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今日は読書の秋という事で… [本]

いよいよ10月です。
秋には様々な秋がありますが、今日は読書の秋という事で…ここ数か月間に読んだ本を。・・と言ってもすでに記憶がおぼろげ~~
そこでタイトルのみの、覚書として。。。

「ベイジン」真山仁
上下巻合わせて800ページあまり、あっという間に読み終えてしまった一冊でした。
本作はフィクションでありながら、ほぼ同じことが福島で起きてしまった・・・今となっては現実に起きた点から見て予言書と言えるものに思えた。
本のタイトルとなる「ベイジン」とは「北京」。
2008年開催の北京オリンピック、その開会式に合わせて作られた世界最大規模の原発はオリンピック開幕にあわせたタイミングで運転を開始する。
その成功は巨大国家・中国の持つ力の大きさを、世界に向けて知らしめすはずだったのだが・・・・
進まぬ工事、思いもよらぬ事故、次々に続いて起きる事件。
国を挙げての一大プロジェクトだけに中国特有の利権の発生があり、ありえない工事や、ズサンな管理体制も描かれる。
登場するのは・・・建設の指導にあたる日本人、中国側の責任者。中央政府の役人、地の利益をむさぼり続ける地元の有力者。
日中の登場人物達の思いはそれぞれに交錯し・・・
それを通じて中国が抱える問題、日中問題の今を多角的に描く。到底相いれないものに思える中国人の考え方を知る上でも参考となる本に思えました。
利益が最優先な上、「メンツを重んじる」中国社会と付き合うのは何とも大変な事。
原発事業が政治と一体であるのも、舞台は違えど同じでわかりやすいです。
登場人物それぞれの持つ信念、生き様を人間ドラマとして描いた・・・確かさも感じました。
興味深さから、まさに一気読みしてしまった。。文系である私でも楽しめたわかりやすい内容でした。

同じアジアの隣国となる日本と、中国。この二つの国、国民。
しかしものの考え、見方は相通ずるものとは思えない。
一筋縄ではいかない考え方の相違。同じ尺度で事にあたると言った甘い考えは決してもってはならないのを痛感しつつ読み終えました。
作者の圧倒的な筆力に、スケールの大きさを感じつつ読めてしまう、一大エンターティメント作品であるものと思います。
そして先頃お亡くなりになった、社会派小説で知られる作家・山崎豊子さんの「大地の子」が思い出されました。

ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)

ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 真山 仁
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 文庫



ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)

ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 真山 仁
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 文庫



「ローカル線で行こう!」真保祐一
作者は「ホワイトアウト」で吉川英治文学新人賞、「奪取」で山本周五郎賞を受賞。
本作は、ベストセラー「デパートへ行こう!」に続く・・・読むと元気が出てくる、企業再生物語。
前作と比べても未来志向だから読みやすい。読んでいて元気の出てくる内容、文章でした。
廃線の危機に立たされている、東北地方のローカル線「もりはら鉄道」。
経営の建て直しにと抜擢された新社長は、31歳独身、元カリスマアテンダントである篠宮亜佐美。
「お金がないなら、知恵を出す」
・・・自ら客寄せパンダに徹して、従来にない新アイディアでもって企業の再生をしていく…彼女の果敢な挑戦が始まった。
冷ややかな視線で成り行きを見つめる社員達、行く手を阻む経営幹部、そしてもりはら鉄道を次々と襲う不穏な事件。
…どれもお約束とも言える展開ながら・・・・
果たして最終地点までたどり着くのか?「もり鉄」に明日はやってくるのか?
登場人物達と読者である我々。互いの希望を乗せた列車は、終着駅に向かってひた走る・・・・。
特筆するようなアイディア、ストーリー展開があるとは言えないものの、読後感は爽快そのものに感じられました。

ローカル線で行こう!

ローカル線で行こう!

  • 作者: 真保 裕一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/02/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「ロードムービー」辻村深月
運動も勉強も出来るクラスでも人気者のトシは、あるきっかけからいじめられっこのワタルと友達になる。
ワタルとの交友がきっかけで、トシまでがいじめの対象となってしまうのですが・・・。二人の友情も、ワタルの親の事情で壊れそうになってしまう。
そして、トシとワタルは旅に出るのだ・・・・
デビュー作「冷たい校舎の時は止まる」(未読です)とリンクされているとの事ながら、そちらを読まずとも楽しめました。
小学5年生。この年頃のもつ繊細な心の動き、揺れ。
丁寧に描写した作者の力により、かつて誰もが経験したその時が「かけがえのないもの」であった事に気づかされました。
懐かしさを覚える表題作、他に4編が収録されています。

