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「1917 命をかけた伝令」 [映画・DVD]

映画の公開にあたってのうたい文句が「全編ワンカット撮影」・・・と、話題となった本作。
結果としては、臨場感、緊張感のある、見ごたえある作品となっておりました。
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第一次世界大戦中である1917年4月、西部戦線のドイツ軍は後退をしていたが、それが彼らの作戦に基づく戦略的なものであるのを知ったエリンモア将軍=コリン・ファースから、トム=チャールズ・チャップマンとウィル=ジョージ・マッケイの若き下士官ふたりは、最前線で戦う1600人の友軍部隊に「ドイツ軍の追撃を中止せよ」と伝える任務を与えられる。
もしも届かない場合、明朝の突撃により第二大隊の兵士が犠牲となる。壊滅的な被害を受けてしまう連隊へ、限られた時間内に二人きりで戦火をくぐり抜け、敵の潜む戦場をゆけるものか。

戦争映画でありながら、人間ドラマ的な要素もある。無謀と思える命令を受けてからの…主人公それぞれの心情を感じました。
兄が第二大隊にいるトム=に対し、初めは乗り気ではなく仕方なく同行するウィリアムの葛藤と矛盾。
面影に幼さもあるトムと、ウィリアムで大丈夫かと思われた。
しかし途中からひとりとなりながらも、ウィリアムは命をかけて懸命に任務を追行をする。具体的な敵の姿をほとんど見せない中に潜む死への恐怖と隣り合わせの、隊員を守らねばならない責任感との戦いであったのだ。
観ていて、彼の重責に負けない強さに救いがあり・・・任務によるトムの兄の命を守っただけでなく、彼の遺品を手渡す責務も果たしたのでした。
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第一次世界大戦時がテーマとなった本作。フィクションとの事ながら・・・長回しによりワンカットで撮ったかのような・・・撮影技術を用いているのが特徴。
映画のオープニングからラストまで、戦場シーンで彼らの後をカメラが追っていくことにこだわった連続から、観ている我々まで同じように走り続けた気分になるのでした。


歴史は繰り返し…人類は懲りずに、この後も二次世界大戦へと突入する。
歴史や経験から学ぶべきと思いつつ、単純には言い切れない、きっかけにより憎悪、憎しみを爆発させる、これもまた人間であるから。
映画から、書籍からも・・・人は時に強く、またいかにも弱く、冷酷かつ狂暴な怖さも併せ持つ存在であるかを考えさせられます。
戦争での善悪なんて、勝った側が決めるもの。そして歴史には「運」「不運」が付きもの。

世界に向けて作品を撮り続けている、ハリウッドの監督たち。ハリウッド映画全てを肯定する事は決してないけれど、マーケットとの大きさはあるけれど、、、監督としての力量、レベルの高さは日本映画は当然比較になりません。

「アメリカン・ビューティー 」、「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」等で知られるサム・メンデス監督による戦争映画。
サム・メンデスと言えば、娘の同級生に恋する中年男をケヴィン・スペイシーが怪演。アネット・ベニングの見栄っ張りで夫にガミガミ文句の主婦役もハマっていた、ブラックな要素満点の「アメリカン・ビューティー」。
「007シリーズ」は、ボンド役のダニエル・クレイグが苦手なのでパス。
映画「タイタニック」でのレオナルド・ディカプリオと、ケイト・ウィンスレットが倦怠期の夫婦役で再共演をした「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」。
https://hana2009-5.blog.ss-blog.jp/2010-07-31←読み返したら、簡単すぎるし、理解しているとも言えません。
当時夫であったサム・メンデス監督作品に初出演した、K・ウィンスレットは、「レボリューショナリー・ロード」と「愛を読む人」でゴールデングローブ賞受賞。第81回のアカデミー賞での主演女優賞も受賞。
監督自身キャメロン・ディアス、キャリスタ・フロックハート、レイチェル・ワイズとの交際を経て、ケイト・ウィンスレットと結婚。
レイチェル・ワイズもケンブリッジ大学で英文学を学んだのち、映画デビュー。
「ナイロビの蜂」によりアカデミー賞助演女優賞、ゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞。サム・メンデスとの交際を経て、映画監督ダーレン・アロノフスキーと婚約。現在の旦那さんはダニエル・クレイグと、華麗な恋愛遍歴は負けていません。・・・それぞれスケールの違いを見せつけてくれます。

昨年度のアカデミー賞にノミネートされた本作。文句なしに見入ってしまう、どなたにもお勧め出来る一作でした。出来る事なら、映画館で鑑賞して欲しい。
私自身も観終えてそう感じました。
それにしてもサム・メンデス監督、本作を超えるものを今後撮れるでしょうか。
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