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「幻影師アイゼンハイム」 [映画・DVD]

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先日見た、エドワード・ノートン主演の映画「幻影師アイゼンハイム」について書きます。
このタイトルからして結構マニアックなムードが漂う映画です。
全体を通して派手さはないものの、静かな、幻想的なロマンスを19世紀末のウィーンを舞台にして、新人監督のニール・バーカーが撮りました。

ある日家具職人の息子である少年が、貴族の娘である少女と出会って恋に落ちます。
しかし身分の違いを理由に引き離されてしまうふたり。
ふたりの幼少期を演じるのはともに美少年と美少女、ふたりとも本当に綺麗です。ノスタルジックなムードも素敵[揺れるハート]

それから十数年後、旅に出た彼は絶大な人気をほこるイリュージョニスト・アイゼンハイム=エドワード・ノートンとなってウィーンに戻ってきます。
そしてその舞台上で、ふたりは再会をするのです。
アイゼンハイムと、皇太子との結婚を控えた公爵令嬢ソフィ=ジェシカ・ビールとの恋物語[黒ハート]
そこへ皇太子レオポルド=ルーファス・シーウェルが絡んでくる、三角関係が描かれる。

全体を通してセピア色をした映像。
当時を思わせるゴージャスなセットや衣装の数々に、平民と貴族という身分違いの恋。その上恋のライバルはハプスブルグ家の皇太子なのですもの[失恋]

ソフィの死の真相や、アイゼンハイムの見せたイリュージョンの数々。それはマジックか、それともアイゼンハイムの超能力なのか。

舞台に現れる「成長するオレンジの木」や「話す幽霊」は見る人の心に勝手な記憶を作り、人は自分の思いを込める。
アイゼンハイムの熱烈な信仰者まで出現してしまうのです。
次々と現れる幻影、人々にはアイゼンハイムが幻を作り出す特別な存在となっていくのだ。
そして最後には、彼自身が幻影となって消えてしまいます。

アイゼンハイムを追う警部を、演じるのはポール・ジアマッテイ。この警部の目を通してストーリーは展開します。
実在のボクサー、ジム・ブラドックの半生を映画化したロン・ハワード監督作品の「シンデレラマン」。
そこで彼は、ジム=ラッセル・クロウをリングサイドでサポートするマネージャーの役でした。
「シンデレラマン」でも好演でしたけれど、この映画でも彼はとても良いです。
彼のルックスはどこにでもいそうな、ごく普通の、冴えない普通のおじさんです。
それが脇役になるとキラッと光って、そこには哀愁さえも漂っているような[もうやだ~(悲しい顔)]

ネタばれになってしまうのであえて書くことはしませんが、私には予想できない、思いがけない鮮やかなエンディングでした。
皇太子はお気の毒でしたが、決して後味は悪いものではありません。
ロマンティックで上質なラブストーリーとなっていると思いました。
人が出会った瞬間に恋に落ちてしまうとか、人が人を恋する、これこそがマジックそのものなのかも知れません。

ジェシカ・ビールは少女役の女の子がほっそりとしていたのに、骨格がしっかりしていて健康的、そこに私は少々違和感覚えました。
主役のノートンは、幻影師アイゼンハイムになりきっています。

エドワード・ノートンは過去の出演作も一癖、二癖のある役ばかりです。
デビュー作の「真実の行方」。
これって、完全に主役のリチャード・ギアを食っていましたし・・・。「ファイト・クラブ」ではあのブラピがすっかり[あせあせ(飛び散る汗)]

スリムで、線の細いハンサム、しかしそれだけで終わらないところが、彼のすごいところなのです。
そんな見た目で、「ミニミニ大作戦」では悪役を楽しそうに演じていました。

「アメリカン・ヒストリーX」では初めは悪役です。途中からは白人至上主義に傾倒していく弟を見守る、兄の複雑な心境を表現する役柄へと・・・その演じ分けも、映画の中で見所となっていました。
「レッド・ドラゴン」では捜査官役でしたが、連続殺人犯役=レイフ・ファインズ と役のとりかえっこしても彼ならどちらでも大丈夫だった事でしょう。
ウディ・アレン監督作「世界中がアイ・ラヴ・ユー」では吹き替えなしで歌って踊ってでしたもの、ハリウッドで活躍をする俳優ってやっぱり凄いと思ってしまいます。

大学卒業後俳優になる前に、建築家であった祖父の仕事を手伝うために大阪でサラリーマンをしていました。
「海遊館」の巨大水槽の設置に携わっていたのだそうです。だから日本語だってOK[手(チョキ)]
記者会見での「スターになって戻ってきた感想は?」に対して、「役者ですから」と答える辺りは、心憎いと言わざるを得ない頭の良さ。
好きな俳優であっただけに近頃役に恵まれないと、心配しておりましたけれど今回ははまり役です。

大人の鑑賞にたえる出来となっている、この映画。
女性ならノートンのカッコ良さ。
かつての繁栄の跡が残る重厚な街並み、そこでは馬車が石畳の道を走る、舞台の照明となるのはロウソクの灯り。
この映画のひとつの主役である、19世紀のウィーンのムードに酔いしれる事となるでしょう[わーい(嬉しい顔)]

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アップルツリー

お引っ越しおめでとうございます♪


幻影師‐面白そうですね~!
インプットしましたよ~。

それにしても
ハナさんが恋愛を語るって
新鮮でした
(^_-)ー☆
by アップルツリー (2009-05-21 15:46) 

hana2009

アップルツリーさん、こんにちは~
また、また、お引越しをしてしまいました。
アップルツリーさんのブログは、何度もやってみましたがリンク出来ませんでした。
でもしっかりと「お気に入り」に入っていますからね。これからも大丈夫!

え!そうですか。
私だって恋愛のひとつや、ふたつは知っていますえ~~
それに、これは人のですからね。何とでも言えまする(笑)
by hana2009 (2009-05-21 17:17) 

hana2009

miyataさん、今回もnice!を押してくださって・・・いつも、ありがとうございます。
by hana2009 (2009-05-22 13:14) 

hana2009

もももんががさんへ

こちらにも、ありがとうございます。


by hana2009 (2010-05-20 17:58) 

aranjues

コメントありがとうございました。全く予備知識もなく記事にも書いたように
面白くなければ消してしまえばいい位のつもりでwowowを録画してみたのですが、
徐々に引き込まれました。終わり方も秀逸でしたね~。真相に築いた
ポール・ジアマッテイの、してやられた、、でもよくぞやったっり、、と言う満足げな
表情が今でも目に浮かびます。期待せず見ただけに衝撃的と言っても
過言ではありませんでした、私にとっては。エドワード・ノートン、一瞬にして好きに
なりました。これを機会にまた伺わせて頂きます。古い記事にコメント、失礼しました。
by aranjues (2010-07-22 19:53) 

hana2009

aranjuesさん、こんばんは。

早速にありがとうございます。
なんか押し付けがましいコメントで・・・失礼致しました。

自分の好きな映画や俳優がほめられるのは嬉しいものです。
それでつい私、書き込んでしまいましたの。

ラストの、ジアマッテイ警部の表情は確かに!
日本人には馴染みのない内容、配役的にもそれ程派手さのない作品でしたから、公開時も話題にもならなかったのでは?って私も思いました。
レンタルで見たのでしたが、こちらのはたった一本だけで探すのも苦労したくらいでした。

またよろしかったら、お越しくださいませ。
タケノコさんのところでは、またニアミスするやもしれませんね。
by hana2009 (2010-07-22 23:07) 

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