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ぶらり・・・山陰④松江城下を散策 [2014・11月 鳥取・島根]

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松江市のシンボル「松江城」は、国内に現存する12天守のうちのひとつ。

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国の重要文化財にも指定された・・・ 正統天守閣と言える、山陰では唯一の天守閣を頂く松江城です。

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内部は天守まで階段を上っていく形、だから上がりませんでしたが・・・ 関ヶ原の戦いで功績のあった堀尾忠氏が、24万石を得て月山富田城に入城し松江藩が成立。
その後は京極氏が後を引き継ぎました。
他にも、日本さくら名所100選や都市景観100選に選ばれている、手入れのいきとどいた城跡庭内。

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眼下に広がる・・・市内の家並。
そうした目で見るからか、私達が忘れかけている懐かしい日本の原風景と感じられたような。。
http://www.matsue-tourism.or.jp/m_castle/highlight.html

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松江城を囲む約3.7kmの堀川を小舟に乗り巡る、観光遊覧船「堀川めぐり」の乗船場。


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「耳なし芳一」や「雪女」等の短編を収めた・・・・「怪談」の著作で知られる・・・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。
最初の赴任地である松江には1890年8月に到着し、島根県尋常中学校の英語教師として1年3か月過ごしました。
松江と言えば小泉八雲。小泉八雲と言えば松江ながら・・・その実ここ松江で過ごしたのは、わずかに1年と少しだったのでした。

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彼とその妻小泉セツ=元松江藩士の娘が、明治24年6月から11月までの5ヶ月間新婚生活を過ごした屋敷は、武家屋敷が建ち並び、江戸時代の城下町風情が残る「塩見縄手」の通り沿いに位置する。江戸中後期に建てられた松江藩士の屋敷でした。
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こじんまりとした小宅ながら・・・自然を活かした造りの日本庭園が、母屋を取り囲むよう配置されています。
四季折々の表情を見せるであろう、趣が感じられるお庭です。

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ギリシャ人を母にギリシャ生まれのアイルランド人であった八雲でしたが、松江では日本風の生活を好み、この庭も大変お気な入りであったとか。
着物に下駄というスタイルで、部屋から三方の庭をゆったりと眺めるのが好きだったといいます。

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夫妻が過ごした家は、昭和15年に国の史跡に指定されました。
旧居が建つ道路の向かい側には小泉八雲の銅像が設置されていて・・・そこでは今も、松江の我が家を見守っているとの事。←知らずに見過ごしてきてしまいました。

効果的に使われた・・・作中ドラマ「怪談」の演出も心に残る。八雲=ジョージ・チャキリス、セツ=壇ふみが演じた・・・1984年放送の「日本の面影」は今も印象深く心に残っています。
山田太一の優れた脚本、当時のドラマ作りにかけたテレビマン達の矜持を感じさせるような・・・秀作。
視聴率を最優先とし、何を見ても、同じような俳優。ストーリーばかりの現在では、成し遂げられないであろうと・・・改めて思ってしまいました。。
http://www.matsue-tourism.or.jp/kyukyo/


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「小泉八雲旧居」に隣接して建つ、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)に関する収蔵品が展示された記念館・・・こちらも周囲の風景にマッチした平屋建ての和風建築でした。
本年が小泉八雲没後110年にあたる事から開催された・・・「企画展2014」は、「小泉八雲没後110年記念 ヘルンと家族」。
展示されている内容はと言えば、主な著作の初版本や直筆原稿、書簡、八雲が愛用していた遺品など。
貴重な収蔵品は1,000点以上。うち約200点が展示されています。
ギリシャで生まれイギリスで育った、イギリス人のハーンがなぜ日本までやって来たのか。
ギリシャ、イギリスからアメリカを経て・・・地球を半周旅したのち、到着した日本でようやく家庭を築くことが出来たのです。
家族の愛に恵まれず、数奇な人生を歩んだ・・・彼の生涯がパネル写真でわかりやすく紹介されていました。
松江での日々は仕事の合間にも、数々の作品を書き上げました。そして・・・最後は日本人として、54年の生涯を閉じた小泉八雲。

