおっしゃっていました。
「老神温泉から金精峠を越えるのに3時間もかかってしまって、これだったら北海道の方が楽だ」って。
雪質の違いの事を話されていましたね。

食についてもこだわりをもたれていると、思われるmiyataさん。
この映画もそうですが食堂かたつむりも、読んで楽しめるものと思います。

by hana2009 (2009-11-17 10:33) 

hana2009

よーちゃんさんへ

片桐はいりさんは劇団で活躍されている方ですから、電車に乗られるのですね。
あのお顔、長身ですから・・・確かに!
この映画でも、かなりインパクトは強く!出ていました。
by hana2009 (2009-11-17 10:36) 

デルフィニウム

群さんの御本は面白いですね。
セーターの本も楽しいです。仲の良い方がなくなった時はお気の毒でした。
by デルフィニウム (2009-11-17 12:43) 

abika

「かもめ食堂」~見てないんですよね。
以前、他の方のブログでお見かけして~とても印象に残っていました。
ぜひ、見てみますね~♪
by abika (2009-11-18 17:24) 

hana2009

デルフィニウムさんへ

群さんの本は、気軽に読めて私も大好きです。私、同じ年です。

彼女も、実生活ではご家族のためにもずっと書き続けていて、それはそれで大変かとは思いますけれど・・・
それに元々から作家と言うわけではなくて、椎名誠の「本の雑誌」社の事務員さんだったのでしたね。
そう、セーターのご本も出されています。
亡くなられた仲の良い方ってどなたなのでしょう?

by hana2009 (2009-11-18 17:42) 

hana2009

abikaさんへ

小品ながら・・・とても評判の高い映画ですね。
私も見てはまりました。

上に書いたように色々な見所があるので、abikaさんも、きっとお気に入りになるのではないかしら。
by hana2009 (2009-11-18 17:45) 

hana2009

thisisajinさん、emilyさん、

nice!を、ありがとうございます。

by hana2009 (2009-11-18 17:47) 

アシックス 靴

movie か?はじめまして、どうぞよろしくお願いします。

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adidas シューズ http://www.adidasjp.com/
by アシックス 靴 (2011-07-21 15:40) 

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