ロードムービー (講談社文庫)

ロードムービー (講談社文庫)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/15
  • メディア: 文庫



今日はとりあえず半分、次回へと続く。。
thanks(52)  コメント(11) 
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コメント 11

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がり

ブロク゜めぐりしてると、
みなさん忙しい中、本を読まれてる方が多いのに驚き。
本読むのは嫌いじゃないけど、最近まったく読んでないです。
これじゃいけませんね。
by がり (2013-10-01 15:34) 

nano

新刊を読む機会が随分減ってしまってます
たま~に、懐かしいのを読み返したり・・・・
by nano (2013-10-01 16:09) 

くまら

真山仁が大好きなので、ベイジンは勿論読みました
原発事故が有って、海水注入する様を読み
まるで、福島の出来事を予言して書いたのでは??と思っちゃいました
by くまら (2013-10-01 16:55) 

j-yoshi

私の友達も本を読むのが大好きな人がいます、hanaさんも上下巻合わせて800ページ・・・私は読めないかもね!
by j-yoshi (2013-10-01 20:42) 

サンダーソニア

読書の秋。軟弱な本ばかり読んでいます。

by サンダーソニア (2013-10-01 21:52) 

サンダーソニア

壮絶な覚悟で執筆されていた山崎豊子さんは
戦争の生き残りという心の負債をお持ちだったと知りました。
自ら取材されていたご様子に驚きました。
今はググればある程度の資料が集まるのですから
小説家になろうというようなサイトもできるんですね。

by サンダーソニア (2013-10-01 22:00) 

まつき

800ページですか(@_@;) 
本を持って、読むだけでも重くて疲れそうな?
私も読めそうにありません^^;  長編のお話は、
最初の方に出て来た登場人物が最後の方に出て来ても、
アンタ誰?状態になってしまうんです・・・(^◇^;)
by まつき (2013-10-01 22:09) 

hana2013

がりさんへ
私が読むのも、ベッドに入ってから寝付くまでの間のみ。だからそれ程読めないものの、これは就寝前のお楽しみ♪
ずっと若い頃からの習慣だから、やめられないのです。

nanoさんへ
読み終えてからも捨てられない本、だから私ももう本を買う事はやめています。
どれも皆、実家にあったものばかり・・・弟家族が読んで、母が読んで、最後に私が読んで…立派なリサイクルでしょう。

くまらさんへ
その辺りの描写はとてもリアルで、迫力もありました。
本作の中では対策に走って、犠牲にもなった日本人技術者たちの姿は感動的であったものの・・・
福島では机上で話し合われるのみ、肝心の現場の声を聞く事なく、指令を出すだけ・・・
大局に構えてかじ取りをする人物が不在であったのも、犠牲を大きなものとした原因のひとつであったと思います。

yoshiさんへ
yoshiさんの好みのジャンルは、何なのでしょうね。

サンダーソニアさんへ
エッセイも好きな私も、ホント様々なのです~~
最後はペンが持てずに、筆で書かれていたとありましたね。反骨精神に富んだ山崎作品は、どれも読み応えを感じたものです。
自ら中国の農村に住みこんで書いた「大地の子」、誰も好き好んで残留した訳ではないと、残留孤児と言う呼び方も決してしなかったとも。
幕末から明治へかけての歴史小説の傑作を数多く残された、吉村明さんのお話を聞く機会があったのですけれど・・・
100年前の事でも一冊の本にまとめるには、膨大な時間と、取材の苦労が耐えないと仰っていました。
それが映画化、ドラマ化される場合、立った一本の電話があるだけとか。
簡単に書けそうでも、良質な作品を作り上げるのは、誰でもとは言えないですね。

まつきさんへ
これは、他の方にはわかってもらえない事ながら。。
唯一使える右手で持って、寝ながら読むのは結構大変。頁をめくる度に、手元に置いてからなのですもの。面倒な上、時間もかかる~
詳細な記述が特徴の宮部みゆき作品などは、ハードカバーの一冊がそのくらいの頁数で、二段組みだったりしますよ!

by hana2013 (2013-10-02 10:46) 

れもん

ベイジンを読んでみたいです。
by れもん (2013-10-02 21:34) 

hana2013

れもんさんへ
こちらの本だけは、図書館で借りたものでした。かなり読みごたえがありました。

by hana2013 (2013-10-03 16:33) 

hana2013

nice!を下さった皆様
ありがとうございます。
by hana2013 (2013-10-04 15:40)