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十代半ばに事故により左目を失明、右目が強度の近視だった八雲が、原稿を書くために特注した背の高い机。
八雲は失明した目と残るわずかな視力のみで、五感を研ぎ澄ませ・・・この土地と人々を観察しました。
常に携帯していた望遠鏡、来日時に着ていたスーツ、妻・セツの英単語覚え書き帳等々、当時の暮らしぶりを感じさせる品々の展示も興味深く鑑賞をしました。
4人の子どもたちへの愛情、家庭内のエピソード、家族の暮らしぶり等・・・小泉家・稲垣家所蔵の写真で紹介がされています。
松江の風物と人情が気にいり結婚をし、この地に住んだものの・・・冬の寒さと大雪に閉口して1年3か月余りで去った後、熊本第五高等中学校へ移りました。
さらには神戸、現在の東大=帝国大学文科大学、早稲田大学に勤務した。

昨年5月に訪れた静岡県の焼津でも、1897年から八雲が亡くなるまでの数年間。夏になると泳ぎに来ていた「和田浜の海」を訪れました。
「八雲通り」と名付けられた道路、その場所から北へ進むと記念碑「小泉八雲先生風詠の地」がありました。
日本の伝統的精神や文化に興味をもち、それらを題材にオリジナリティあふれる多くの作品を著した。
1894年に出版された・・・「知られぬ日本の面影」は、アメリカ版だけでも26刷りまで達するベストセラーとなり、今日まで読み継がれているそう。。
日本の伝統や文化、日本人の精神構造を広く世界に紹介した彼の功績は、もっと多くの注目に値すべきと思うのであります。
http://www.matsue-tourism.or.jp/yakumo/
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コメント 17

song4u

小泉八雲と言えば“kwaidan”、そして松江の地というのが
ポピュラーなところだと思うのですが、1年ちょいだったんですね。
で、冬の寒さと雪に閉口?
そうだったのですか。英国だって雪も降るし、結構寒いのにねえ。(笑)
by song4u (2014-11-14 23:09) 

ameya

松江城。美しい建物ですね。
小泉八雲ってずっと松江に住んでいたのかと思っていました。

by ameya (2014-11-15 07:01) 

ソニックマイヅル

歴史ある建物ですね。私は現場に行きまして当時の事を空想するのが楽しみです。^^;
by ソニックマイヅル (2014-11-15 07:17) 

まつき

100年以上前に、ここでホントに生活していたんだな~と思うと、
感慨深く見学出来ますよね。。。
お城の写真、カッコよく撮れてますね~!(^^)!
こういう写真を見ちゃうと、行きたくなりますーーー!
by まつき (2014-11-15 08:34) 

hana2014

song4uさんへ
同じです。
茨城からスカイマークが米子まで就航していると知って、まず思ったのは・・・
米子と言えば、小泉八雲。お!イイねぇって思ったのです。
イギリスと日本では、建物の構造。石やレンガ造りの家と、夏の暑さ対策を優先した木と紙の家の違いがあるのでしょうね。
北海道の人からも、栃木の冬は寒いと言われますもの。

ameyaさんへ
余計なもののない、シックな色合いの松江城。中途半端な季節に関わらず、良いものに思いました。
八雲の名前から、そのようにイメージしてしまうのは仕方のない事ですね。

ソニックマイヅルさんへ
青森県の弘前に行った折、訪れた…弘前城は、その小ささに驚いたものの・・・。
当時の日本人の身体の小ささ、生活のスタイル等が想像されました。

まつきさんへ
ここ辺りは私が、一番行ってみたい場所だったのです。
茨城空港から都内までのリムジンは、なんと500円で利用できるとか。別に航空やスカイマークの回しものではないのですけど。。
リーズナブルで手軽な旅、お友達と如何ですか?
by hana2014 (2014-11-15 10:37) 

orange

弁当忘れても傘忘れるな。
晴れの少ない山陰で青空が見えて^^
hanaさんは晴れの天使がお供ですね^^
by orange (2014-11-15 14:30) 

ゲンさんおかさん

hanaさまへ

たった1年3カ月だったなんて・・・。
けっこう、へタレだったんですね~。

ワタクシ、ここ行った筈なのに、
見事なまでに、何も覚えていません。
自分が怖いです。
これぞ「怪談」?
by ゲンさんおかさん (2014-11-15 14:55) 

hana2014

orangeさんへ
>弁当忘れても傘忘れるな。
山陰にはその様なことわざがあったのですね。
確かに。数年前、国道が大雪の為に通行不能となり、数十台の車が立ち往生してしまったのは、山陰のとある場所だったかと。。。
それでとにかく冬が来る前に行ってしまおうって思ったのです。
大山の紅葉にも、どうにか間に合いましたしね・・・♬

