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夏空を追いかけて北海道・・・⑲余市で寄り道する [2019・7月北海道]

積丹半島から小樽までのドライブルート、途中通るのは余市町です。
そう、余市と言えば「ニッカウヰスキー余市蒸留所」。
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「ブラックニッカ」のラベルでお馴染み…「キング・オブ・ブレンダーズ(ブレンドの王様)」ウイスキーの原酒をテイスティングしている姿だそうです。

「ニッカ」のウイスキー作り、創業者である「竹鶴政孝」とスコットランド人妻「リタ」、ふたりの生涯にも触れた工場見学でした。予定はしていなかったものの。特に急ぐ旅でもなし足を運ぶことに。
しかし正門とは反対側、駐車場の方から中を観て歩いた私達。
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この場所を訪れたのは、息子が小二の夏休みに続いて、30年ぶり二度目となります。

竹鶴政孝が、国内初となるウィスキー作りの夢の出発点として選んだ、北の大地。
国内でも気候が似ている為・・・日本のスコットランドと称される余市は、ニッカウヰスキーの聖地。ゲートをくぐると、150,000平方メートルの余市蒸溜所です。
       
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「ウイスキー博物館」では、巨大なポットスチル(蒸溜釜)が出迎えてくれました。
この奥に、竹鶴夫妻の私物。ウィスキー作りの為に書き残してきた詳細なノートは、世界的にも貴重な資料とされています。リタ夫人の実家を再現した部屋、二人の生涯を綴った年表、正装した政孝とリタ、着物姿のリタ、また多趣味であった政孝の姿が写った写真など。。
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ウィスキー樽を製造する工具、素材となる木材。
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ここは国内?…と思ってしまう、お高いウィスキーの並ぶガラスケースを前にして、好きな銘柄をどうぞ!・・・の有料試飲コーナー。
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工場敷地に点在する各施設では・・・創業時と変わらない伝統の技、ウイスキー作りへの情熱が重厚なモルト原酒を育んでいく・・・工程を学びます。二か月近く経ってほぼ忘れてしまっているので、間違っているかもしれませんけれどね[バッド(下向き矢印)]

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蒸溜所見学コース、実はこの正門からのスタートなのです。入社二年目と言う、可愛いお姉さんガイドが熱心に案内してくれました。※ガイド付きの工場見学は3日前までの予約制。ここでもラッキーだった訳です。

見学は、麦芽(モルト)を造る「乾燥棟(キルン塔)」から、「粉砕・糖化棟」へ。
「醗酵棟」のあとの「蒸溜棟」、撮ったつもりでいたので、画像はありませんが[あせあせ(飛び散る汗)]・・・
蒸溜器(ポットスチル)=画像3枚目と同じものが並ぶ蒸溜棟では、昔ながらの「石炭直火蒸溜」が行われている様子が見られました。
竹鶴の学んだロングモーン蒸留所と同じ「石炭直火蒸溜」は、温度調節が難しく熟練の技が必要です。しかしその分、芳ばしい香りと力強い味を持ったウイスキーが出来上がるのです。
モルトウイスキーは単式蒸溜器(ポットスチル)で2回蒸溜を行い、アルコールをとりだします。
こうして出来たウイスキー原酒は、アルコール度数65%程度、無色透明とか。その後樽に詰め、貯蔵、熟成することで香味はまろやかに、ウイスキー特有の琥珀色へと変化していく…。

※ここ余市以外にもニッカウヰスキーの工場は、仙台市郊外の作並、栃木のさくら市にもあります。
さくら市の工場は、ウィスキー用の木樽を作る。貯蔵する為の施設として使用されているとか。
樽材や過去に貯蔵していた酒の種類、焼き入れ(チャー)の程度により、ウィスキーの個性は大きく変わる。ひとつひとつ手作業で行われる樽作りの技、創業時から脈々と受け継がれているとの事でした。

数年前には「さくら市制10周年記念事業」の一環として、普段は開放していない工場内で「マッサンとリタの物語」と題した資料を展示。
竹鶴氏は栃木に工場を建てる際に用地選定のために訪れ、水の良さを認めたとされる。栃木にも所縁のある人物であった訳です。

創立当時に使用していた釜の上部にしめてある「注連縄」は、竹鶴の実家が造り酒屋を営んでいた・・・その風習を取り入れて「良いウイスキーが出来ますように」と、今に続いているそう。

石炭直火焚蒸溜を行なっているのは世界でも余市蒸溜所のみ、余市蒸溜所では伝統的な製法を守り続けていると言います。
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大日本果汁株式会社(ニッカウヰスキー株式会社)工場設立当時の事務所。昭和9年から場所も変わらずに現存する旧事務所の建物も歴史を感じさせます。
ウィスキーの販売が軌道に乗らなかった事情により、地元産のりんごでジュースを作って売り、それをウィスキー作りの資金へ充てた。旧社名「日」と「果」・・・から「ニッカ」の社名になったとの説明がありました。

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「リタハウス」に並んで建つ、和洋折衷、開口部の多い旧竹鶴邸です。周囲の木々は早くも、秋の気配を漂わせていました。
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竹鶴とリタが実際に住んでいた住宅を、平成14年12月に移築し復元した…「竹鶴邸」は玄関ホールのみが見学可能。

「貯蔵庫」の画像もありません。
※樽の中で貯蔵されているお酒は、揮発して少しずつ減っていきます。知らぬ間に天使が飲んでしまったのかもしれない=「天使の分け前」と言ったりします。←この辺り、沖縄名護の「ヘリオス酒造」でも同様の説明がありました。
湿度が低く乾燥していると揮発する量が増えてお酒がなくなってしまう。湿度は酒造りには大きな要素になるようです。

「ニッカ会館」はウイスキーの試飲を楽しめる試飲会場、会場内にはこうしたおつまみ販売機もありました。
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カウンター席で隣り合ったお兄さんは苫小牧上陸後に、試飲プラスおつまみ狙いでやってきたそう。これから船の仕事に就く、間もなくシンガポールへ出発すると話していました。
「シングルモルト余市」「スーパーニッカ」「アップルワイン」の試飲♪
レストランや、お土産コーナーは勿論あり、夏休みとあって大勢の観光客の姿で賑わい、あふれていた会場内。

真冬には数メートルの降雪で、工場も雪に埋もれるそうです。
竹鶴が求めた「スコッチ」の「ハイランド」と同じ、清涼な雪解け水。ユックリとした樽熟成に欠かせない湿潤で冷涼な気候。山々に囲まれた余市の地は、まさに英国スコットランド=「日本のハイランド」なのでした。
静まり返った純白の世界で、そうした歴史へ思いをはせながら・・・ウィスキーを楽しむ[ぴかぴか(新しい)] 大人だけの時間ですね。
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