ゲンさんおかさん様へ
来日を果たす前の彼の半生を思うと・・・波乱にとんだ、放浪の人生であった様子。
しかしこの後の熊本では、周囲の人々に絶望をする。
非常に繊細な神経の持ち主だったようですね。

興味のないところって、そのようなものです。
先週遊びに行って来た、群馬県の伊香保。
まだ独身だった頃に一度訪問したはずなのに・・・私も全くもって、何ひとつ覚えておりませんでした。
by hana2014 (2014-11-15 15:16) 

般若坊

松江城いいですね・・・天守閣も木のぬくもりがありますね! ^^
by 般若坊 (2014-11-15 17:13) 

hana2014

般若坊さんへ
戦後に築城をされた・・・なんちゃって~~な城が多い中、歴史と品の良さが感じられた…松江城。
快晴の空の下、見られて良かったです。
by hana2014 (2014-11-15 17:44) 

ryuyokaonhachioj

ありがとうございます。
松江城の風景素敵ですね。小泉耶八雲の話を
思いだしました。
by ryuyokaonhachioj (2014-11-16 09:38) 

がり

hana2014 さんの写真を拝見すると、
ぶらりと日本を巡ってるのが感じられます。
いつも一緒に行く仲間が寺院とかに全く興味がないので
せっかく行っても、ばたばた駈け足してる旅ばかりです。
時間に制限があると言うのも理由の一つですが。
人のせいにして偉そうに言っても、私も歴史とか疎いのですが。^^;
でもせっかう行くのに、せめてじっくりまわりたい私です。
by がり (2014-11-16 14:13) 

hana2014

ryuyokaonhachiojさんへ
私の方こそ、ありがとうございます。
平凡な生き方しか出来ない自分自身を思うと・・・100年以上も前、地球の裏側にある日本まできて、日本人として亡くなった彼の運命は感慨深いものがあるのです。

がりさんへ
私の旅行もトホホ・・・な事に、常に一緒の行動が前提である我が夫。彼は男の人には珍しく、歴史、寺社仏閣に興味がないのです・・・歴史ほど面白いものはないのに、どうしてなのかな?
今回の松江観光も仕方なくって感じながら、こうして付き合ってもらいました。
我が今回この旅も3泊4日とはいえ、ついいろいろ欲張ってしまって・・・結構忙しいハードスケジュールなものでした。

by hana2014 (2014-11-16 16:43) 

Aちゃん

良く、いろんな100選があるけど、100も覚えられないよね(^^;
by Aちゃん (2014-11-16 17:22) 

薔薇少女

>八雲=ジョージ・チャキリス、セツ=壇ふみ
ジョージ・チャキリスと云えば『ウエスト・サイド物語』が浮かびますが
壇ふみと共演していたんですね!知らなかったわ~
>1984年放送の「日本の面影」
この頃は息子が5歳頃かなぁ~
落ち着いてテレビドラマ観る事もなかった様な気もします・・・
hanaさんの記事で、知らなかった歴史や名所等を検索したりして
興味が広がります('-'*)アリガト♪
by 薔薇少女 (2014-11-16 22:34) 

hana2014

Aちゃんさんへ
仰る通りです!
私など、一個でも知っていたら、得意になってしまいますよ~~

薔薇少女さんへ
家の子も4歳くらいでした。
しかしあの頃は、今よりもずっと質の高い作品が放送されていたのです。
1984年放送の「日本の面影」は、「耳なし芳一」「ゆきおんな」「幽霊滝の伝説」でググったら、YouTubeで見られました。
他に英国女優サマンサ・ボンドが主役の哀しいお話「ジンジャーツリー」も良かったわぁ~!

by hana2014 (2014-11-16 22:56) 

クラ

 ブログ見ました。自分も松江城 行きました。歴史を感じる 天守閣 そして何よりも 上から眺める松江の街や宍道湖の風景はまさに感動的でした。なるほど周辺にも歴史的建造物が多いのですね、機会があったら是非見に行きたいです。
by クラ (2015-03-03 23:28) 

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